20代の頃、保険を選ぶ際に慎重になりつつも、保険会社の営業マンや家族に勧められた保険に、何となく加入してしまった経験はありませんか?
筆者自身も、20代当時は保険によるリスク管理や資産運用に興味を持っていませんでしたが、FPの資格を取得したことで、保険に加入する意味と必要性を理解できました。
また、20代でも独身者と既婚者、学生と社会人など、それぞれのライフステージに合わせた保険を選ぶ必要があります。
この記事では、20代で初めて保険を選ぶ際におさえておくべきポイントについて解説していきます。
この記事で分かること
- 初めて保険選びをする際の注意点
- 20代独身者向けの保険選び
- 20代既婚者向けの保険選び
20代の保険選びの基本
20代前半は、大学卒業後に社会人としての第一歩を踏み出す時期です。
そのため、このタイミングで親の扶養から外れ、自分名義で生命保険に加入する必要が生じる場合があります。
例えば、親の扶養内で加入していた保険を解約し、新たに契約するケースが一般的です。
この章では、20代における生命保険の必要性、保険料負担の目安、そして選び方のポイントについて解説します。
なぜ20代から保険に加入すべきなのか
20代のうちに保険に入る主な理由として、主に以下の2つが挙げられます。
①割安な保険料で加入できる
➁健康なうちに保険に入れる
若いうちでも、病気やケガで入院したり死亡したりするリスクはゼロではありません。
万が一入院や手術することになると、貯蓄が安定していない若い世代にとっては支払いが厳しく感じることもあります。
そのため、収入が安定していなかったり、ライフステージが変化したりする20代前半の保険加入は、無理のない保険料で検討する必要があります。
そして、若いうちに保険に加入する際は、何となく加入するのではなく、加入目的を明確にしておくことが大切です。
20代の生命保険加入率
「令和4年度生活保障に関する調査」によると、全世代の生命保険の加入率は平均で79.8%です。
男性は77.6%、女性は81.5%が生命保険に加入しています。
しかし、年代別のデータを見ると、20代の生命保険加入率は他の世代に比べて低く、男性は46.4%、女性は57.1%にとどまっています。
これは全世代の中で最も低い加入率です。
それでも、20代の人々の約半数が生命保険に加入しており、若い世代でも保険の重要性について意識している人が多いことがわかります。
参照サイト
(公財)生命保険文化センター「令和4年度生活保障に関する調査」より
保険料の平均と負担額とは
保険料の平均と負担額を、年齢別に見ていきましょう。
年齢 | 年間支払額 |
29歳以下 | 21.5万円 |
30~34歳 | 26.2万円 |
35~39歳 | 38.2万円 |
40~44歳 | 34.8万円 |
45~49歳 | 37.5万円 |
50~54歳 | 43.2万円 |
55~59歳 | 43.6万円 |
60~64歳 | 38.4万円 |
65~69歳 | 43.6万円 |
70~74歳 | 33.7万円 |
出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2021年12月)
図1からも分かるように、29歳以下の年齢層では保険料の支払額が他の年齢層よりも低くなっています。
これは世帯主の家族構成に比例するものとされていますが、それに加えて世帯主の年収が年齢とともに上昇し、その結果として保険料も増加していると推測されます。
そのため、29歳以下に焦点を当てると、年間21.5万円となり、月にすると約1.8万円になります。
保険選びのポイントとは
保険選びのポイントは、一般的に以下の5つをおさえておく必要があります。
①必要な保障内容を確認する
自身や家族のライフステージやリスクに応じて、必要な保障内容を確認することが大切です。例えば、生命保険では万が一の場合の家族の生活費、医療保険では治療費や入院費用などを考慮します。
➁予算を設定する
毎月の支払額だけでなく、年間の総額も確認することで、月払いと年間払いの比較ができ、どちらの支払いが負担を軽減できるかを知ることができます。
③保険の種類を理解する
生命保険、医療保険、がん保険、自動車保険、火災保険など、それぞれの保険がどのようなリスクをカバーするのかを把握することが大切です。
④保険会社の信頼性を確認する
保険会社の経営状況や口コミ、評判を確認しましょう。信頼できる保険会社を選ぶことは、長期的な安心を得るために大切な要素です。
⑤保険料と保障内容のバランスを考える
保険料が安いという理由だけで保険を選ばず、免責事項や解約返戻金の有無、更新時の条件など、見落としがちな部分もきちんと確認することが重要です。
保険について相談できるサイト
・FP無料相談の保険チャンネル
20代のための保険選び:2つの基本パターン
これまで一般的な20代向けの保険設定について説明してきましたが、ここからは「20代独身者向け」と「20代既婚者向け」に分けて、それぞれの保険選びについて詳しく見ていきます。
20代独身者向けの保険選び
まずは、20代独身者向けの保険選びについて見ていきます。
20代独身者が考えるべき重要な保険として、以下の2つが挙げられます。
加入しておきたい保険
①医療保険
➁少額の死亡保険

上記2つの保険に加入しておくべき理由を、以下にそれぞれ解説します。
①医療保険
医療保険に加入すべき主な理由には、以下の2つが挙げられます。
1. 経済的な安心感を得られる
20代はキャリアのスタート時期であり、まだ収入が安定していないことが多いです。医療保険に加入することで、病気やケガによる収入の減少や治療費の負担を軽減でき、経済的な安心感を得られます。
2. 早期加入のメリットがある
若いうちに医療保険に加入することで、保険料を安く抑えられます。また、健康状態が良好な時期に加入することで、保険の審査も通りやすくなります。
②少額の死亡保険
少額の死亡保険に加入すべき主な理由には、以下の3つが挙げられます。
1. 葬儀費用のカバー
自身が突然亡くなった場合、葬儀費用や関連する費用は家族に大きな負担をかけることになります。少額の死亡保険に加入することで、こうした費用をカバーし、家族の経済的負担を軽減することができます。
2. ローンや借金の返済
20代でも学生ローンやクレジットカードの借金を抱えている場合があります。死亡保険は、こうした未払いの借金を返済するための資金として利用できます。
3. 早期加入による保険料の抑制
死亡保険も若いうちに加入することで、保険料を低く抑えることができます。また、健康状態が良好な時期に加入することで、保障内容の選択肢が広がります。
20代の独身者が生命・医療保険に加入すべき理由
20代の独身者が医療保険に加入すべき理由は以下の通りです。
①家族のサポートが得られにくい
病気やケガをした際に頼れる家族が少なく、自己解決が求められることが多いため、医療費の負担を軽減する必要があります。
➁経済的リスクへの備え
収入が不安定な場合が多いため、急な病気やケガで収入が途絶えるリスクに備えるために医療保険が重要です。
③自己責任での管理
独身者は自己の健康に対して完全に責任を持つため、早期の医療保険加入が将来のリスクに対する備えになります。
④将来のライフステージの変化に備える
将来的な結婚や出産などのライフイベントに備えるため、若いうちから医療保険に加入しておくことが推奨されます。

保険選びをする際には、保険の窓口を利用するのも一つの方法です。
関連コラム
・保険の相談窓口って?みんなはどこで保険を選んでいる?
20代既婚者のための保険選び
次に、20代既婚者向けの保険選びについて見ていきましょう。
20代既婚者が考えるべき保険として、以下の3つが挙げられます。
入っておきたい保険
①医療保険
➁就業不能保険
③死亡保険
①医療保険
結婚後は家族やパートナーの経済的な安定が求められる時期です。
医療保険に加入することで、高額な医療費が発生した場合でも自己負担を軽減し、家族やパートナーにとっての経済的リスクヘッジにつながります
➁就業不能保険
既婚者の場合、家族やパートナーの収入が直接家計に影響します。
就業不能保険は、失業保険や労災補償ではカバーされない病気やケガによる所得の喪失を補完します。
これにより、病気やケガで働けなくなった場合の収入の途絶を防ぐことができます。
③死亡保険
突然の死亡により収入源が途絶えると、家計が困窮するリスクがあります。
特に共働き世帯では、一方の収入が失われた場合、家計の維持が難しくなることがあります。
死亡保険に加入することで、残された家族が生活を維持し、今後の生活基盤を守るための支援を得ることができます。
20代の既婚者は所得・収入面での保険が大切な理由
共働きの夫婦の場合、どちらか一方が入院や手術による治療費や収入減を補うためには、最低限の医療保険や就業不能保険を準備することが推奨されます。
一方が専業主婦(主夫)の場合、働く側に何かあった際に備えて医療保険と就業不能保険を確保し、残された家族が困らない程度の死亡保険も用意するのが適切です。
また、将来子どもが産まれることを見据え、女性向けの医療保険も早めに確保するのが一般的です。

就業不能保険や女性向けの医療保険については、以下の記事でわかりやすくまとめています。
参照コラム
・就業不能保険の理解を深める!リスク管理の重要性
・妊娠・出産を考える女性のための医療保険
初めての保険選び:ファイナンシャルプランナーに相談する
初めて保険を選ぶ際には、ファイナンシャルプランナーに相談することが効果的です。
専門知識を活かして、自身やご家族にぴったりの保険を提案してくれるため、無駄な支出を避け、必要な保障内容を適切に整えることができます。
さらに、ライフステージの変化に合わせて保険の見直しもサポートしてくれるため、最適な保険を維持することができます。

ファイナンシャルプランナー(FP)についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
ファイナンシャルプランナーに関するコラム
・FPに相談するメリットとは?お金の専門家だからできるアドバイス
・FPへの相談料金ってどのくらい?
まとめ:20代で初めて保険を選ぶなら、FPに相談してみよう!
今回の記事のまとめです。
20代のうちに保険に加入する主な理由は、主に以下の2つです。
①割安な保険料で加入できる
②健康なうちに保険に加入できる
保険に加入する際は、何となく加入するのではなく、その目的を明確にしておくことが重要です。
特に、20代の独身者と既婚者では、選ぶべき保険内容が異なるため、初めての保険選びにはFPなどの専門家のアドバイスを受けることも効果的です。