ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資することで、資産の購入単価を平均化する投資手法です。
この手法では、市場の動向や価格変動に左右されることなく、定期的に投資を続けることでリスクを分散し、長期的な投資成果を目指すことができます。
また、投資初心者から経験者まで幅広い層に利用されており、積立投資の代表的な手法として広く認識されています。
この記事では、ドルコスト平均法の基本的な考え方やメリット、実践方法をわかりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- ドルコスト平均法の基本的な仕組み
- ドルコスト平均法を活用するメリット
- ドルコスト平均法の実践方法

この手法を活用することで得られるメリットや、注意すべきデメリットについて学んでいきましょう。
ドルコスト平均法とは?

投資を始めると、さまざまな投資用語が登場しますが、ドルコスト平均法はその中でも広く採用されている手法の一つです。

まず最初に、ドルコスト平均法とは何かを見ていきましょう。

ドルコスト平均法の基本的な特徴
ドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging, DCA)は、一定額を定期的に投資して資産の購入単価を平均化する投資手法です。
この手法では、市場価格が高い時も低い時も同じ金額で購入を続けるため、購入単価が平均化され、長期的なリスク分散につながります。

ドルコスト平均法の主な特徴は、以下の4つです。
1. 定期的な投資
ドルコスト平均法では、定期的に一定額を投資します。
そのため、市場の動きに合わせて投資のタイミングを選ぶのではなく、あらかじめ決めた金額を毎月や毎週など一定の周期で投資することで、投資家は投機に伴うリスクを軽減できます。
2. 価格の変動に左右されない
市場価格が変動しても、一定の金額を定期的に投資し続けるため、価格が高い時には購入数量が少なく、価格が低い時には多く購入することになります。
このように、購入数量が市場価格に応じて変動することで、最終的に平均的な価格で購入できる仕組みとなっています。
3. 長期的なリスク分散
ドルコスト平均法は、長期的なリスク分散を目的とした投資手法です。
長期間にわたって投資を続けることで、市場の短期的な変動に左右されにくくなり、価格が大きく上下しても安定的に購入単価を平均化できます。
4. 心理的な負担の軽減
ドルコスト平均法は、市場の動向を過度に気にせず、投資を続けることができるため、投資家の心理的な負担を軽減します。
特に市場が不安定なときでも、計画通りに投資を続けることができ、感情に左右されずに投資を進めやすくなります。
一括投資との違い
ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資する手法であるのに対し、一括投資は投資額を一度にまとめて投入する手法です。

2つの投資手法の違いを下記の図1にまとめてみます。
比較項目 | ドルコスト平均法 | 一括投資 |
---|---|---|
投資方法 | 定期的に一定額を分割して投資 | 最初に全額を一括で投資 |
リスク分散 | 市場の価格変動を平均化できるため、リスクが分散されやすい | 市場タイミングに依存するため、一括時の価格が重要 |
市場の影響 | 上昇・下降相場どちらでも効果的 | 上昇相場では最大の利益を享受可能 |
初心者向け | 初心者に向いている(小額から始められる) | 市場の知識やタイミング判断が求められることが多い |
心理的負担 | 少額投資なので心理的負担が小さい | 大きな損失の可能性があるため心理的負担が大きい |
費用(手数料) | 分割投資のため手数料がかさむ場合がある | 手数料は一度だけで済む |
なぜドルコスト平均法が有効なのか?

ドルコスト平均法は、毎月定期的に購入することでリスクを抑えられるメリットがある一方で、手数料がかさむなどのデメリットもあります。

この章では、ドルコスト平均法のメリットとデメリットについて確認していきましょう。
ドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法が有効とされる理由は、大きく分けて次の3つのポイントにまとめられます。
1. 価格変動リスクを分散できる
ドルコスト平均法では、一定額を定期的に投資するため、購入する資産の価格が高い時には少量を、価格が低い時には多量を購入することになります。
この仕組みにより、平均購入価格を平準化し、市場のタイミングを予測する必要がなくなります。
特に市場が乱高下する状況では、投資タイミングによるリスクを抑えることが可能です。
2. 感情的な判断を防げる
市場が下落すると恐怖で売却したり、上昇すると高値で購入したくなるのが人間の心理です。
ドルコスト平均法では、定額を自動的に投資するため、感情に左右されることなく、長期的な視点で資産を積み立てられます。
これにより、投資を続けるモチベーションを維持しやすくなります。
3. 少額からでも始められる
一定額を定期的に積み立てるため、大きな資金がなくても投資を始められます。
特に初心者や、多くの時間を投資に割けない人にとって、この手法は効果的です。
また、少額投資でも長期間にわたって運用を続けることで、複利効果を得やすいのもメリットの一つです。
デメリットと注意点
一方で、ドルコスト平均法のデメリットは、主に次の3つのポイントにまとめられます。
1. 上昇相場ではパフォーマンスが劣ることがある
ドルコスト平均法では、資産価格が変動する場合にリスクを分散できますが、価格が一貫して上昇するような相場では、一括投資の方が高いリターンを得られる可能性があります。
特に成長が見込める市場では、まとめて投資するほうが効率的な場合もあります。
2. 手数料がかさむ可能性がある
定期的に少額ずつ投資するため、取引ごとに手数料が発生する場合は、合計のコストが高くなることがあります。
特に少額投資では手数料の割合が大きくなるため、コストの低い運用商品や証券会社を選ぶことがポイントとなります。
3. 資産形成に時間がかかる
一括投資に比べて投資額が積み上がるまで時間がかかるため、短期間で大きな利益を狙いたい場合には適していません。
ドルコスト平均法は長期的な運用を前提とした手法であることを理解しておく必要があります。
あわせて読みたいコラム
・ポートフォリオ戦略|資産運用を成功に導く効果的な組み方とは?
ドルコスト平均法の実践方法

ドルコスト平均法のメリット・デメリットはなんとなくご理解いただけたかと思いますが、
実際に気になるのは具体的な活用方法ですよね。

では最後に、ドルコスト平均法の実践方法について見ていきましょう。
資産運用について相談できるサイト
・資産運用の相談なら【オンアド】
具体的な実践方法:積立投資を始める5つのステップ
ドルコスト平均法の具体的な実践方法は、主に以下の5ステップです。
1. 投資対象を選定する
まず、投資対象を決めます。
投資対象としては、以下のような金融商品が挙げられます。
・インデックスファンド(例:日経225やS&P500に連動するファンド)
・ETF(上場投資信託)
・投資信託(アクティブファンドやテーマ型ファンドなど)
参照コラム
・インデックス投資の種類と選び方:リスクを抑えた資産形成法
2. 月々の投資金額を設定する
次に、月々(または定期的に)投資する金額を決定します。
ドルコスト平均法では、定額で定期的に投資することが基本です。
例えば、月々1万円や5000円といった無理のない金額を設定しましょう。
3. 投資スケジュールを設定する
証券口座を開設後、積立日を設定します。
多くの証券会社では自動積立サービスを提供しており、例えば毎月1日に指定した金額が自動的に引き落とされ、その金額で投資が行われるのが一般的です。
4. 長期間にわたって投資を続ける
ドルコスト平均法では、長期間にわたって定期的に一定額を投資し続けることがポイントです。
短期的な市場の変動に影響されず、長期的な視点で積立を続けることで、リスクを分散しながら安定した投資を実現できます。
5. 定期的に投資状況を見直す
投資を続けるうえで、ライフプランの変化や市場の状況に合わせて、積立額や投資先を見直すことも大切です。
たとえば、年に一度、自身の投資状況を確認し、必要に応じて積立額や投資商品を調整しましょう。

これは他のコラムでも解説していますが、投資を始める前には、具体的な目標と運用期間を設定することが大切です。
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・具体的な投資方針と目標設定|資産形成に欠かせない3つの視点
まとめ
今回の記事のまとめです。
ドルコスト平均法(DCA)は、一定額を定期的に投資し、購入単価を平均化する手法です。
この方法によって、市場の価格変動リスクを分散し、感情に左右されることなく長期的な資産運用が可能になります。
ただし、上昇相場では一括投資と比べてリターンが低くなる可能性があり、投資額が積み上がるまでに時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。