つい先日、美容室で散髪をしてもらっているとき、お世話になっているマスターから興味深い話を聞きました。
なんと、先月、アパート一棟を投資目的で購入したというのです。
彼女は個人事業主で、以前から投資用の不動産を持ちたいと話していました。
不動産投資は、多くの人にとって魅力的な資産形成の手段ですが、始めるには慎重な計画と基礎知識が欠かせません。
そこで本記事では、不動産投資が資産形成において注目される理由と、投資初心者が押さえておくべきポイントについて詳しく見ていきます。
この記事で分かること
- 不動産投資の基本的概要
- 不動産投資の始め方
- 資産形成における不動産投資の活用

不動産投資がどのように節税につながるのか、一緒に見ていきましょう。
不動産投資の基本

不動産投資を行うことで、どのようなメリットやデメリットがあるのかを理解しておくことは大切です。

まずは、不動産投資の基本的な知識について学んでいきましょう。
そもそも、不動産投資とは?
不動産投資とは、不動産を購入して賃貸収入や売却益などの収益を得る投資法です。
その収益には、賃料から得る「インカムゲイン」と、不動産を売却した際の利益である「キャピタルゲイン」の2つがあります。
- インカムゲイン
賃貸収入から経費やローン返済を差し引いた実質的な収益で、景気変動の影響を受けにくいのが特徴です。 - キャピタルゲイン
不動産の購入価格と売却価格の差額による利益で、価格変動によるリスクはあるものの、一度の取引で大きな収益を得られる可能性があります。
不動産投資のメリットとデメリット
不動産投資には、さまざまなメリットとデメリットが存在します。

不動産投資のメリットとして、以下の4つが挙げられます。
メリット
①固定収入の確保
家賃収入により毎月安定した収入が見込め、収支の見通しも立てやすいのが特徴です。
➁融資を活用した低自己資金でのスタート
ローンを活用することで、少ない自己資金でも投資を始められ、資産を効率的に運用することが可能です。
③節税効果
家賃収入から経費を差し引くことで所得税や住民税の軽減につながり、他の所得と相殺できる点も節税対策として有効です。
④相続・贈与税対策
不動産は相続時に実勢価格より低く評価される傾向があり、相続税や贈与税の負担軽減が期待できます。
⑤長期的な資産形成
長期的な視点で資産を築くことができ、老後の備えやリタイア後の収入源としても活用できます。

一方で、デメリットには、次の3つが挙げられます。
デメリット
①高利回りの期待ができない
一般的にはミドルリスク・ミドルリターンの投資法であり、高い利回りは期待しづらい傾向にあります。
➁流動性が低い
不動産は流動性が低く、物件選びや市況の変動によっては売却が難しくなることがあります。
③維持管理費用がかかる
初期費用に加え、税金や保険料、修繕費・管理費などの維持管理費用が継続的にかかります。
不動産投資に伴う主なリスクとは?
当然ながら、不動産投資には収益の可能性がある一方で、リスクも存在します。

以下に、不動産投資に伴う6つのリスクを挙げてみます。
- 空室リスク
リスク:空室が生じると家賃収入が減少する可能性。
対策:人気エリアや条件の良い物件を選び、入居者の入れ替わりが激しい場合には適切な礼金設定をする。 - 家賃滞納リスク
リスク:入居者の経済状況が急変し、家賃滞納が発生する可能性。
対策:入居者の審査を徹底し、滞納が発生した場合は早急に対処する。 - 災害リスク
リスク:自然災害により物件が損傷し、保険金だけでは不足する可能性。
対策:ハザードマップを参考にし、耐震性の高い物件を選定。保険料と収益のバランスを考慮する。 - 管理不全のリスク
リスク:管理不足により物件価値が低下し、入居者がつきにくくなる。
対策:信頼できる管理会社を選定し、物件の維持管理に力を入れる。 - 事故物件になるリスク
リスク:物件内での事故や死亡が発生し、物件価値が下がり入居者がつきにくくなる。
対策:早急に問題を解決し、必要に応じて家賃を調整し、物件を手放すことも検討する。 - 借入額が多額になるリスク
リスク:多額のローンを抱え、収益が減少した場合に返済に苦しむ可能性。
対策:毎月の返済を安定的に行える収益を確保。返済能力の適正な範囲でローンを活用する。

肝要なのは、上記リスクを検討し、適切な対処策を講じておくことです。
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不動産投資を始める前に知っておきたいこと

不動産投資に興味があるけれども、まずは何から取り掛かれば良いのか、という疑問が生じるかもしれません。
不動産投資にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴やリスクが存在します。

この章では、不動産投資の種類とその始め方について学んでいきましょう。

不動産投資の種類
不動産投資において、適切な投資対象を選ぶことは大切です。

不動産投資対象として、主に以下の5つが挙げられます。
- 区分マンション
マンションの一室ごとに所有権が分かれている“区分所有”の物件が対象。比較的少ない資金で始められ、リスクを分散しやすいのが特徴。 - 一棟アパート・一棟マンション
一棟アパートや一棟マンションが対象。複数の収入源が一つの建物に集約されるため、リスクを分散しやすく、家賃収入の安定性が高い。 - 戸建て住宅
一戸建て住宅が対象。中古物件が主流であり、築年数や立地によっては比較的少ない資金で始められるメリットがあるが、最低限のリフォーム費用が必要。 - シェアハウス・民泊
シェアハウスや宿泊施設としての利用が可能な戸建て住宅が対象。複数人からの収入が見込めるが、民泊を行う場合は事業の届出が必要。 - 土地
建物に併用する土地、または独立した土地が対象。建物の補修や改修が不要で、負担費用が軽いのが特徴。
不動産投資を始めるためのポイント(投資初心者向け)
投資初心者が不動産投資を始めるには、以下8つのポイントを押さえておく必要があります。
- 基本的な知識の習得
不動産投資に必要な用語や手法、市場の特徴を書籍やセミナーなどで学び、基礎を身につけましょう。 - 投資目的の設定
資産形成や退職後の備えなど、投資の目的を明確にすることで、適切な戦略や物件を選びやすくなります。 - 資産状況の確認
自身が投資可能な資金や信用力、リスク許容度を把握し、現実的な投資計画を立てましょう。 - 市場調査
投資エリアや物件の需給状況、将来性を調査し、収益性の高い物件を見極めることが重要です。 - リスク管理
不動産投資に伴うリスクを事前に理解し、損失を最小限に抑えるための対策を講じましょう。 - 適切な資金計画
ローンの活用や自己資金の配分を含めた資金計画を立て、安定した運用を目指しましょう。 - 専門家の協力
不動産や税務、法務の専門家に相談することで、より安心かつ効果的に投資を進められます。 - 継続的な学び
市場や法律の変化に対応するため、常に最新情報を収集し、知識をアップデートし続けましょう。

リスク管理について学ぶことは、投資を進める上で大切なポイントですよ!
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不動産投資が資産形成に不可欠な理由

そもそも、なぜ不動産投資が資産形成に適しているのでしょうか?
不動産投資が資産形成に適している理由は、いくつかの要因に起因しています。
最後にこの章では、節税メリットと共に、資産形成における役割を整理してお伝えします。
節税メリットを活かした不動産投資戦略
不動産投資では、所得税や住民税を軽減できる節税メリットがあります。
そして、その主な仕組みとして、「減価償却」や「損益通算」が挙げられます。

節税において、それぞれのメリットを確認しておきましょう。
1. 減価償却
- 不動産投資の購入費用や建物・設備などの経年劣化による費用を、耐用年数に分割して経費に算入できる。
- 固定資産税、損害保険料、修繕費なども必要経費として計上できる。
2. 損益通算
- 不動産投資によって生じた赤字は、その損失を他の収入から差し引いて所得税や住民税を計算できる。
- 家賃収入から必要経費を差し引いた赤字額が損益通算対象となる。
不動産投資が資産形成に不可欠な理由3つ
不動産投資が資産形成で注目される理由は、主に次の3つです。
①時間と手間がかからないので本業と両立できる
不動産管理は委託できるため、本業に支障なく不労所得を得られる可能性があります。
➁老後資金を確保できる
年金だけでは不足する老後の生活費を、不動産収入で補える可能性があります。
③相続税対策に有効
資産を不動産に分散することで、相続時の税負担を軽減する効果が期待できます。

不動産投資を始めるには、まず基本的な知識を身につけることが重要です。

まとめ
今回の記事のまとめです。
不動産投資は、インカムゲインやキャピタルゲインを得る手段で、長期的な資産形成に有効です。
主なメリットとして、副収入の確保、節税、資産価値の増加が挙げられますが、物件の維持管理に費用がかかるなどのデメリットも存在します。
投資を始める際には、正しい知識を身につけ、市場動向や法的な要件を理解した上で、慎重に戦略を立てることが大切です。
補足
本記事は、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から不動産投資について解説したものであり、特定の投資を推奨または勧誘するものではありません。