人生のライフプランにおいて、不動産の所有は資産形成や相続計画の中心となることが多いですよね。
そのため、不動産の価格を把握する不動産査定は非常に重要ですが、初めての方は「何から着手すればよいのか」と戸惑うことも少なくありません。
この記事では、不動産査定の基本や査定結果の見方、さらに査定後にFPに相談するメリットについて、わかりやすく解説します。
この記事で分かること
- 不動産査定の基本的な流れやポイント
- 査定結果の正しい見方と活用方法
- 査定後にFPに相談するメリット

不動産査定を行うことで得られるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
不動産査定の基礎知識と重要ポイント

不動産に限らず、高額なものを取引する前には、その価値や相場を正しく把握したいものですよね。
不動産においても同様で、適切に価格を把握することにはさまざまなメリットがあります。

まずはじめに、不動産査定とはどのようなものか、一緒に見ていきましょう。

そもそも、不動産査定とは?
不動産査定とは、専門家が土地や建物の価値を調査し、その物件がおおよそどのくらいの価格で売れるかを推定することです。
この査定結果は、不動産の売買や相続、資産管理、融資の担保評価など、さまざまな場面で重要な判断材料となります。
正確な査定を受けることで、適正な価格を把握し、資産運用や各種手続きをスムーズに進めることが可能になります。
不動産査定の3つの種類
不動産査定には、主に3つの種類があります。
①簡易査定(机上査定)
・主にインターネットや資料を基に、現地調査を行わずに実施する査定方法。
・迅速かつ手軽に依頼できる(メリット)。
・詳細な物件状況が反映されにくい(デメリット)。
②訪問査定(詳細査定)
・査定士が実際に現地を訪問し、建物の状態や周辺環境を確認して評価を行う方法。
・より正確な査定が期待できる(メリット)。
・調査結果が出るまでに1週間程度かかる(デメリット)。
③AI査定
・過去の成約データをもとに人工知能(AI)が査定価格を算出する方法。
・個人情報を伝えずに手軽に査定を受けられる(メリット)。
・物件の細かい特徴や特殊事情が反映されにくい(デメリット)。
査定額に影響を与える主な要素
査定額に影響を与える主な要素には、以下のようなものがあります。
1. 立地条件
交通の便や周辺環境、商業施設や学校の近さなど、場所の魅力が価格に影響します。
2. 物件の種類・用途
戸建て、マンション、土地などの種類や、住宅用・商業用などの用途によって査定額が変わります。
3. 面積・規模
土地の広さや建物の延床面積が大きいほど、価値が高くなる傾向があります。
4. 築年数・建物の状態
新築に近いほど価値が高く、経年劣化や修繕の必要がある場合は査定額が下がります。
5. 周辺の取引事例
近隣で実際に取引された類似物件の価格が参考にされます。
6. 市場動向
地域の不動産市況や経済状況、金利動向も査定額に影響します。
7. 設備や付帯条件
駐車場の有無や設備の充実度、日当たりや眺望なども査定に影響します。
8. 法的規制・用途地域
建ぺい率や容積率、用途地域の制限など、土地利用の制限がある場合に価格に影響します。
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査定価格の計算方法とは?
査定価格の計算方法には、主に以下3つのアプローチがあります。
1. 取引事例比較法
取引事例比較法とは、類似する不動産の過去の売買価格を比較して、対象物件の価値を推定する方法です。
周辺の取引事例をもとに査定価格を算出するため、市場価格に近い評価が得られやすく、取引件数が多い地域でよく用いられる傾向にあります。
主にマンションや土地(一戸建ての土地部分を含む)の査定に適しているのは、これらの不動産は類似物件の取引データが豊富に存在し、比較がしやすいためです。
2. 原価法(積算法)
原価法とは、不動産の再調達価格(再建築費用)から経年劣化や損耗分を差し引いて、対象物件の価値を算出する方法です。
建物の構造や築年数に基づいて評価を行うため、特に新築物件や建物の価値が重視されるケースで用いられます。
ただし、土地の価値は反映されにくいため、土地部分の査定には他の方法と併用されることが一般的です。
3. 収益還元法
収益還元法とは、不動産が将来生み出すと期待される収益(賃料収入など)を基に、現在の価値を算出する方法です。
賃貸物件や商業施設など、収益性が重視される不動産の評価に適しており、収益の安定性や市場の利回りを考慮して査定価格を導き出します。
ただし、収益予測の不確実性や市場環境の変動によって評価が左右されやすいため、専門的な知識と経験が求められます。
不動産査定について相談できるサイト
・スピード売却、訳あり物件の買取なら不動産買取「WISH」
FP相談で広がる資産運用とマネープランの可能性

「不動産査定は不動産の専門家に相談すれば十分なのでは?」そう思われるかもしれません。
しかし、不動産査定が終わった後にも重要なステップがあります。

この章では、査定後にFP相談を行うことで得られるメリットについて見ていきましょう。
不動産売却でFPに相談すべきリスク管理の2つのポイント
不動産売却時には、FPに相談することで、以下2つのリスクを回避することができます。
1.住宅ローン残債の確認忘れによるリスク
不動産を売却する前には、住宅ローンの残債を確認しておくことが重要です。
売却代金でローンを一括返済する際、残債が売却価格を上回る場合は追加の資金が必要になることがあります。
そのため、残債を正確に把握することで、適切な売却価格の目標設定ができ、返済計画も立てやすくなります。
また、金融機関との手続きがスムーズに進み、売却が成立しないリスクも回避できます。
2.税金や諸費用の見落としによる金銭トラブルのリスク
不動産売却には、譲渡所得税や仲介手数料、登記費用など、多くの費用や税金が伴います。
これらの費用を事前に把握せずに売却を進めると、予想以上の支出が発生し、売却後の資金計画に影響を及ぼす可能性があります。
特に譲渡所得税は控除や特例の適用条件など複雑な面もあり、正確な理解が必要です。
こうしたリスクを避けるためには、早い段階でFPや税理士などの専門家に相談し、必要な費用や税金の詳細を確認しておくことが重要です。
適切なアドバイスを受けることで、売却に伴う金銭的なトラブルを未然に防ぎ、安心して売却手続きを進めることができます。
用途に応じた査定の活用〜今後のライフプランで期待できること〜
不動産査定は、多くの場合、個人が不動産を売却する際に活用されますが、それ以外にも今後のライフプランにおいて次のような効果が期待できます。
まず、相続や贈与の対策として、正確な査定額を活用することで、相続税や贈与税の節税策を具体的に立てることが可能です。
これにより、大きな税負担を軽減でき、将来的な経済的負担を抑えられます。
また、賃貸運用においては、査定価格を基に適切な賃料を設定することで、空室リスクを抑えつつ収益を最大化できます。
その結果、安定した収入の確保につながり、長期的な資産運用を支える重要なポイントとなります。
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不動産査定を最大限に活用するポイント

査定は重要ですが、実際の物件には訳アリ物件やゴミ屋敷、再建築不可の物件、共有持ち分など、さまざまな事情があります。
そのため、思うように不動産を売買できないことも珍しくありません。

最後に、不動産査定を行う際に押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

査定にかかる費用の把握
基本的に、不動産の査定は無料で行われることが多いです。
これは、不動産会社が売却や賃貸の依頼を受ける前に、物件の価格をおおまかに見積もるサービスで、多くの場合、無料で対応しています。
一方で、「不動産鑑定士」という国家資格を持つ専門家による査定は、一般的に有料です。
不動産鑑定士は、法律で定められた「不動産鑑定評価基準」に基づいて、物件の詳細な価値を専門的に評価します。
そのため、より正確で客観的な評価が必要な場合や、裁判や税務申告などの公的な場面では、不動産鑑定士による有料の査定が求められます。
不動産査定の4つの選択肢
不動産査定先は、住んでいるエリアや希望条件に合わせて選ぶことが大切です。

査定先の主な選択肢として、次の4つがありますよ!
1. 大手不動産会社
全国どのエリアでも相談でき、豊富な市場データを活用して比較的正確な査定を受けられます。
2. 地域密着型の不動産会社
地元の相場や特殊な事情に詳しく、地域の特性を考慮した査定が可能です。
3. 不動産一括査定サイト
複数の不動産会社に一括で査定を依頼でき、価格やサービスを比較しながら効率的に選べます。
4. 不動産鑑定士への個別相談
独立系不動産鑑定士に個別に依頼する方法で、個人的なニーズに合わせた査定を受けられます。
査定先を選ぶ際のチェックポイント
不動産査定先を選ぶ際には、次の5つのポイントを押さえておきましょう。
1. 査定の目的を明確にする
売却や相続、資産管理など、目的に応じて適切な査定先を選ぶことが大切です。
2. 査定方法を確認する
訪問査定や机上査定(簡易査定)など、査定目的に合った方法を選ぶことが大切です。
3. 査定実績や口コミをチェックする
査定先が信頼できる業者かどうか、過去の実績や利用者の評判を確認することが大切です。
4. 担当者の対応を確認する
査定先が親身に相談に乗ってくれるか、説明がわかりやすいかも選ぶ際の重要なポイントになります。
5. 複数社に査定依頼をする
1社だけでなく複数の会社に査定を依頼し、価格や対応の違いを比較することも大切です。

不動産査定は基本的に無料で行えるため、まずは気軽に相談してみましょう。
不動産査定について相談できるサイト
・スピード売却、訳あり物件の買取なら不動産買取「WISH」
まとめ
今回の記事のまとめです。
不動産査定とは、専門家が土地や建物の価値を調べ、おおよその売却価格を推定することです。
査定結果は、売買や相続、資産管理、融資などの判断材料として活用されます。
FPなどに相談することで、売却後の残債リスクや譲渡所得税、仲介手数料などの費用軽減にも役立てることができます。