『信託報酬が運用成績に与える影響とは?』
信託報酬とは、投資信託の管理や運営にかかる費用で、投資家が負担するものです。
信託報酬の金額はファンドのパフォーマンスに大きく影響し、特に高い場合は長期的にリターンを圧迫する可能性があります。
本記事では、信託報酬の費用がパフォーマンスに与える影響を解説し、信託報酬を踏まえた投資信託の選び方についてお伝えします。
この記事で分かること
- 投資信託における基本的なしくみ
- 信託報酬が運用成績に与える具体的な影響
- 信託報酬を考慮した投資信託の選び方とは?

投資信託にはどのような費用(コスト)がかかるのか、一緒に確認していきましょう。
そもそも、信託報酬とは?

投資信託には、運用を行うための費用として「信託報酬」がかかります。
この費用は投資家が負担するものであり、投資信託を選ぶ際の重要なポイントの一つです。

まずは、信託報酬の基本的な仕組みと役割について見ていきましょう。
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信託報酬の定義と仕組み
信託報酬とは、投資信託を運用する際に、投資家がファンドの運営会社に支払う費用のことです。
この報酬は、運用資産の規模に応じて計算されるのが一般的で、投資信託の資産総額に一定の割合(%)を掛けて算出されます。
信託報酬は一般的に年率で表示され、運用資産に比例して日々少額ずつ差し引かれます。
そのため、信託報酬の金額はファンドの資産額に応じて増減します。

信託報酬は主に、以下3つの費用をカバーするために使われますよ。
①運用管理費用
投資信託の運用会社が行う資産の運用や調査、分析にかかる費用。
➁販売手数料
投資信託を販売するためのコスト(場合によっては別途販売手数料がかかることもある)。
③事務管理費用
ファンドの運営に必要な事務手続きや報告、監査などにかかる費用。
管理費用の役割とは?
先ほど触れたように、投資信託の管理費用は、ファンドの運用・管理に必要なコストをカバーする費用であり、投資信託の円滑な運営を支えています。

そして、管理費用の内訳を細分化すると、主に以下の3つに分類されます。
1. 運用管理業務費用
運用会社は、投資家の利益を最大化するために、市場分析やリサーチ、ポートフォリオの調整などを含む運用戦略を立てて実行します。
2. 投資家へのサポート費用
運用状況や成績報告などの定期的な情報提供や、問い合わせ対応などの顧客サポートも管理費用に含まれ、投資家が自身の投資状況を把握しやすくする役割を担っています。
3. その他のサービス費用
資産評価などの専門業務を外部機関に委託する場合の費用や、ファンド運営に伴うその他の手数料なども、管理費用に含まれます。

ちなみに、信託報酬の一般的な相場は、純資産総額に対して年率0.5%から2.5%程度となっています。
・信託報酬の目安はどのくらい?低いほうがいい理由や計算方法 | 投資信託 | 松井証券
信託報酬がパフォーマンスに与える影響

信託報酬は、投資信託の運用成績に直接影響を与える重要なコストです。
そのため、信託報酬が高いと、長期的にリターンを押し下げる可能性があります。

この章では、信託報酬がパフォーマンスにどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
信託報酬を最小限に抑えるメリット
信託報酬を最小限に抑えるべきメリットとして、主に次の3つが挙げられます。
1. コスト効率の向上
信託報酬が低いと、投資家はより多くの資産を運用に回せるため、同じリターンでも実質的に得られる利益が増え、投資効率が向上します。
2. リスクの分散
低い信託報酬のファンドはインデックスファンドが多く、低コストでリスク分散しやすいため、特定のリスクを軽減しやすくなります。
3. 透明性の向上
信託報酬が低いことで、投資家は自身が支払うコストを正確に理解し、より適切な投資判断を行いやすくなります。
長期投資における信託報酬の影響
長期投資において、信託報酬は資産運用の成果に大きな影響を与えます。
信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかる費用であり、運用資産から年率で差し引かれるため、毎年一定のコストが発生します。
そのため、この費用が差し引かれることで投資元本が減少し、複利効果が十分に働きにくくなります。
また、運用成績が良好であっても、信託報酬分が差し引かれるため、投資家が実際に受け取るリターンは減少し、長期間にわたって累積的にリターンを圧迫することになります。
したがって、同じリスクやリターンのファンドであっても、信託報酬が高いファンドは低いファンドに比べて最終的な投資成果が劣ることが多くなります。

例えば、年間リターンが10%であっても、1%の信託報酬が差し引かれると、実質的なリターンは9%となりますよね。
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信託報酬を考慮した投資信託の選び方

先ほどの章では、信託報酬がパフォーマンスに与える影響についてお伝えしました。
では、投資信託を選ぶ際には具体的にどんなポイントを押さえればよいのでしょうか。

この章では、信託報酬を考慮したうえでの投資信託選びの2つのポイントを解説します。

1.ファンドの運用実績の考慮
これまでの話を総括すると、「信託報酬が低いファンドを選べばよいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、信託報酬と運用実績のバランスを考える上で重要なのは、「過去の実績が未来を保証しない」という点です。
たとえば、過去10年間に高いリターンを出していたアクティブファンドでも、今後も同様の成果を維持できるとは限りません。
市場環境の変化や運用チームの変更などにより、成績が大きく変動する可能性があるからです。
そのため、信託報酬が高くても、市場環境の変化に柔軟に対応できる運用戦略を持つファンドを選ぶことが重要です。
たとえば、経済情勢や金利動向に応じて積極的に資産配分を見直すファンドなどが挙げられます。
一方、信託報酬が低いインデックスファンドはコスト面で有利ですが、市場全体の動きに連動するため、短期的に大きなリターンが期待しにくいという特徴があります。
したがって、リスク許容度や投資期間を踏まえ、リターンとコストのバランスをしっかり見極めることが求められます。
参照コラム
・具体的な投資方針と目標設定|資産形成に欠かせない3つの視点
2.信託報酬の比較
信託報酬を比較する際は、以下の3つに注意する必要があります。
①隠れたコストの把握
信託報酬以外にも販売手数料や解約手数料などが発生する場合があるため、総合的なコストをしっかり確認することが重要です。
②信託報酬の変動可能性
信託報酬は固定されているわけではなく、運用会社の判断で変動することがあるため、将来的なコストの増加にも注意が必要です。
③信託報酬の内訳と使途の理解
信託報酬には運用管理費用だけでなく、販売手数料や事務管理費用なども含まれているため、その内訳や使途を把握しておくことが投資判断に役立ちます。

インデックスファンドの詳しい解説は、以下のコラムをご覧ください。
あわせて読みたいコラム
・インデックス投資の種類と選び方:リスクを抑えた資産形成法
まとめ
今回の記事のまとめです。
信託報酬は、投資信託の運用にかかる費用で、投資家がファンドの運営会社に支払います。
運用資産の規模に応じて年率で計算され、費用が高いと長期的にリターンを圧迫する可能性がありますが、信託報酬が低いだけでは最適とは限らないため、適切な知識と運用戦略が必要です。