『新築と中古では、住宅ローン控除の適用はどう違うの?』
住宅ローン控除は、住宅購入者にとって大きな節税メリットがある制度です。
しかし、新築住宅と中古住宅では、適用条件や控除額に違いがあることをご存じでしょうか。
この記事では、新築住宅と中古住宅それぞれの住宅ローン控除について、ポイントを解説していきます。
この記事で分かること
- 新築住宅の住宅ローン控除の条件
- 中古住宅の住宅ローン控除の条件
- 住宅ローン控除を活用する際のポイント

2025年度以降に住宅ローン控除を活用したい人向けのコラムですよ!
新築住宅で住宅ローン控除を受ける際のポイント

冒頭でご説明した通り、住宅ローン控除は新築と中古で適用条件や控除額が異なります。
そのため、適切な知識を身につけておかないと、控除の恩恵を十分に受けられないだけでなく、後々トラブルや誤解が生じることもあります。

まずは、新築住宅の住宅ローン控除のポイントから見ていきましょう。

住宅ローン控除の基本条件:新築住宅編
新築住宅を購入した場合、住宅ローン控除を受けることができます。
この控除は、住宅ローンの年末残高に基づいて計算され、一定の要件を満たす場合に適用されます。
新築住宅の5つの要件
新築住宅に関する住宅ローン控除を受けるためには、以下5つの要件を満たす必要があります。
①住宅の床面積
新築住宅の床面積が50㎡以上あり、そのうち2分の1以上を自己の居住用としていること。
②入居時期の要件
住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること。
③借入期間
住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
④住宅の取得対価
新築住宅の購入価格(借入金額)は、以下の上限額以下であることが求められます。
・長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円以下。
・ZEH水準省エネ住宅:3,500万円以下。
・省エネ基準適合住宅:3,000万円以下。
⑤控除率
年末時点の住宅ローン残高の0.7%が控除額として適用される。

なお、控除額の計算は居住開始年度により異なるため、詳しくは国税庁の公式サイトをご覧ください。
参照サイト
・No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
中古住宅で住宅ローン控除を受ける際の注意点

中古住宅の住宅ローン控除が新築住宅と大きく異なる点として、「築年数」や「耐震基準」といった条件が挙げられます。

この章では、中古住宅で住宅ローン控除のポイントについて見ていきましょう。
住宅ローン控除の基本条件:中古住宅編
中古住宅を購入した場合でも、住宅ローン控除を受けるためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
中古住宅の5つの要件
中古住宅に関する住宅ローン控除を受けるためには、以下の6つの要件を満たす必要があります。
①床面積の要件
中古住宅の床面積が50㎡以上で、そのうち2分の1以上を自己の居住用としていること。
②居住開始制限
取得日から6ヶ月以内に居住を開始し、取得した年の12月31日まで引き続き居住していること。
③返済期間
住宅購入のための借入金の返済期間が10年以上であること。
④所得制限
控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
⑤控除率
年末時点の住宅ローン残高の0.7%が控除額として適用される。
⑥耐震基準
購入時点で耐震基準に適合していること(ただし、基準を満たしていない場合でも耐震改修を行い、証明書を提出すれば控除を受けることが可能)。

耐震基準の適合や耐震改修に関する情報は、下記のサイトでご確認いただけます。
参照サイト
・No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
新築と中古、どちらが有利?住宅ローン控除の比較

新築住宅と中古住宅の控除条件については、先の章で解説した通り、それぞれに適用条件が設けられています。

この章では、新築住宅と中古住宅を購入する際に考慮すべきメリットとデメリットを整理してみましょう。
住宅ローンについて相談できるサイト
・住宅ローンの見直しはモゲチェック
新築と中古で異なるメリット・デメリット
新築住宅は価格が高いものの物件が新しく、中古住宅は価格がお手頃な反面、瑕疵がある可能性もあります。
そのため、どちらにもメリットとデメリットがあると言えますよね。

新築・中古住宅を購入する際のメリットとデメリットを、それぞれ以下で整理してみましょう。
新築住宅のメリット
①最新設備や性能
・最新の省エネ設備や防音性能、耐震性が備わっている。
・長期的なメンテナンス費用が抑えられる場合が多い。
➁保証が充実
・新築住宅は「住宅瑕疵担保責任保険」により、10年間の保証が義務付けられている。
・修繕が必要な場合でも、コスト負担が少なくて済む。
③資産価値が高い(購入時点)
・購入直後の資産価値は高いため、売却時に利益が出やすい可能性がある。
④カスタマイズ可能
・注文住宅の場合、間取りや設備を自由に選べる。
新築住宅のデメリット
①価格が高い
・中古住宅に比べて購入価格が高いことが一般的。
・立地や設備にこだわると、さらにコストがかかる。
➁資産価値の減少
・購入直後から価格が下がる傾向がある(築年数とともに下落しやすい)。
③立地選択肢が限られる
・希望するエリアでは新築が少ない場合がある。
中古住宅のメリット
①価格が安い
・新築と比べて購入価格が安く、同じ予算で広い物件や好立地が選べる可能性が高い。
➁選択肢が豊富
・立地や環境を優先した選び方がしやすい。
・築年数や間取りのバリエーションが多い。
③即入居可能
・リノベーション済み物件の場合、購入後すぐに住める。
④リノベーションの自由度
・コストを抑えつつ、自分好みにリノベーションができる。
中古住宅のデメリット
①修繕費用がかかる
・築年数が古い物件は修繕が必要になることが多く、費用が嵩む可能性がある。
➁設備が古い
・新築と比べて省エネ性能や耐震性で劣る場合がある。
③保証がない場合が多い
・瑕疵担保責任が切れている物件もあるため、購入前の調査が重要。
④住宅ローン控除で不利な場合がある
・控除対象となる元本や利子に違いがあるため、新築より控除額が少なくなる可能性がある。
新築と中古、選ぶ際のポイントとは?
新築住宅か中古住宅かの選択は、ライフスタイルや予算、そして将来の生活設計に大きく関わってきます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、「何を優先したいのか」を明確にしたうえで検討することが大切です。
物件購入時のポイント
新築:「最新設備」や「保証」、「快適性」を優先する人向け。
中古:「価格」や「立地」、「リノベーションの自由度」を優先する人向け。

住宅ローン控除や住宅ローンについては、他のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
あわせて読みたいコラム
・住宅ローンの一括返済は本当に正解?資産形成とのバランスを考える判断軸
まとめ
今回の記事まとめです。
新築住宅と中古住宅では、住宅ローン控除の適用要件が異なります。
新築は長期優良住宅や低炭素住宅などの基準を満たす必要があり、中古は耐震基準の確認や必要に応じた改修が求められます。
【補足】
本記事の内容は、2025年1月時点での制度や情報をもとに作成しています。今後の法改正や制度の変更によって内容が変わる可能性がありますので、最新の情報は必ず公式の発表などをご確認ください。