在留外国人の方が日本で就労する際、
必ず直面するのが、年金・税金・社会保険といったお金の制度です。
特に留学生の就労やアルバイトの場合、
日本の年金制度は雇用形態や収入、労働時間によって取り扱いが変わるため、
正しく理解していないと、
知らないうちに未納になってしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、在留外国人が日本で働くうえで知っておくべき、
年金加入の基本ルールについて、分かりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- 国民年金と厚生年金の違い
- 日本で留学生がアルバイトをする際の年金ルール
- 年金を未納にしないためのチェックポイント

在留外国人の方が、日本国内で働く際に知っておくべき年金のルールを見ていきましょう。
国民年金と厚生年金の違い

「国民年金と厚生年金の違いは?」
そう聞かれて、あなたはすぐに説明できますか。
日本人にとっても分かりにくい年金制度は、
在留外国人や留学生にとっても、理解しづらいものです。

まずは、国民年金と厚生年金の基本的な違いについて、整理していきましょう。
関連記事
・年金受給の繰り上げタイミングとは?知っておきたいポイントと影響
国民年金とは?対象者と支払い方法
国民年金は、日本に住むすべての人を対象とした基礎的な年金制度です。
日本人だけでなく、住民登録がある在留外国人も加入対象となります。
留学生や短時間のアルバイトとして働いている方の多くは、
会社の社会保険(厚生年金)に加入しないため、
原則として国民年金に加入する必要があります。
✅対象者
・日本に住民登録がある
・20歳以上60歳未満
・会社の社会保険(厚生年金)に加入していない人
✅該当例
・留学生
・自営業者
・短時間勤務のアルバイト
✅支払い方法
・口座振替
・コンビニ払い
・スマートフォン決済 など

保険料は毎月定額を自分で納付しますが、収入が少ない場合は、学生納付特例や保険料免除・納付猶予制度を利用できます。
参照記事
・日本年金機構『国民年金保険料の学生納付特例制度』
厚生年金とは?アルバイトでも加入する条件
厚生年金は、会社などに雇われて働く人が加入する年金制度です。
正社員だけでなく、一定の条件を満たしたアルバイトやパートも加入対象となります。
厚生年金に加入すると、国民年金にも同時に加入している扱いとなり、
将来受け取れる年金額が国民年金のみの場合より多くなるのが特徴です。
✅対象者
・会社に雇用されている
・週20時間以上働いている
・月収が約8.8万円以上
・2か月以上働く見込みがある
✅支払い方法
厚生年金の保険料は、給与から自動的に天引きされます。
本人負担:保険料の半分
会社負担:保険料の半分

留学生の場合、アルバイトだから国民年金だけでよいと思いがちですが、
労働時間や収入によっては厚生年金に加入する必要があります。
参照記事
・日本年金機構『会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。』
国民年金と厚生年金のメリット・デメリット
国民年金と厚生年金は、どちらも老後の生活を支える大切な制度ですが、
加入方法や負担、将来受け取れる年金額に違いがあります。
そのため、在留外国人や留学生の方は、自分の働き方に合った制度を理解しておくことが大切です。

国民年金と厚生年金のメリット・デメリットを、それぞれ確認してみましょう。
✅国民年金のメリット・デメリット
メリット
・留学生や収入が少ない方でも加入しやすい
・学生納付特例や免除制度を利用できる
・短期間の滞在でも手続きが比較的シンプル
デメリット
・保険料は全額自己負担
・将来受け取れる年金額は少なめ
・自分で納付管理をしないと未納になりやすい
✅厚生年金のメリット・デメリット
メリット
・保険料を会社と半分ずつ負担できる
・国民年金より将来の年金受給額が多い
・給与天引きのため未納になりにくい
デメリット
・労働時間や収入など、加入条件がある
・給料が増えると保険料負担も増える
・短時間勤務では加入できない場合がある
留学生・アルバイトでも年金加入は必要?

会社員として長期的に働く場合、
年金への加入が必要であることは分かりやすいかもしれません。
では、短期的にアルバイトとして働く場合でも、
年金に加入する必要はあるのでしょうか。

この章では、日本に留学している方がアルバイトで働く場合の、
年金加入のポイントについて整理していきます。
年金加入は「国籍」ではなく「住民登録」で決まる
日本の年金制度は、国籍によって加入が決まるわけではありません。
重要なのは、日本に住民登録があるかどうかです。
在留外国人であっても、市区町村に住民登録をしていれば、
日本人と同じように年金制度の対象となります。
そのため、「外国人だから年金に入らなくてよい」ということはありません。
留学生やアルバイトとして日本に滞在している方も、
住民登録がある場合は、原則として年金加入が必要になります。

この「日本に住民登録があるかどうか」という考え方は、住民税についても同様です。
関連記事
・在留外国人の住民税ガイド|1年目・2年目で何が違うの?
留学生・アルバイトが対象になる年齢と条件
年金加入の対象となるのは、
20歳以上60歳未満で、日本に住民登録がある人です。
これは留学生やアルバイトであっても同じです。
働いているかどうか、収入があるかどうかに関わらず、
年齢と住民登録の条件を満たせば、年金制度の対象になります。
ただし、働き方によって加入する年金の種類は異なります。
短時間のアルバイトの場合は国民年金、
一定の条件を満たすアルバイトや会社員の場合は厚生年金に加入します。

なお、国民年金・厚生年金の保険料は、
支払った分が社会保険料控除の対象になりますよ。
関連記事
・働き控えと社会保険|パート・アルバイト・専業主婦の年収の壁対策
国民年金の月額っていくら?
国民年金の保険料は、20歳以上60歳未満の加入者であれば誰でも同じ定額制です。
2025年度(令和7年度)の月額は 17,510円 となっています。
毎月この金額を自分で納付するのが原則ですが、
まとめて前払いする前納制度を利用すると、少し割引を受けられます。
さらに、付加保険料として月額400円を追加で支払うことも可能です。

付加保険料とは、月額400円を追加で納めることで、将来受け取る年金額が増える仕組みのことです。
参照記事
国民年金機構『国民年金保険料』
留学生・アルバイトの年金加入方法

先ほどの章で、留学生のアルバイトと年金加入について説明しました。
では、実際に年金へはどのように加入すればよいのでしょうか。

この章では、留学生がアルバイトとして働く場合の、
年金加入の具体的な手続きについて解説します。
外国人留学生の場合、国民年金加入が原則
留学生やアルバイトの場合、
年金は国民年金に加入するケースが多いのが実情です。
その理由は、アルバイトの多くが、
勤務時間や収入の面で、厚生年金の加入条件を満たしていないためです。
特に留学生の場合は、
資格外活動の制限により労働時間が限られているため、
国民年金の対象となるケースが一般的です。
また、国民年金は住民登録と年齢要件を満たせば加入対象となるため、
働き方に関わらず加入義務が発生しやすい点も理由の一つです。
出典:
日本年金機構『外国人のみなさまへ 国民年金(こくみんねんきん)のご案内(ごあんない)』
外国人アルバイトの場合、厚生年金加入は条件次第
外国人アルバイトの場合、
「正社員ではないから厚生年金には入らない」と思われがちですが、
実際には働き方によって加入する年金が決まる点がポイントです。
厚生年金は雇用形態ではなく、
労働時間や収入、勤務先の規模といった
条件によって加入の可否が判断されます。
この場合、国民年金は厚生年金に含まれる扱いとなるため、
国民年金を別途納付する必要はありません。

あくまで厚生年金は、国民年金を土台とした2階建ての制度ですよ。
関連記事
・第三年金とは?企業年金3制度(厚生年金基金・DB・DC)の仕組みを解説
自分が加入している年金を確認する4つの方法
自身の年金の加入状況は、いくつかの方法で確認することができます。
留学生やアルバイトの方は、知らないうちに加入区分が変わっているケースもあるため、
一度確認しておくことが大切です。

具体的には、以下4つの方法がありますよ!
1.マイナポータルで確認する
マイナンバーカードを持っている場合は、
マイナポータルから年金の加入状況を確認することができます。
マイナポータルでは、年金の加入履歴や保険料の納付状況などを、
オンラインで確認できるため、
年金事務所へ行く時間が取れない方にも便利です。
2.給与明細を確認する
アルバイト先で厚生年金に加入している場合、
給与明細に「厚生年金保険料」などの項目が記載され、保険料が天引きされています。
そのため、この記載を確認することで、自身の年金の加入状況を把握できます。
3.年金の通知書・ねんきん定期便を確認する
日本年金機構から届く通知書や、ねんきん定期便には、
国民年金・厚生年金の加入状況が記載されています。
主に、これまでの納付額や加入期間を確認することができます。
4.年金事務所や市区町村窓口で確認する
書類が見当たらない場合や、内容がよく分からない場合は、
年金事務所や市区町村の窓口で確認することができます。
在留外国人や留学生でも、無料で相談・確認が可能です。

年金や税金、社会保険のことは、
お金のプロに相談してみるのもおすすめですよ!
まとめ
今回の記事のまとめです。
国民年金は、日本に住民登録がある人が対象の制度です。
在留外国人や留学生も、住民登録があれば原則として加入が必要になります。
留学生や短時間のアルバイトの多くは、会社の社会保険に加入しないため、国民年金に加入します。
加入状況は、マイナポータルや年金事務所、市区町村の窓口で確認できます。
