自由な働き方の代表として、フリーランスが挙げられます。
会社員とは異なり、収入を自分でコントロールしたり、休むタイミングを自由に決定できるのは大きなメリットです。
しかし、実際には、自分で収入を得るためには、仕事の獲得や納期の管理など、多くのチャレンジが伴います。
さらに、フリーランスを始めると、日々の業務に追われて時間管理が難しくなる可能性もあります。
そのため、フリーランスとして活動を始める前に、その働き方や必要手続きなどについて理解しておくことが重要です。
この記事で分かること
- フリーランスになる前にやるべきこと
- フリーランスが抱える悩みとその対策

本記事は、フリーランスとして本格的に活動を始める方向け(開業届、税務申告など)の内容です。
フリーランスを始めるための準備
フリーランスとして活動を始めるための、準備を整えましょう。
活動開始にあたって必要な資金や届け出など、事前に確認すべきポイントを、初めにこの章で学んでいきましょう。
開業前に整えておくべき環境
フリーランスとして開業する前に、いくつか環境を整えておくことが大切です。
まず、仕事に集中できる作業環境を整えることが必要です。
自宅で仕事をする場合、専用のデスクや椅子、照明など、快適に作業できるスペースを作りましょう。
次に、ビジネスインフラも重要です。
仕事用の専用銀行口座を開設しておくことで、収入や経費の管理が容易になります。
また、会計ソフトを導入して、日々の経理作業を効率化することも大切です。

フリーランスは自身で税務処理を行うことが多いため、早い段階でこうした仕組みを整えておくとスムーズに業務を進められます。
フリーランスに必要な手続きの確認
開業にあたり、税務関連の手続きも準備しておく必要があります。
青色申告を希望する場合は、青色申告承認申請書を提出することを忘れずに行いましょう。
また、社会保険や年金の確認も重要です。
フリーランスになると、国民健康保険や国民年金に加入する必要があるため、手続きや支払いについても把握しておきましょう。

会社員からフリーランスになる場合、前職の任意継続保険を利用すると、保険料が安くなる場合があります。
関連コラム
・脱サラ後に任意継続保険を選ぶメリットとは
初期投資や費用について知る
フリーランスとして活動を始めるためには、いくつかの初期投資が必要です。
以下に、初期投資としてかかる主な費用を3つ挙げてみます。
①必要な機材などの備品購入費用
フリーランスの活動に必要な機材として、パソコンや会計ソフトなどが挙げられます。
②事務所や作業スペースの賃料
自宅以外で作業する場合、事務所などの賃料が必要です。保証金や管理費も発生する可能性があります。
③法的手続きに関連する費用
税務署に開業届を提出する際、外部サポートや税理士に依頼する場合は、サービス料が発生することがあります。
税理士紹介サービス
・近場の税理士を探すなら、税理士紹介ネットワークへ
フリーランスの開業届と税務手続き
次に、開業届と税務手続きについて見ていきましょう。
開業届は、事業開始から1か月以内に提出することが求められるなど、フリーランスが知っておくべきポイントがあるため、この章で一緒に学んでいきましょう。
開業届の提出方法と注意点
フリーランスとして活動を始める際、開業届の提出は重要な手続きです。
開業届を正しく理解し提出することで、所得税の節税対策に役立つことがあり、フリーランスとして活躍するうえで様々なメリットが得られます。
開業届の提出方法と注意点についてを、以下にまとめます。
開業届の提出方法
必要書類を準備する
開業届を提出する際には「個人事業の開業届出書」が必要です。この書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、税務署でも配布されています。
提出場所
開業届は、事業所の所在地を管轄する税務署に提出します。税務署の窓口だけでなく、郵送やe-Taxを利用して提出することも可能です。
提出期限
事業を開始してから1か月以内に開業届を提出する必要があります。
開業届の注意点
青色申告承認申請書も一緒に提出する
青色申告を希望する場合は、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」も提出する必要があります。申請書は開業日から2か月以内です。
開業日を正確に設定する
開業日はいつでも設定できますが、実際に事業を開始した日を基準に記載するのが一般的です。
後からでも変更可能
開業届に記載した内容に変更があった場合(例えば、事業内容や住所の変更など)は、その都度、変更届を提出する必要があります。
青色申告の基礎知識
青色申告は、個人事業主が所得税を申告する際に利用できる申告方式のひとつです。
青色申告を利用することで、税制上の優遇措置を受けることができます。
提出期限
青色申告を希望する場合、事業の開業日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
主なメリット3つ
①65万円の控除
正確な帳簿を作成し、損益計算書や貸借対照表を提出することで、最大65万円の所得控除が受けられます。
②赤字の繰り越し
事業が赤字になった場合、その赤字を翌年以降の所得と相殺することができ、3年間繰り越すことができます。
③家族への給与の経費計上
家族に支払った給与を経費として計上することが可能です。ただし、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。
確定申告を有効活用する
フリーランスは毎年1回、所得税の確定申告を行う義務があります。
確定申告は前年1年間の所得や経費を申告し、所得税額を確定させる手続きです。
申告期間
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に申告と納税を行います。
必要書類
確定申告の際には、事業に関する収支や経費の詳細が記録された帳簿、領収書、請求書などが必要です。また、青色申告の場合は、複式簿記による帳簿の作成と提出が求められます。
消費税の申告
一定の条件を満たした場合、所得税に加えて消費税の申告も必要です。消費税の課税事業者になるかどうかは、前々年の売上高が1,000万円を超えたかどうかで決まります。

確定申告を単なる手間と考えるのではなく、手元に資金を残すための大切な手続きと捉えましょう。
確定申告に関するコラム
・医療費控除の適応範囲と活用|個人事業主の確定申告
フリーランスが抱える悩みとその対策
では最後に、フリーランスに関する気になる悩みについて見ていきましょう。
ここでは、住宅ローンと年金の2つの要素について掘り下げていきます。
住宅ローンは審査が通りにくい?
フリーランスの方でも住宅ローンを組むことは可能ですが、会社員に比べて収入の安定性が低いと見なされるため、審査が厳しくなる可能性があります。
そのため、審査を通過するためにはいくつかのポイントがあります。
まず、収入の安定性を示すために、過去数年分の確定申告書を用意し、収入の推移を明確にすることが重要です。
また、信用情報も審査に影響を与えるため、クレジットヒストリーを良好に保つことが求められます。
さらに、自己資金を多めに用意することで、審査の通過率が高まる可能性があります。
これは自己資金が多いほど、ローンのリスクが低くなると判断されるためです。

フリーランス向けに柔軟な対応をしている銀行や金融機関もあるので、複数の金融機関に相談することが推奨されます。
住宅ローンについて相談できるサイト
・住宅ローン・住宅購入に特化したFP無料相談
老後の年金が少なくなる可能性がある?
フリーランスは厚生年金に加入できないため、老後の年金が少なくなる可能性があります。
そこで、以下の制度等を活用して、将来に向けた資産形成を行うことが重要です。
小規模企業共済
自営業者のための退職金制度で、老後の生活資金として利用できます。拠出金は全額が所得控除の対象となります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
自身で運用を行いながら老後資金を積み立てる制度です。拠出金は全額が所得控除の対象となります。
新NISA(少額投資非課税制度)
個人投資家向けの税制優遇制度で、上場株式や投資信託などの投資によって得られた利益が非課税となります。
国民年金基金
自営業者のための年金制度で、iDeCoと合わせて月額6万8,000円まで掛けられ、全額が社会保険料控除の対象です。(令和6年度11月時点)

老後の年金や資金作りに役立つ情報をお探しの方は、以下のMANEMOの記事をご覧ください。
老後の年金や資金作りについて学べるサイト
①https://www.41fp.com/media/
②https://www.41fp.com/media/retirement-fund/furiransugamoraerunenkinhadonokurai/
まとめ
今回の記事のまとめです。
フリーランスとして活動を開始するには、事前に必要な資金を把握することが重要です。
初期費用としては、パソコンや机などの備品購入に加え、事業場所の賃料が発生する場合もあります。
また、開業には税務関連の手続きが必要となります。
フリーランスとして活動する際には、住宅ローンの審査が通りにくいことや、老後の年金が少なくなる可能性といった悩みもありますが、これらの不安は適切な対策を講じることで軽減できます。