『アセットアロケーションって本当に必要なの?』
アセットアロケーションは、資産運用において重要な戦略の一つです。
特に長期投資を行う際は、資産をどのように分けるかが、リスクを最小限に抑え、目標リターンを達成するための鍵となります。
本記事では、アセットアロケーションの基本的な考え方と、投資初心者でも実践しやすい効果的な運用方法について解説します。
この記事で分かること
- アセットアロケーションの基本的な考え方
- 長期投資におけるアセットアロケーションの役割
- 投資初心者でも実践しやすい運用方法

アセットアロケーションに関する知識を、一緒に学んでいきましょう。
そもそも、アセットアロケーションとは?

投資をされる方なら、一度は「アセットアロケーション」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
アセットアロケーションとは、資産運用において資金をどのように分けるか、つまり「資産配分」のことを指します。

まずはじめに、アセットアロケーションの概要について見ていきましょう。

アセットアロケーションの基本概念
アセットアロケーションとは、資産運用における戦略の一つで、投資家が資金を株式、債券、不動産、現金などの異なる資産クラスにどのように配分するかを決めるプロセスです。
この戦略の主な目的は、リスクを分散しながら目標とするリターンを達成することにあります。
たとえば、株式市場が不安定なときでも、債券や不動産など比較的安定した資産があれば、全体の資産価値の減少を抑えることができます。
資産クラスとは?(株式、債券、不動産など)
資産クラスには、代表的なものとして以下7つなどが挙げられます。
1. 株式(Equities)
企業の所有権を示す証券で、高いリスクを伴うが長期的に高いリターンが期待できる。
2. 債券(Bonds)
国や企業が発行する借金の証書で、安定したリターンを提供し、株式よりリスクが低い。
3. 不動産(Real Estate)
土地や建物への投資で、安定した収益を得られるが流動性が低く管理が必要。
4. 現金および短期金融商品(Cash and Cash Equivalents)
流動性が高く元本保証が多いが、リターンが低い。
5. 商品(Commodities)
金や石油、穀物などの天然資源に投資し、インフレヘッジや価格変動による利益を狙う。
6. 外国為替(Foreign Exchange, FX)
異なる国の通貨を交換する市場で、高リスク・高リターンが特徴。
7. オルタナティブ投資(Alternative Investments)
伝統的な資産クラス以外の投資で、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、アートなどが含まれる。
ポートフォリオとの違い
ポートフォリオとは、特定の株式や債券、不動産ファンドなど、具体的な投資商品の組み合わせを指します。
これは、アセットアロケーションの計画に基づいて構築されるものであり、商品の選択や変更が含まれる点が特徴です。
そのため、ポートフォリオはアセットアロケーションの実行結果と位置付けることができます。
アセットアロケーションとポートフォリオの違いを理解するためのポイント
・アセットアロケーション
どの資産クラスにどの割合で投資するかを決める「戦略」。
・ポートフォリオ
その戦略に基づいて選ばれた具体的な「投資商品の集合」。

ポートフォリオ構築について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
参照コラム
・ポートフォリオ戦略|資産運用を成功に導く効果的な組み方とは?
2つのアセット・アロケーション手法とは?

アセット・アロケーションには主に2つの代表的な手法があり、
それぞれの手法は投資家の目的やリスク許容度に応じて使い分けられます。

この章では、アセット・アロケーションの2つの投資手法について見ていきましょう。
①戦略的アセット・アロケーション (Strategic Asset Allocation)
戦略的アセット・アロケーションとは長期的な投資目標に基づき、資産配分をあらかじめ設定し、それを維持する手法です。
3つの特徴とメリット・デメリット
①リスクとリターンの最適化
長期的な視点でリスクとリターンのバランスを保つことを目的としています。
②固定的な配分
投資ポートフォリオをあらかじめ決められた割合(例: 株式60%、債券30%、現金10%など)で構成し、それを長期間維持します。
③リバランスの実施
市場変動により配分が崩れた場合、一定期間ごとに元の割合に戻す作業(リバランス)を行います。
メリット
・シンプルで分かりやすい。
・長期的な視野に基づき、市場の短期的な変動に左右されにくい。
・投資方針が明確になるため、感情的な取引を抑えることができる。
デメリット
・市場の状況に応じた柔軟性が乏しい。
・長期の市場環境変化に十分対応できない可能性がある。
②戦術的アセット・アロケーション (Tactical Asset Allocation)
戦術的アセット・アロケーションは、市場の短期的な動きを考慮し、資産配分を柔軟に調整する手法です。
3つの特徴とメリット・デメリット
①柔軟な配分
市場環境や経済状況を分析し、短期的な成長が見込まれる資産クラスに重点を置きます。
②市積極的な運用
現在の市場状況に基づいて資産配分を調整するため、より積極的な運用が可能です。
③資産配分の見直し
戦略的手法よりも頻繁に資産配分を見直します。
メリット
・市場の短期的なチャンスを捉えやすい。
・現在の市場状況に合わせた柔軟な対応が可能。
デメリット
・市場のタイミングを正確に予測するの難しさ。
・頻繁な取引が必要となるため、取引コストが増加する可能性がある。
・感情的な判断による失敗リスクが高まる。
効果的なアセットアロケーションを実現するためのポイントとは?

これまでアセットアロケーションの概要について解説してきましたが、実際に効果的な資産配分を行うためには、まず投資目的とリスク許容度を明確にすることが大切です。

最後に、効果的なアセットアロケーションを実現するためのポイントを確認していきましょう。

投資目的とリスク許容度の明確化
投資を始める際、まずは自身の投資目的を明確にすることが大切です。
例えば、資産を増やしたいのか、安定的な収入を得たいのか、または老後資金を準備したいのかによって、適切な資産配分は異なります。
さらに、リスク許容度を理解することも重要です。
リスク許容度は年齢、ライフスタイル、収入、資産状況などによって変わるため、これらを考慮して投資戦略を決める必要があります。
これらを明確にすることで、無理のない範囲で最適な資産配分を選択し、効果的な投資を実現できます。
不確実性への備えと戦略構築
投資目的やリスク許容度を明確にしたうえで、どの資産クラスにどの程度配分するかを検討しましょう。
たとえば、リスクを抑えたい場合は債券や現金を中心に配分し、リターンを重視する場合は株式の比率を高めるなど、自身の投資方針に合わせて最適なバランスを見つけることが重要です。
また、市場環境やライフステージの変化に応じて、定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じてリバランスを行うことで、リスク管理を徹底しながら安定的な資産形成を目指すことができます。

投資目標の具体的な作成方法については、以下のコラムもぜひご参照ください。
参照コラム
・具体的な投資方針と目標設定|資産形成に欠かせない3つの視点
まとめ
今回の記事のまとめです。
アセットアロケーションは、投資家が資金を株式、債券、不動産、現金など異なる資産クラスに分ける戦略です。
この手法により、複数の資産クラスに分散投資することで、特定の資産が損失を出しても全体的なリスクを抑えることができます。
主な手法は以下の2つです。
戦略的アセット・アロケーション
・長期的に資産配分を維持する方法。
戦術的アセット・アロケーション
・市場の短期的な変動に応じて資産配分を調整する方法。