税額控除とは、算出された所得税額から一定額を直接差し引くことができる制度です。
同じ「控除」でも、所得から差し引く所得控除とは仕組みが異なり、税負担を軽減する効果が大きいのが特徴です。
しかし、「税額控除にはどのような種類があるの?」「どのように計算すればよいの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
この記事では、税額控除の基本的な仕組みや主な種類、具体例を交えた求め方をわかりやすく解説します。
3つのケースを参考にしながら、税額控除の計算イメージをつかみ、自分に活用できる制度を理解していきましょう。
この記事で分かること
- 税額控除の基本的な仕組み
- 代表的な税額控除の種類と3つの具体例
- 税額控除の求め方(計算方法)

税額控除の種類や求め方を、具体例を交えながら一緒に学んでいきましょう!
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税額控除とは?所得控除との違いと基本的な仕組み

税額控除とは、計算された所得税額から一定額を直接差し引くことで、税金の負担を軽減できる制度です。
所得税には、所得から一定額を差し引いて課税対象となる所得を減らす「所得控除」と、算出された税額そのものを減らす「税額控除」の2つがあります。
同じ「税負担を軽くする制度」でも、控除されるタイミングが異なるため、実際に軽減される金額にも違いがあります。

まずはこの章で、税額控除の基本的な仕組みや所得控除との違いを理解し、どのように税金の負担が軽減されるのかを確認していきましょう。
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税額控除の仕組みとは?3つの課税ポイント
税額控除は、計算した税額から直接差し引くことができるため、高い節税効果を持ちます。
課税所得とは、所得から必要経費や各種控除を引いた後の所得金額です。
例えば、課税所得が100万円、税率が20%、税額控除が10万円の場合です。
控除がなければ、税金は以下のように計算されます。
課税所得100万円 × 税率20% = 20万円
ここで、所得控除が10万円あると、税金は次のようになります。
(課税所得100万円 - 所得控除10万円) × 税率20% = 18万円
一方、税額控除の場合は次のように計算されます。
課税所得100万円 × 税率20% - 税額控除10万円 = 10万円
このように、税額控除は所得控除よりも税金を大幅に減少させることができるため、より効果的な節税手段と言えます。

上記の3つの違いについて、イメージできたでしょうか?
具体的な計算式は、最後の章で詳しく解説していきます。
税額控除はなぜ節税効果が高い?所得控除との違い
税額控除と所得控除は、どちらも税金の負担を軽減するための制度です。
しかし、大きな違いは「どの段階で税金を減らすのか」という点にあります。
所得控除は、所得税を計算する前に、所得から一定額を差し引く制度です。
一方、税額控除は、計算された所得税額から一定額を直接差し引く制度です。
つまり、
- 所得控除:税金を計算する前の「所得」を減らす
- 税額控除:計算後の「税金そのもの」を減らす
という違いがあります。
例えば、所得税率10%の人が10万円の所得控除を利用した場合、減少する税金は、
10万円 × 10% = 1万円
となります。
一方で、10万円の税額控除を利用した場合は、計算された所得税額から10万円がそのまま差し引かれます。
このように、同じ10万円の控除でも、差し引く対象が異なることで、実際に軽減される税金の金額には大きな違いが生まれます。
ただし、税額控除のほうが必ず節税効果が高いというわけではありません。
所得控除は、所得が高く適用される税率が高い人ほど節税効果が大きくなる場合があります。
そのため、どちらの制度が有利かは、利用する制度や自身の所得状況によって異なります。
大切なのは、「税額控除のほうが得」と単純に判断するのではなく、それぞれの仕組みを理解したうえで、自分が利用できる制度を正しく活用することです。

イメージしやすいように、下記図1をご覧ください。税額控除と所得控除の大きな違いは、税金を計算するどの段階で控除されるかという点です。

参照:
・国税庁『No.1200 税額控除』
税額控除の種類には何がある?代表的な3つの制度

税額控除には、住宅の取得や資産運用、海外での所得など、一定の条件を満たした場合に利用できるさまざまな制度があります。
所得控除とは異なり、税額控除は計算された所得税額から直接差し引かれるため、適用できる制度を知っておくことで税負担の軽減につながります。
代表的な税額控除には、以下のようなものがあります。
✅配当控除
✅外国税額控除
✅住宅ローン控除

この章では、配当控除、外国税額控除、住宅ローン控除の特徴を確認していきしょう。
配当控除とは?
配当控除とは、国内株式などの配当金を受け取った際に、一定額を所得税や住民税から差し引くことができる税額控除制度です。
この制度は、企業の利益に対してすでに法人税が課されていることを考慮し、同じ利益に対して個人にも課税される「二重課税」の負担を軽減する目的で設けられています。
例えば、国内企業の株式を保有していて配当金を受け取り、確定申告で総合課税を選択した場合は、一定の条件を満たすことで配当控除を受けられる可能性があります。
ただし、すべての配当金が配当控除の対象になるわけではありません。
NISA口座で受け取った配当金や、申告方法によっては配当控除を適用できないケースもあります。
配当控除の対象
・日本国内の法人からの配当金
・証券投資信託の分配金
・総合課税の適用を受けた配当所得
配当控除の対象外
・J-REITの分配金
・NISA口座で受け取る配当金
・申告分離課税を選択した配当金
・確定申告不要制度を選んだ配当金
上場株式の配当金は所得税等が源泉徴収されますが、確定申告で「総合課税」または「申告分離課税」のどちらかを選択する必要があります。
総合課税を選んだ場合のみ、配当控除が適用され、税金が軽減されます。
控除率は所得によって異なり、課税所得が1,000万円以下の場合は配当所得の10%、証券投資信託の配当金は5%(外貨建ての場合は2.5%)が控除されます。
出典:国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」
外国税額控除とは?
外国税額控除とは、外国で得た所得に対して納めた税金を、日本で納める税金から一定額差し引くことができる制度です。
日本では、原則として国内外を問わず得た所得に対して課税する「全世界所得課税」が採用されています。
そのため、海外で得た所得に対して現地で税金を納めた場合でも、日本で再び課税されることがあり、同じ所得に対して二重に税金を負担する「二重課税」が生じる可能性があります。
外国税額控除は、この二重課税による負担を軽減するために設けられた制度です。
外国税額控除を利用するには、主に次の2つの条件を満たす必要があります。
- 日本で所得税や住民税の課税対象となる所得であること
- 外国で所得税に相当する税金を実際に納めていること
なお、外国で支払った税金の全額がそのまま控除されるわけではありません。
控除できる金額には上限(控除限度額)が設けられており、その限度額は一定の計算式に基づいて算出されます。
外国税額控除限度額 = 日本で課税される所得税額 × (外国所得 ÷ 全所得)
この限度額を超える部分は、外国税額控除の対象外となり、その年の控除限度額を超えた金額は、翌年以降3年間にわたって繰り越して控除できます。
転用:国税庁「居住者に係る外国税額控除」
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、自宅を取得するなどの目的で住宅ローンを組んだ場合、一定の期間にわたってその費用の一部を所得税や住民税から控除できる制度です。
控除額
住宅ローンの年末残高の1%です。(一定の上限あり)
控除期間
通常10年ですが、特例で13年の場合もあります。
適用条件
・自らが住むための住宅であること
・床面積が50㎡以上であること
・住宅ローンの返済期間が10年以上であること
会社員は初年度に確定申告が必要ですが、翌年以降は年末調整で控除を受けられます。

住宅ローン控除については以下のコラム👇で詳しくまとめています。
税額控除の求め方って?住宅ローン控除を例に計算してみよう

税額控除は、計算された所得税額から、適用できる控除額を直接差し引くことで求めます。
所得税は、収入から所得控除を差し引いて課税所得を求め、その課税所得に税率をかけることで所得税額が計算されます。
そして、最後に税額控除を適用することで、実際に納める税金が決まります。
つまり、税額控除の基本的な求め方は、次の3つのステップです。
- 所得税額を計算する
- 適用できる税額控除額を確認する
- 所得税額から税額控除額を差し引く

それでは最後に、住宅ローン控除を例に、税額控除がどのように計算されるのか確認していきましょう。
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税額控除の求め方|住宅ローン控除の計算例
住宅ローン控除を適用する場合の条件を、以下のように仮定して計算を行います。
住宅ローン控除適用条件
・住宅ローン残高:1,200万円
・控除率:0.7%(住宅ローンの年末残高に基づく)
・控除期間:10年(通常)
住宅ローン控除額
=住宅ローン残高×控除率
=1,200万円×0.007
=84,000円
仮に、課税所得に基づく税額が20万円だった場合、税額控除を適用すると以下のようになります。
最終納税額
=課税所得に基づく税額−住宅ローン控除額
=200,000ー84,000
=116,000円

住宅ローン控除を活用する際は、具体的な金額をより明確に算出することが大切です。
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まとめ:税額控除の仕組みを理解して上手に活用しよう
税額控除とは、計算された所得税額から一定額を直接差し引くことで、税金の負担を軽減できる制度です。
所得控除とは異なり、税額控除は税金そのものを減らす仕組みのため、どのような制度があるのかを理解しておくことが大切です。
住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除など、自分の状況に合った制度を正しく活用することで、家計の負担軽減につながります。
まずは、自分が利用できる税額控除があるかを確認し、税金の仕組みを上手に活用していきましょう。



