ブル型投資信託とベア型投資信託は、それぞれ市場の上昇局面と下降局面で利益を狙うレバレッジ型の投資信託です。
ただし、これらの投資信託は高いリスクを伴うため、適切な投資戦略が必要となります。
そこで本記事では、ブル型・ベア型投資信託の基本的な特徴と、投資信託のリスクとリターンの関係を解説していきます。
この記事で分かること
- 2つの投資信託の基本的な特徴
- 投資信託に伴うリスクとリターンの関係
- 2つの投資信託の選び方

2つの投資信託が、どのような市場環境で活用できるのかを見ていきましょう。
ブル型投資信託の特徴

ブル型投資信託は、市場が上昇する局面で利益を狙う金融商品で、特に強気の市場環境において高いリターンを期待することができます。
まず最初に、ブル型投資の特徴から確認していきましょう。

ブル型投資の「ブル」は、牛が角を上に突き上げる動作に由来し、相場の上昇局面を象徴する「強気市場」を意味しますよ。
ブル型投資信託の基本的な仕組み
ブル型投資信託は、市場の上昇を期待して、特定の資産に投資することを目的とした投資信託です。

ブル型投資信託の特徴は、大きく6つのポイントにまとめられます。
1. 投資戦略
ブル型投資信託は、資産の価格が上昇すると予測する場面で利用されます。
例えば、経済が成長し、株価が上昇すると予測される場合に、ブル型投資信託はその上昇を狙って投資を行います。
そのため、特定の資産を購入して、価格の上昇による利益を期待するロングポジションを取る投資戦略が一般的です。
2. レバレッジの活用
ブル型投資信託の多くは、レバレッジを利用してリターンを増大させます。
例えば、2倍のレバレッジを使うと、資産価格が上昇するたびにリターンが2倍になりますが、反対に市場が下落した場合には損失も大きくなります。
3. 利益の仕組み
ブル型投資信託は、資産(例えば株式)の価格が上昇することで利益を得ます。
たとえば、株式市場が10%上昇した場合、2倍のレバレッジをかけたブル型投資信託では、約20%のリターンが期待できます。
4. リスク
市場が下落した場合、ブル型投資信託は損失を被ります。
特にレバレッジを使用していると、損失も大きくなり、市場が不安定だったり長期的に変動が続く場合は、投資家の損失リスクが高まります。
5. 適用場面
ブル型投資信託は、経済成長や株式市場の上昇が期待される局面で効果的な投資手段です。
特に、経済が拡大し企業業績が改善している時期に有利とされ、また、短期間での市場上昇を狙う場合にも有効な選択肢となります。
6. ブル型投資信託の具体例
ブル型投資信託の運用商品には、主に以下の3つが挙げられます。
①レバレッジ型ETF
「日経225レバレッジETF」や「S&P 500レバレッジETF」などがあり、レバレッジを活用して市場の上昇に連動したリターンを狙います。
②インデックス型ブル型ファンド
日経平均やNASDAQなどの特定の株価指数に連動し、指数の上昇に合わせたリターンを目指します。
③先物・オプションを活用したブル型ファンド
先物取引やオプションを活用し、レバレッジ効果を高めて積極的に運用します。リスクは高いものの、大きなリターンが期待できます。
ベア型投資信託の特徴

ブル型投資とは異なり、ベア型投資は市場が下落する局面で利益を得ることを目的としています。
次に、ベア型投資の特徴について見ていきましょう。

ベア型投資の「ベア」は、熊が爪を振り下ろす動きに由来し、相場の下落局面を象徴する「弱気市場」を意味します。
ベア型投資信託の基本的な仕組み
ベア型投資信託は、市場や特定の資産の価格が下がると予想し、売り(ショート)ポジションを取ることで、価格下落時の利益を狙う商品です。

ベア型投資信託の特徴は、大きく6つのポイントにまとめられます。
1. 投資戦略
ベア型投資信託は、資産の価格が下落すると予測する場面で利用されます。
例えば、経済が不調に陥り、株価が下落すると予測される場合に、ベア型投資信託はその下落を狙って投資を行います。
2. レバレッジの活用
ベア型投資信託の多くは、レバレッジを活用しリターンを拡大します。
例えば、2倍のレバレッジをかけることで、市場が下落した際に利益が2倍になる仕組みです。
3. 利益の仕組み
ベア型投資信託は、対象となる市場や資産の価格が下落することで利益を得ます。
たとえば、株式市場が10%下落した場合、2倍のレバレッジをかけたベア型投資信託では、理論上20%の利益が期待できます。
4. リスク
市場が上昇すると、ベア型投資信託は損失を被ります。
特にレバレッジを使っている場合、その損失は元本を超えることもあり、投資資金の大幅な減少などリスクが一層高まります。
5. 適用場面
ベア型投資信託は、株式市場や経済全体の下落が予想される局面で有効です。
そのため、景気後退のリスクが高まっている時や、市場の急落が懸念される場合に、リターンを最大化する手段として活用できます。
6.ベア型投資信託の例
ベア型投資信託の運用商品には、主に以下の3つがあります。
①日経225ベア型ETF
日経平均株価(日経225)の値動きと逆の動きを目指すETFで、日本市場の下落局面で利益を狙います。
②S&P 500インバースETF
米国の代表的な株価指数であるS&P 500の逆の値動きを追求するETFで、米国市場の下落時にリターンを得ることを目的としています。
③TOPIXベア型ETF
東証株価指数(TOPIX)の逆方向の動きを目指すETFで、日本株の全体的な下落局面で利益を狙います。
ブル型・ベア型投資信託の選び方とは?

これまでご説明してきたように、ブル型・ベア型の2つの投資信託は、大きな利益を狙える一方で、それぞれ高いリスクも伴います。

最後に、ブル型・ベア型投資信託を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

レバレッジ型投資信託のリスクとリターンの関係
レバレッジ型投資信託におけるリスクとリターンの関係は、通常の投資信託に比べて、利益と損失の両方が大きく増幅される特徴があります。

そこで、以下2つのポイントを整理おきましょう。
1. リターンの拡大
レバレッジ型投資信託は、借入金やデリバティブ商品(先物、オプションなど)を利用することで、投資元本に対してより大きなポジションを取る仕組みです。
これにより、通常の投資信託に比べて、リターンを大きく増やせる可能性があります。
例えば、
- レバレッジが2倍の投資信託では、株価が10%上昇した場合、20%のリターンが期待できる。
- レバレッジが3倍であれば、同じ10%の株価上昇で30%のリターンが見込まれる。
このように、レバレッジが高いほど、資産が増加した際のリターンはより大きくなります。
2. リスクの拡大
一方で、レバレッジ型投資信託はリスクも拡大します。
レバレッジを使用することで価格の変動に対してより敏感になり、上昇時の利益だけでなく、下落時の損失も共に増幅されます。
例えば、
- 市場が10%下落した場合、レバレッジ2倍の投資信託では-20%の損失が発生する。
- レバレッジ3倍であれば、同じ10%の下落で-30%の損失になる。
このように、レバレッジを使うことでリターンだけでなく損失幅も大きくなるため、リスクの高い投資手法となります。
リスクとリターンの関係を正しく捉える重要性
最後に、リスクとリターンのバランスについてお伝えします。
投資ではリターンに目が向きやすく、リスク管理が後回しになりがちです。
そのため、前章でリスクとリターンの関係を改めてご説明しました。
リスクとリターンは表裏一体の関係であり、特にレバレッジ型投資信託ではその傾向が顕著です。
レバレッジを使うことで大きな利益を狙えますが、市場が予想と反対に動くと損失も拡大します。
そのため、投資家は自身のリスク許容度をしっかり理解し、慎重に投資判断を行うことが大切です。

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まとめ
今回の記事のまとめです。
ブル型投資信託とベア型投資信託は、市場の上昇または下落を予測して投資を行う金融商品です。
ブル型投資信託は市場の上昇局面で利益を得ることを目的とし、ベア型投資信託は市場の下落局面で利益を得ることを目的とします。
これらの投資信託を選ぶ際には、リスクとリターンの関係を十分に理解することが大切です。