2月に入ると、確定申告の準備を始める時期ですね。
この時期は何かと慌ただしいものですが、意外と見落とされがちなのが、確定申告の基本的な知識です。
会社員と異なり、フリーランスや個人事業主は確定申告を通じて納税するため、正しい知識を持つことで節税につながる可能性があります。
今回はその中でも医療費控除に焦点を当て、確定申告における個人事業主の節税メリットについて解説していきます。
この記事で分かること
- 確定申告の基礎知識
- 医療費控除による個人事業主の節税メリット
- 医療費控除の適応範囲と活用

確定申告期間は2月16日~3月15日までですが、
還付申告は2月15日以前でもできます!
確定申告の基礎知識

まずは、確定申告についておさらいをしておきましょう。
個人事業主の方々にはなじみがあるワードかもしれませんが、会社員の場合は言葉は知っていても、会社が代行で行ってくれるため、詳細を把握していない方も多いのではないでしょうか。
そもそも確定申告とは?
一般的に確定申告とは、1年間の所得に対する税金を算出し、納税する申告手続きのことを意味します。

確定申告の主なポイントは以下の4つです。
①確定申告の対象者
・自営業者や個人事業主
・給与所得者で年間給与所得2,000万円を超える人
・給与所得者で副業の雑所得が年間20万円を超える人(不動産所得や株式投資など)
・公的年金収入が一定額を超える人
・特定の控除を受ける権利がある人(例:医療費控除、住宅ローン減税など)
➁申告期限
・原則、対象となる年の翌年2月16日~3月15日まで(期限を過ぎると遅延損害金が発生する可能性がある)
③必要な書類と情報
・所得証明書
・経費の明細書
・預貯金の通帳
・住民税の課税証明書 etc
④申告方法
電子申告(e-Tax)や紙の申告書を用いて行う。
⑤様々な控除の活用
医療費控除や住宅ローン控除を活用することで、税額を軽減することが可能。また還付金を受け取れる可能性がある。
⑥年末調整との違い
通常、会社員は年末調整で所得税の申告と納税が行われますが、特定の条件や控除を受けるために確定申告が必要な場合があります。
出典:
・国税庁「確定申告が必要な方」
確定申告の必要性
確定申告は、自らが得た所得や法人が得た利益などを正確に申告する義務があります。
では、なぜ確定申告が必要なのでしょうか?
その主な理由として、以下の4つが挙げられます。
- 法律に基づく義務
確定申告は法律で義務付けられた手続きで、所得や利益を正しく申告し、税金を納める必要があります。 - 公平な課税
各個人や法人が収入や利益を正確に申告することで、公平な課税が実現されます。 - 社会的な信頼
正確な確定申告は、公正な納税を通じて社会的信頼を築き、税制の信頼性向上や経済の発展にもつながります。 - 適切な社会インフラの維持
税金が正しく納められることで、教育や医療などの公共サービスに役立てられ、社会のさまざまなニーズに適切に応えることが可能になります。

確定申告は社会的な秩序を維持し、公平な税制を構築するための不可欠な手続きというわけですね!
確定申告の個人と法人の違い
確定申告は、個人と法人において異なる特徴があります。

確定申告における個人と法人の違いについて、以下に簡潔にまとめます。
個人の場合
1. 所得税の申告と納付
・原則、個人は年度末に自身の所得を申告し、所得税を計算して納付する。
・給与所得者や源泉徴収のある所得者でも、確定申告が必要な場合がある。
2. 所得税の控除
・医療費控除や住宅ローン控除など、確定申告を行うことで様々な控除を活用できる。
3. 住民税の納付
・原則、住所地の市町村に対しての納税義務がある。
4. 申告期限
・原則、毎年2月16日から3月15日。
法人の場合
1. 法人税の申告と納付
・法人は事業年度末に決算を行い、その結果に基づいて法人税の申告書類を作成し、納税する。
2. 納税の種類
・法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の4つが対象。
3. 住民税の納付
・法人が所在している自治体(市町村)に対しての納税義務がある。
4. 申告期限
・原則、決算日から2か月後以内。

なお、フリーランス(個人)の経常費用は、業務に必要な経費が対象です。
参照サイト
・フリーランスが知っておくべき社会保険制度の活用法
個人事業主の確定申告方法

個人事業主の確定申告方法は、納税申告制度が原則となります。
納税申告制度とは?
納税申告制度とは、個人や個人事業主が税金を申告し、自己責任で納税するための制度です。
個人事業主の場合、事業から得た所得や事業に関連する経費を申告し、所得税および住民税が課税されます。

申告納税制度を利用することで、税額を抑えられる可能性がある制度には、以下3つなどが該当します。
①青色申告特別控除
フリーランスや個人事業主、また不動産所得のある人が対象となります。
一定の条件(記帳や申請書の提出)を満たすことで、(事業から得た所得-青色申告控除額65万円)×税率の控除を受けられます。
➁ふるさと納税(税額控除)
一定の地域や生まれ故郷を支援するために、各自治体に寄付できる制度です。
この寄付額が2,000円を超えると、所得税の還付と住民税の控除を受けられます。
③医療費控除(所得控除)
医療費控除は、自身や扶養家族の医療費を一定額以上支払った場合に、その支払った金額を所得から差し引くことができる制度です。

でも、医療費控除は対象になるものと、ならないものがあった気が…

確かに、医療費控除は対象となるものとならないものがあります。
医療費控除で対称になるもの
医療費控除は、年間の医療費が一定額を超えると受けられる税控除です。
例えば、総所得金額が200万円以上の場合、年間の医療費が10万円を超えると控除を受けることができます。
一方、総所得金額が200万円以下の場合は、医療費が10万円を超えた場合でも、控除額は総所得金額の5%を基準に計算されます。
ただし、医療費控除には対象となる医療費とならない医療費があるため、以下にそれぞれの特徴をまとめます。
医療費控除の対象になるもの
・診療費、治療費、入院費
・医薬品(医師の処方箋のもと)
・治療に必要な医療器具の費用
・通院のための交通費
・歯の治療費
・介護保険制度に基づく施設サービス費・居宅サービス費(※介護保険料控除との条件あり)
医療費控除の対象とならないもの
・健康診断、人間ドック(結果を元に医師からの診断や治療が行われる場合は除く)
・予防注射
・ビタミン剤、漢方薬
・自家用車での通院(ガソリン代など)

医療費控除の対象となる費用や適用条件は複雑なため、もし不明点があれば、専門家に相談してみましょう。
参照コラム
・FPに相談するメリットとは?お金の専門家だからできるアドバイス
まとめ
今回の記事のまとめです。
確定申告は、1年間の所得に基づいて税金を計算し、納税するための手続きです。
個人事業主は自ら申告書を作成し、税務署に提出することで、納税額を抑えることができます。
医療費控除については、診療費や治療費、入院費などが対象となりますが、健康診断や予防注射、ビタミン剤などは控除の対象外です。
控除の対象かどうかに不安がある場合は、専門家に相談するのも有効な手段です。