月々の医療費が高額になると、家計への負担が大きくなってしまいますよね。
そんなときに知っておきたいのが、「高額療養費制度」です。
この制度では、あらかじめ決められた自己負担限度額を超えた医療費について、後から払い戻される仕組みになっています。
「でも、自己負担限度額ってどうやって決まるの?」「申請は難しくないのかな?」といった疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自己負担限度額の基本や計算方法、高額療養費制度の具体的な利用手順について、わかりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- 高額療養費制度の基礎知識
- 自己負担限度額の計算方法
- 制度を利用する際の注意点やポイント

70歳以降に変わる自己負担限度額についても、一緒に確認していきましょう。
自己負担限度額とは?高額療養費制度の基本を解説

高額療養費制度の「自己負担限度額」とは、医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が後から払い戻される仕組みです。
この限度額は、所得や家族構成に応じて設定されており、制度を活用することで、医療費の自己負担を大きく抑えることができます。

それではまず、高額療養費制度の基本的な仕組みから見ていきましょう。
自己負担限度額の定義と役割
自己負担限度額とは、高額療養費制度において、患者が1か月あたりに自己負担する医療費の上限額を指します。
自己負担限度額は、患者の所得や家族構成に応じて異なり、支払うべき自己負担額の上限を定めることで、突発的な高額医療費の負担を軽減する役割を果たします。
自己負担限度額を決定する3つの要素
①所得
所得が高い人は自己負担限度額が高く、所得が低い人は限度額が低く設定される傾向にあります。
➁家族構成
扶養家族の有無や家族全体の収入などが影響します。
③加入している保険
健康保険の種類(会社の健康保険や国民健康保険)によっても異なる場合があります。
参照サイト
・医療費の自己負担|厚生労働省
自己負担限度額によるメリット
自己負担限度額が家計にもたらすメリットとして、主に以下の3点が挙げられます。
1. 経済的負担の軽減
高額な医療費が発生しても、自己負担限度額を超えた分は健康保険で補填され、家計への負担が軽減されます。
2. 予測可能な医療費
自己負担限度額が設定されていることで、医療費の上限が明確になり、計画的な費用管理が可能になります。
3. 公平な負担の実現
所得や家族構成に応じて自己負担限度額が設定されるため、経済的に困難な状況にある人でも適切な負担額に調整されます。
高額療養費制度が適用される場合の所得区分
高額療養費制度が適用される場合、医療費の自己負担額は所得や年齢によって異なります。
所得が高い人ほど自己負担限度額が高く、低い場合はその限度額が低く設定されます。
この制度の所得区分は、主に以下の5つの段階に分かれています。
所得に応じた区分の基準額
1. 住民税非課税者
2. 約370万円未満
3. 約370万~770万円
4. 約770万~1,160万円
5. 約1,160万円以上

また、上記の区分は70歳以上か70歳未満かによって適用される金額が異なるため、次の章で詳しく見ていきましょう。
自己負担限度額の計算方法と仕組み

自己負担限度額は、一般的にご自身やご家族の所得や家族構成をもとに決まります。
また、加入している健康保険の種類や受けた治療内容によっても異なる場合があります。

次にこの文章では、年齢ごとの自己負担限度額について見ていきましょう。
所得区分による自己負担限度額の違い
お伝えしてきた通り、自己負担限度額は年齢や所得区分によって異なります。
特に、70歳未満かどうかで適用される金額が変わるため、所得区分ごとの負担額を確認しておくことが重要です。
70歳未満の自己負担限度額
まず、70歳未満の自己負担限度額について見ていきましょう。
以下図1の表では、70歳未満の各所得区分に応じた自己負担限度額をまとめています。
所得区分(年収の目安) | 自己負担限度額(通常) | 自己負担限度額(多数該当) |
---|---|---|
住民税の非課税者等 | 35,400円 | 24,600円 |
~約370万円 | 57,600円 | 44,400円 |
約370万~770万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
約770万~1,160万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
約1,160万円~ | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
出典:厚生労働省『医療費の自己負担』より

「多数該当」とは、過去12ヶ月以内に3回以上自己負担限度額に達した場合、4回目以降の負担額が軽減される制度です。
参照サイト
・高額療養費の多数該当とは?【医療事務員がわかりやすく解説】 | 医療コンパス
70歳以上の自己負担限度額
次に、70歳以上の自己負担限度額についてです。
年収区分 | 自己負担限度額(通常) | 自己負担限度額(多数該当) |
---|---|---|
住民税非課税(所得が一定以下) | 15,000円 | - |
住民税非課税 | 24,600円 | - |
〜年収約370万円 | 57,600円 | 44,400円 |
年収約370〜約770万円 | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% | 44,400円 |
年収約770〜約1,160万円 | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% | 93,000円 |
年収約1,160万円〜 | 252,600円+(医療費−842,000円)×1% | 140,100円 |
出典:厚生労働省『医療費の自己負担』より

自身の自己負担限度額を正確に知りたい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのもおすすめです。
FPに無料相談できるサイト
・家計見直しに特化したFP無料相談
高額療養費制度を利用する手続きと流れ

繰り返しになりますが、高額療養費制度の対象となる1ヵ月の自己負担限度額は、年齢や所得額によって決まっています。

それでは最後に、高額療養費制度を利用するための具体的な手続き方法について見ていきましょう。
申請の流れと必要書類
高額療養費制度を利用する手続きは、以下5つのステップで進めていきます。
1. 自己負担額の支払い
総医療費が1ヵ月あたりの自己負担限度額を超えた場合、医療機関で自己負担限度額までの金額を支払います。
2. 高額療養費の申請
受診後、自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けるために申請手続きを行います。
申請には、以下の書類などが必要となることがあります。
・申請書(健康保険組合などから入手)
・医療費の領収書
・診療報酬明細書(明細が必要な場合)
・健康保険証など
3. 申請先
加入している健康保険(会社の健康保険や国民健康保険など)を通じて申請するため、ご自身が加入している保険組合や市町村の窓口に提出します。
4. 申請結果の通知
申請が受理されると、通常数週間から1ヶ月程度で結果が通知されます。
5. 払い戻しの受け取り
払い戻し金額は、指定した銀行口座に振り込まれることが一般的です。

高額療養費制度をスムーズに利用するためには、必要書類を早めに準備して申請することが大切です!
申請時の注意点
自己負担限度額を計算する際の対象となるのは、健康保険が適用された医療費であり、個人の負担割合(1~3割)に基づいた自己負担額です。
そのため、自由診療や差額ベッド代などの諸費用は計算の対象外となる点に注意が必要です。

以下で、対象となる医療費と対象外となる医療費を確認してみましょう。
対象となる医療費
・健康保険が適用された診療費
(例:診察、手術、検査など)
・保険適用の入院費
(例:病室代、食事代、治療費)
・保険適用の薬剤費
(例:処方薬、病院で使われる薬)
・医師の指示による治療やリハビリ
(例:透析、放射線治療など)
対象とならない医療費
・自由診療
(例:美容整形、予防接種、健康診断など)
・差額ベッド代
(例:個室や特別室など、本人の希望による入院費の追加料金)
・保険適用外の医療器具や薬剤
(例:先進医療にかかる技術料、高機能義足などの装具類)
・一部の自己負担の追加費用
(例:保険が効かない選択療法や薬剤、希望による特別な治療法など)

対象・不対象の区別は難しいことがあります。
そんな時は、専門家に相談してみると安心ですね。

まとめ
今回の記事のまとめです。
高額療養費制度の自己負担限度額は、1ヶ月に支払う医療費の上限額を示し、所得や年齢によって異なります。
特に70歳未満か70歳以上で適用される金額が異なるため、所得区分ごとの負担額を確認することが大切です。