『遺産分割協議書を作成する際の費用相場は?』
相続が発生したとき、状況によっては「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
その際に多くの方が気になるのが、「どのくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
この記事では、遺産分割協議書の作成にかかる費用相場と、自身で作成する場合の注意点について、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 遺産分割協議書の役割
- 遺産分割協議書の作成にかかる費用相場
- 遺産分割協議書の作成費用を抑える方法

遺産分割協議書と遺言書の違いについても、学んでいきましょう。
遺産分割協議書の役割とは?

相続が発生すると、相続人は原則として被相続人の財産を引き継ぐことになります。
その際に重要な役割を果たすのが「遺産分割協議書」です。

まず始めに、遺産分割協議書を作成・活用することで得られるメリットについて確認していきましょう。

遺産分割協議書は法的効力を持つ書類
遺産分割協議書は、相続人全員の合意に基づいて作成される法的効力を持つ書類です。
記載内容に従って遺産を分けることが義務づけられるため、後々の誤解や争いを防ぐだけでなく、相続財産の分割を正式に確定させ、相続人同士の権利関係を明確にすることができます。

協議書を作成することで得られる具体的な効果は、主に次の2点です。
①法的効力の確保
遺産分割協議書は法的効力を持つため、後から異議を申し立てることが難しくなります。
②遺産分割の確定
相続財産の分割が確定することで、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きがスムーズに進められます。
遺産分割協議書を活用することのメリット
遺産分割協議書を活用することには、以下4つのメリットがあります。
①相続トラブルの防止
相続人間の誤解や争いを防ぎ、円滑な遺産分割を実現します。
②法的効力の確保
法的効力を持つことで、相続財産の分割を確定させることができます。
③相続税申告への活用
相続税の申告時に、分割内容を証明する重要な書類として利用できます。
④相続人の権利明確化
各相続人の権利が明確になるため、将来のトラブル防止につながります。
あわせて読みたいコラム
・遺産分割協議書の必要性とは?作成しない場合に起こる4つの相続リスク
遺産分割協議書と遺言書の違い
遺産分割協議書とよく混同される書類に「遺言書」があります。
遺言書も相続時に法的効力を持つ書類ですが、遺産分割協議書とは異なる特徴があります。

以下の図1の表に、それぞれの特徴を比較してみます。
項目 | 遺産分割協議書 | 遺言書 |
---|---|---|
目的 | 相続人全員が遺産をどのように分けるかを決定するための書類 | 被相続人が自分の死亡後に遺産をどのように分けるかを遺言として書き残すための書類 |
作成時期 | 相続が発生した後、相続人全員が協議し合意した内容を記載 | 被相続人が生前に作成する |
法的効力 | 相続人全員の合意が必要で、合意内容に基づき遺産の分割が確定 | 遺言書は遺言者の意志に基づいて遺産を分割し、相続人全員の合意を必要としない |
特徴 | 全員の署名と押印が必要で、相続財産の分割方法に関する取り決めを行う | 遺言者単独で作成し、遺産の分割方法や相続人の指定ができる |

ちなみに、「被相続人」とは、相続の際に財産を残す人、つまり亡くなった方のことですよ。
参照コラム
・相続を理解するための専門用語ガイド:直系卑属、遺留分などの基礎知識
遺産分割協議書の作成費用の相場とは?

相続人自身で遺産分割協議書を作成する場合、基本的には費用はかかりません。
一方、遺産分割協議書は、行政書士や弁護士、税理士などの専門家に依頼して作成することも可能です。

この章では、専門家に依頼した場合の作成費用の相場について、詳しく見ていきます。
遺産分割協議書作成の費用に含まれる項目
遺産分割協議書の作成には、どのような費用がかかるのでしょうか。

専門家に依頼して作成する場合、費用には主に次の4つの項目が含まれます。
①専門家への報酬
専門家に支払う基本報酬で、金額は遺産の規模や相続人の数、案件の複雑さによって変わります。
②書類作成費用
相続財産に関する書類(不動産の名義変更や預貯金の解約手続きなど)を作成するための費用です。
③実費(印紙代・郵送料・交通費など)
遺産分割協議書に必要な印紙代や、郵送にかかる送料、専門家が訪問する際の交通費などが含まれます。
④相談料
初回相談にかかる費用や、必要に応じて追加でかかる相談費用が含まれる場合があります。
4つの仕業の費用相場
遺産分割協議書の作成を、4つの専門家に依頼した場合の費用相場は以下の通りです。
弁護士:5万円〜15万円程度。
司法書士:3万円〜12万円程度。
行政書士:3万円〜8万円程度。
税理士:遺産総額の0.5%〜1.0%。

それぞれの費用について、詳しく見ていきましょう。
弁護士に依頼する場合
弁護士に依頼する場合、遺産分割協議書の作成費用は通常5万円〜15万円程度です。
複雑なケースや遺産額が大きい場合、費用が増加することがあり、特に、高額な遺産や相続人間での調整が必要な場合には、費用が高くなることがあります。
出典:日本弁護士連合会『弁護士費用(報酬)とは』
司法書士に依頼する場合
司法書士に依頼する場合、遺産分割協議書の作成費用は3万円〜12万円程度が一般的です。
司法書士は登記業務を多く取り扱っているため、不動産関連の調査や相続登記と一緒に依頼することが多く、その場合は登記費用が別途発生することがあります。
出典:日本司法書士連合会『司法書士の報酬』
行政書士に依頼する場合
行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合、費用は3万円〜8万円程度です。
行政書士は法的アドバイスを提供することはできませんが、遺産分割協議書の作成を代行します。
また、相続人や相続財産の調査を依頼する場合、別途3万円〜7万円の費用がかかることがあります。
出典:日本行政書士会連合会『報酬額の統計』
税理士に依頼する場合
税理士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合、費用は遺産総額の0.5%〜1.0%が相場です。
例えば、相続財産が1000万円の場合、報酬は5万円〜10万円程度となります。
税理士は相続税の計算や申告書の作成も行い、相続税に関する業務とセットで依頼することが一般的です。
出典:弥生会計『税理士に依頼する場合の報酬相場』

※費用はあくまで目安なので、詳しくはそれぞれの専門家によって異なります。
4つの仕業がそれぞれ行えること
弁護士、司法書士、行政書士、税理士に相続時に依頼できる内容はそれぞれ決まっており、依頼する内容によって費用が異なる場合があります。

上記4つの専門家がそれぞれ行える業務を、以下の図2の表にまとめてみます。
仕業 | 依頼できる内容 |
---|---|
弁護士 | ・遺産分割協議書の作成 ・相続に関する法的アドバイス ・相続人間の調整 ・相続問題に関する訴訟対応 |
司法書士 | ・相続登記の手続き ・遺産分割協議書作成サポート ・不動産の調査と登記関連の業務 |
行政書士 | ・遺産分割協議書の作成 ・相続財産の調査 ・相続人の調査 |
税理士 | ・相続税の申告 ・相続税計算のサポート ・遺産分割協議書の作成(税務関連) |
遺産分割協議書作成費用を抑える方法とは?

先ほどの章で、専門家に依頼した場合の費用相場についてはご理解いただけたかと思います。

それでは最後に、遺産分割協議書の作成費用を抑える具体的な方法について見ていきましょう。
相続について相談できるサイト
・相続税に特化したFP無料相談
作成コストには費用だけでなく時間も含まれる
遺産分割協議書を作成する際のコストは、単にお金だけではありません。
「時間」も重要なコストとして考える必要があります。
たとえば、相続人同士の意見をまとめたり、必要書類を揃えたりする作業には、専門家に依頼した場合でもある程度の時間がかかります。
特に相続人が多い場合や、遺産の種類が複雑な場合には、協議自体に時間を要することが少なくありません。
さらに、書類作成や手続きの確認にかかる時間は、費用にも影響します。
時間がかかれば専門家の作業時間も増えるため、報酬が高くなる可能性があるのです。
そのため、遺産分割協議書を効率的に作成するには、事前準備を整え、協議をスムーズに進めることが重要です。
作成費用を節約するための4つのチェックリスト
協議書の作成費用(時間とコスト)を抑えたい場合は、以下4つのポイントをチェックしてみましょう。
①相続人全員の合意を事前に確認する
相続人全員の合意を事前に確認することで、協議がスムーズに進み、余分な費用や時間を削減できます。
②事前に必要書類を整える
必要書類を事前に準備することで、専門家に依頼する際の手間を減らし、追加費用を防ぐことができます。
③費用が明確な専門家に依頼する
料金体系が明確な専門家を選ぶことで、後から発生する可能性のある追加費用を避けることができます。
④オンラインサービスの利用を検討する
オンラインサービスを利用することで、対面での面談にかかる費用や時間を節約することができます。

遠方でもリモートで相談できるサービスもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ
今回の記事のまとめです。
遺産分割協議書の作成費用は、依頼する専門家によって異なります。
弁護士の場合は5万円〜15万円、司法書士は3万円〜12万円、行政書士は3万円〜8万円、税理士は遺産総額の0.5%〜1.0%が相場です。
作成費用や時間を節約するためには、料金体系が明確な専門家を選ぶことや、オンラインサービスを利用することが効果的です。