妊娠や出産は人生の大きな節目である一方、出産費用や育児にかかるお金について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際に、妊娠・出産に関しては出産育児一時金や出産手当金など、家計を支えるためのさまざまな公的支援制度があります。
しかし、制度ごとに対象者や申請方法、受け取れるタイミングが異なるため、利用できる制度を知らないまま準備を進めてしまうケースもあります。
この記事では、妊娠・出産でもらえるお金について、出産育児一時金や出産手当金などの公的支援制度を中心に解説します。
この記事で分かること
- 出産育児一時金や出産手当金など主な公的支援制度
- 妊娠中に確認しておきたい経済的支援制度
- 各制度の申請方法や利用する際の注意点

出産育児一時金や出産手当金など、妊娠・出産の際に活用できる公的制度について、詳しく見ていきましょう。
なお、妊娠・出産時に利用できる公的制度は、民間保険とは異なり、一定の条件を満たすことで受けられる公的な支援制度です。
これらの制度を活用することで出産にかかる経済的負担を軽減できますが、出産後の生活や将来的なリスクまで十分に備えられるとは限りません。
そのため、家族構成やライフプランに合わせて、民間保険による保障についても確認しておくことが大切です。
保険選びや必要な保障については、以下の保険相談窓口8社の比較記事👇で詳しく解説しています。
妊娠中に活用したい3つの公的支援制度とは

妊娠中には、妊婦健康診査費用の助成や傷病手当金など、一定の条件を満たすことで利用できる制度があります。
また、出産時には出産育児一時金など、出産にかかる費用負担を軽減するための給付制度も用意されています。
妊娠中は、妊婦健診や通院などにより、出産までにさまざまな費用が発生します。
そのため、経済的な負担を軽減するためには、利用できる公的支援制度を事前に把握しておくことが大切です。

この章では、妊娠中から出産までに確認しておきたい3つの公的支援制度について、ポイントを整理していきましょう。
知識・準備不要でOK👌
はじめての家計・保険相談を
\FPにオンライン無料相談👇/
①出産育児一時金とは
出産育児一時金は、健康保険制度に基づいて支給される一時金で、妊娠・出産にかかる費用の一部を補助するためのものです。
この制度は、国民健康保険や社会保険などの公的な医療保険に加入しているすべての人に適用されます。
支給額は原則として50万円(令和6年7月時点)で、支給方法は医療機関や助産所から直接支払われる場合と、申請者が後から受け取る場合があります。
なお、出産育児一時金の申請期限は、出産日の翌日から2年以内です。
出産費用が一時金を超える場合、その差額は自己負担となりますが、出産育児一時金を利用することで、出産にかかる経済的な負担を軽減することができます。

被保険者本人が出産した場合だけでなく、その扶養家族が出産した場合にも適用されます。
出典:
厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
➁出産手当金とは
出産手当金は、女性が出産のために仕事を休む間に給与が支払われない場合、健康保険(社会保険)から支給される手当です。
具体的には、出産予定日の42日前から、出産日の翌日以降56日目までの間に給与が支払われなかった日数に対して支給されます。
多胎妊娠の場合は、この期間が98日となります。
支給額は、過去12ヶ月の平均月給を基に算出される標準報酬日額の2/3が1日あたり支給されます。
ただし、出産手当金を受け取れるのは健康保険(社会保険)の被保険者のみであり、国民健康保険には出産手当金の制度がありません。

多胎妊娠(たたいにんしん)」とは、1回の妊娠で2人以上の胎児を授かることを指し、一般的に双子や三つ子などが該当します。
出典:
全国健康保険協会「出産手当金について」
③高額療養費制度とは
高額療養費制度は、病気やけがによる医療費が一定の限度額を超えた場合、その超過分が支給される制度です。
具体的には、1ヶ月の自己負担額が所得や年齢によって異なる限度額を超えると、超過分が支給されます(70歳未満と70歳以上で計算方法が異なります)。
対象となる医療費は、入院費、外来診療、手術費用などですが、差額ベッド代や食事代は含まれません。
また、世帯内で同じ健康保険に加入している人の医療費は、一定の条件を満たせば合算できます。
妊娠・出産に関しては、異常分娩に伴う治療や手術(例:切迫早産、帝王切開、妊娠高血圧症候群など)は適用対象ですが、正常分娩の費用は適用外です。

妊娠・出産に関する医療保険については、以下のコラムもご参照ください。
出典:
妊娠中に備えたい5つの保険とは?公的医療保険が適用されない費用への備え方
公的制度以外で妊娠・出産時に検討したい3つの保険とは

出産育児一時金などの公的支援制度を活用することで、出産にかかる費用負担を軽減することができます。
一方で、公的制度だけでは妊娠中や出産後に発生する入院・手術、万が一のリスクなど、すべての費用や生活上の不安をカバーできるわけではありません。
そのため、家族の状況や将来のライフプランに合わせて、民間保険による備えを検討することも大切です。

この章では、妊娠・出産に備えて確認しておきたい代表的な3つの保険について解説します。
なお、妊娠・出産に備える際は、保険による備えだけでなく、出産後に必要となる費用や家計への影響もあわせて考えておくことも大切です。
出産後にかかるお金や家計管理のポイントについては、以下の記事👇で詳しく解説しています。
①医療保険|妊娠・出産時の入院や手術に備える
医療保険は、病気やケガによる入院や手術に備えるための保険です。
妊娠・出産は基本的に病気ではありませんが、帝王切開や切迫早産、妊娠高血圧症候群などで入院や手術が必要となる場合には、保障の対象となることがあります。
ただし、妊娠後に医療保険へ加入する場合は、妊娠や出産に関する保障が一定期間対象外となるケースや、加入条件が限定されるケースもあります。
そのため、妊娠を希望している段階や妊娠前から保障内容を確認し、自分に合った保険を選ぶことが大切です。
関連記事
限定告知型医療保険のメリットと注意点|通常の医療保険とどう違うの?
②生命保険|家族の生活を守るための備え
子どもが生まれると、教育費や生活費など、将来に必要なお金が大きく変化します。
そのため、万が一の事態に備えて、生命保険の保障内容を見直すことも重要です。
生命保険は、被保険者が死亡または高度障害状態となった場合に保険金が支払われるため、残された家族の生活費や教育費を支える役割があります。
現在加入している生命保険がある場合でも、家族構成や収入、住宅ローンの有無などを踏まえ、必要な保障額になっているか確認しておきましょう。
関連記事
第一分野の保険とは?生命保険3種類(定期・終身・養老)の特徴と選び方
③学資保険|子どもの教育資金を計画的に準備する
子どもの将来の教育費に備える方法として、学資保険を活用する選択肢があります。
学資保険は、子どもの進学時期に合わせて保険金や祝い金を受け取れるため、教育資金を計画的に準備しやすいことが特徴です。
また、出産前から加入できる商品もあり、早い段階から教育費の準備を始めることができます。
一方で、途中で解約すると元本割れとなる場合があるほか、保険料が固定される点には注意が必要です。
学資保険だけでなく、預貯金や資産形成制度なども含めて比較し、自分の家庭に合った方法を選びましょう。
関連記事
学資保険のベストタイミングは?出生直後加入のメリットと契約者年齢制限
フリーランス・自営業の方は所得保障保険も検討しよう
会社員や公務員は、病気やケガで働けなくなった場合に傷病手当金を受け取れることがありますが、フリーランスや自営業の方は原則としてこの制度を利用できません。
妊娠中の体調不良や切迫早産などで長期間仕事を休むことになれば、収入が大きく減少する可能性があります。
そのようなリスクに備える方法として、所得保障保険(就業不能保険)を検討するのも一つの選択肢です。
所得保障保険は、病気やケガなどで働けなくなった場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。
特に事業所得が生活費の中心となっている方は、公的保障だけに頼らず、自分の働き方に合った備えを検討しておくと安心です。
関連記事
所得補償保険はいつ必要?育児・介護・転職に備えるべき理由とは?
出産育児一時金・出産手当金などの申請方法

出産育児一時金や出産手当金などの公的支援制度は、勤務先や加入している健康保険、市区町村などを通じて申請します。
ただし、制度ごとに申請先や必要書類、申請期限が異なるため、事前に手続きの流れを確認しておくことが大切です。
特に、申請期限が定められている制度もあるため、出産前から必要書類や申請時期を把握しておくことで、給付金をスムーズに受け取ることができます。

この章では、出産育児一時金や出産手当金などの主な公的支援制度について、それぞれの申請方法や手続きの際の注意点を確認していきましょう。
知識・準備不要でOK👌
はじめての家計・保険相談を
\FPにオンライン無料相談👇/
出産育児一時金の申請方法
出産育児一時金は、「直接支払制度」「受取代理制度」「償還払い制度」の3つの方法で申請できます。
多くの医療機関では「直接支払制度」が利用されており、窓口で支払う出産費用を軽減できることが特徴です。
まずは、それぞれの申請方法の違いを表1で確認してみましょう。
| 申請方法 | 申請先 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 直接支払制度 | 医療機関 | 合意文書を作成し、出産施設が保険者へ申請 |
| 受取代理制度 | 加入している健康保険 | 支給申請書を保険者へ提出し、医療機関が代理で受け取る |
| 償還払い制度 | 加入している健康保険 | 出産費用を一旦支払い、出産後に保険者へ申請 |
多くの場合は直接支払制度を利用するため、出産前に医療機関で利用する意思を伝え、必要書類を提出します。
一方で、直接支払制度を利用できない場合は、受取代理制度または償還払い制度によって手続きを行います。
なお、出産育児一時金の申請期限は出産日の翌日から2年以内です。
また、直接支払制度を利用できるかどうかは医療機関によって異なるため、出産前に確認しておきましょう。
出典:
厚生労働省【出産育児一時金等について】
出産手当金の申請方法
出産手当金は、勤務先を通じて加入している健康保険へ申請します。
申請手続きは、以下の流れで進めるのが一般的です。
- 加入している健康保険から出産手当金支給申請書を取得する。
- 医師または助産師に、出産に関する証明を記入してもらう。
- 勤務先へ申請書を提出し、事業主証明を記入してもらう。
- 必要事項や添付書類を確認し、加入している健康保険へ申請書を提出する。
- 健康保険による審査が完了すると、支給要件を満たしている場合は出産手当金が支給される。
申請時には、主に出産手当金支給申請書が必要です。
なお、加入している健康保険によって提出書類や申請方法が異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
また、出産手当金の申請期限は、支給対象となった日の翌日から2年です。
期限を過ぎると受給できなくなる可能性があるため、出産後は必要書類を早めに準備し、期限内に手続きを行いましょう。
出典:
協会けんぽ【出産手当金】
出産育児一時金・出産手当金の申請手続きで注意したいポイント(FP視点から解説)
出産育児一時金・出産手当金をスムーズに受け取るためには、「申請期限」「必要書類」「資金計画」の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
まず、申請期限を確認しておきましょう。
出産育児一時金は出産日の翌日から2年以内、出産手当金は支給対象となった日の翌日から2年以内に申請する必要があります。
期限を過ぎると給付を受けられなくなる可能性があるため、出産前後のスケジュールに手続きを組み込み、余裕を持って準備を進めましょう。
次に、必要書類を早めに準備しましょう。
出産手当金は、医師または助産師と勤務先による証明が必要となるため、書類の準備に時間がかかる場合があります。
また、加入している健康保険によって提出書類や手続きが異なることもあるため、事前に確認しておくことが重要です。
最後に、給付金が支給されるまでの資金計画を立てておきましょう。
公的支援制度は申請後すぐに給付されるとは限らず、支給まで一定の期間を要する場合があります。
そのため、出産費用や産後の生活費を給付金だけに頼るのではなく、当面の生活資金を準備しておくことが、安心して出産・育児を迎えるためのポイントです。

申請手続きは健康保険や自治体の窓口へ、家計や今後の資金計画はファイナンシャルプランナーへ相談してみると安心です。
出産後のママに人気の相談サービス👇
・【マネードットコム】
まとめ|妊娠・出産でもらえるお金を活用して出産を迎えよう
妊娠・出産では、出産育児一時金や出産手当金など、さまざまな公的支援制度を利用することで、出産や休業に伴う経済的な負担を軽減できます。
制度を確実に活用するためには、支給要件や申請方法、申請期限を事前に確認し、必要書類を早めに準備しておくことが大切です。
また、FPの視点では、公的支援制度を活用するだけでなく、出産後の生活費や教育費も見据えた資金計画を立てておくことが、安心して子育てを始めるためのポイントになります。


