これはつい先日のことです。
医師の友人から「実は転職しようか悩んでいて…」と相談されたのがきっかけでした。
筆者の周りでも、転職サイトを活用してキャリアをステップアップしている友人は多いものの、『医師の転職』は一般的な転職と異なる点も多く、意外と知らないことが少なくありません。
そこで本記事では、FPの視点から、医師が転職時に確認しておきたい社会保険や福利厚生のポイントを整理します。
さらに、情報収集や条件比較を効率的に行える「医師転職サイト」の活用法についても解説します。
この記事で分かること
- 社会保険・福利厚生のチェックポイント
- 転職時のFP視点でのリスク管理
- 医師転職サイト活用術

転職先によって退職金や企業年金の制度は異なるため、基本的な仕組みもあらためて確認しておきましょう。

転職前に押さえておくべき社会保険の基本とは?

そもそも、なぜ転職時に社会保険をチェックする必要があるのでしょうか。
これは医師に限った話ではありませんが、転職のタイミングで社会保険の加入先や負担額が変わることで、手取り収入や将来の年金額、各種給付の受け取りに大きな影響を与えるからです。

まず最初に、転職時に確認しておきたい健康保険や社会保険の切り替えについて見てみましょう。
医師転職サイト
・医師の転職なら「医師転職ドットコム」
健康保険の切り替えと注意点
転職すると、健康保険の切り替えや扶養家族の扱いが変わることがあります。
例えば、保険の切り替えが遅れると、一時的に無保険状態になり、病院での診療費を全額自己負担しなければならないことがあります。
また、扶養家族の扱いや保険料の変化によって、毎月の手取りが思ったより少なくなる場合もあり、
さらに、扶養に入れない家族がいる場合、その家族の医療費も自己負担になってしまいます。

健康保険の切り替えとは、転職や退職に伴い、加入する健康保険の種類や契約先を変更する手続きのことですよ!
健康保険切り替えの3つの条件
1. 退職・転職で前職の健康保険を脱退する場合
前職の勤務先で加入していた健康保険は、退職日を境に原則として使えなくなります。
2. 新しい勤務先で健康保険に加入する場合
転職先の勤務先が健康保険(組合健保・協会けんぽなど)を用意している場合、新しい健康保険に加入します。
3. 扶養家族の状況に変更がある場合
家族を新しい保険の扶養に入れる、あるいは外す場合は、扶養の認定条件や手続きが勤務先によって異なるため、確認が必要となります。
あわせて読みたいコラム
・退職後に任意継続を選ぶ理由|社保と国保の違いを保険料負担で考察
厚生年金の差と将来年金への影響
転職によって厚生年金が変化する可能性がありますが、その仕組みをご存知でしょうか。
これは、厚生年金の保険料や将来受け取る年金額が、給与額や加入期間に応じて計算される仕組みになっているためです。
例えば、転職によって給与が上がれば、厚生年金の保険料も増えますが、将来受け取る年金額も増える可能性があります。
一方で、給与が下がったり、会社員から個人事業主として国民年金に切り替わる場合は、将来受け取る年金額が減ることがあります。

国民年金と厚生年金の違いを改めて整理すると、以下のような違いがありますよ。
国民年金と厚生年金の違い
Ⓐ国民年金
・自営業や個人開業医などが加入。
・一律の保険料を支払う。
・将来受け取れる年金額は、厚生年金より少なくなる傾向。
Ⓑ厚生年金
・会社員や病院勤務医などが加入。
・給与に応じた保険料を支払う(半分は勤務先負担)。
・将来受け取る年金額は、加入期間と納付額に応じて増える。

日本年金機構『公的年金制度の種類と加入する制度』より
失業保険や育児休業給付の影響
転職時には、失業保険などの公的制度を活用することができます。
これは、転職によって収入が途切れる期間や育児・休業中の生活を支えるための制度で、一定の条件を満たすことで給付を受けることができます。

転職活動中に活用できる主な公的制度には、以下のようなものがあります。
1. 失業保険
内容
退職後、次の就職までの間に給付される手当。
対象
雇用保険に一定期間加入している人(原則12か月以上)。
ワンポイント
自己都合退職か会社都合退職かで給付開始時期や期間が変わる。
3. 雇用保険の各種手当(教育訓練給付など)
内容
・スキルアップのための講座受講費の一部を補助。
対象
・一定期間雇用保険に加入している人。
FP目線で考える転職のリスクと最適活用法

前章では、転職に伴う社会保険や厚生年金などの基本項目について見ていきましたね。
こうして整理してみると、転職時には多くの制度や手続きが関わってくることがわかります。

この章では、転職することのリスク、特に資金面に関して、FPの視点から整理していきます。
収入・社会保険料の変動シミュレーション
転職時には、給与の変化だけでなく、健康保険や厚生年金などの社会保険料の負担額も変動することは、前章でお伝えした通りです。
つまり、これらを正しく把握することで、転職後の手取りや家計への影響を事前に予測できるようになります。
シミュレーションの3つのポイント
1. 給与の変化
基本給・手当・賞与の合計で比較。
2. 社会保険料の変化
健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険(該当者)を確認。
3. 手取り収入の差
社会保険料や所得税を差し引いた後の金額を計算。

上記の3つのポイントを確認した上で、転職時の手取りの変化をシミュレーションしてみましょう。
項目 | 転職前 | 転職後 |
---|---|---|
月給(基本給+手当) | 40万円 | 50万円 |
健康保険料 | 2.0万円 | 2.5万円 |
厚生年金 | 3.5万円 | 4.4万円 |
雇用保険料 | 0.2万円 | 0.25万円 |
所得税 | 0.6万円 | 0.8万円 |
手取り | 33.7万円 | 42.05万円 |
※補足
上記は基本項目のみを計上したもので、実際の金額は条件により変動します。
退職金・年金制度の差による将来資金の見直し
勤務先の病院やクリニックによっては、退職金制度が無いと聞くと驚かれるかもしれません。
これは、法律上、雇用主に退職金の支払い義務がないためです。
そのため、退職金の有無や計算方法は勤務先ごとに異なり、必ず事前に確認しておく必要があります。
転職時の退職金制度の3つのチェック項目
1. 退職金制度の有無
・退職金制度が転職先の職場で導入されているのかを確認。
・制度がない場合は、自身で将来資金を準備する必要がある。
2. 支給条件
・勤続年数や退職理由によって退職金が支給されるかどうかを確認
・勤続年数が短い場合や自己都合退職の場合に支給されないケースもある。
3. 計算方法・受給額
・支給額の計算方法(基本給連動、役職手当・賞与を含むかなど)を確認
・将来受け取る金額の目安を把握し、生活設計に反映。
参照サイト
・医師に退職金がないのは本当?平均・相場やもらえないケースを紹介
医師転職サイトを活用するメリット

ここまで、転職時のチェック項目を第1章・第2章で見てきました。
ここで最後に取り上げたいのは、転職サイトの活用です。
特に、これまで転職サイトを使ったことがない方にとっては、「本当にキャリアアップできるの?」と不安に感じるかもしれません。

この章では、医師の転職サイトの活用方法と、それに伴うメリットや注意点について見ていきましょう。
専任コンサルタントに相談するメリット
医師が転職を考える際、専任コンサルタントに相談することには多くのメリットがあります。
特に大きなメリットは、一般には公開されていない非公開求人にアクセスできることです。
こうした求人には、キャリア形成に役立つポジションや、働きやすい環境など、医師一人ひとりの希望に沿った案件が多く含まれています。
また、勤務形態や当直回数、勤務地、ワークライフバランスといった、自分では言いにくい条件もコンサルタントが調整してくれるため、安心して転職活動を行うことができます。
医師の転職サイト
転職成功者の3人に2人が利用した非公開求人紹介サービス
医師の転職なら「医師転職ドットコム」
医師転職サイトの気になる悩み
専任のコンサルタントによるサポートがあっても、転職には不安がつきものです。
特に、「本当に自分に合った転職先が見つかるだろうか」と心配になりますよね。

転職サイトを活用する際に想定される疑問点には、以下のようなものがあります。
転職サイトを利用する際の気になるポイント
1. 転職時の自身のニーズの反映
・キャリアアップや立地条件など、自身のニーズがしっかり反映されるかどうか。
2. サイトの利用時の費用
・サイトの利用にあたって、費用がかかるのかどうか。
3. サイトの運営元の企業情報
・転職サイトの運営元が信頼できる企業かどうか。
4. 個人情報の保護
・名前や住所など、個人情報は適切に保護してもらえるのかどうか。

医師転職ドットコム『転職サイト利用時の不安』より
転職サイト活用の具体的ステップ
では、「医師の転職サイトってどう活用すればいいの?」と疑問に思われますよね。
医師の転職サイトも一般的な転職サイトと同様に、まずは複数登録して情報を比較することから始めるのがおすすめです。

サイト登録から面接・条件交渉まで、基本的には以下の6つのステップで進めていきますよ。
医師転職サイト活用の6つのステップ
1. サイトに複数登録する
取り扱う求人や医療機関のネットワークはサイトごとに異なるため、2〜3社程度に登録して幅広く情報を収集します。
2. 希望条件を整理する
勤務時間、当直の有無、勤務地、給与、専門医資格の取得支援など、自身の優先順位を明確にします。
3. コンサルタントと面談する
専任コンサルタントに自身の希望や条件を相談し、適切な求人や非公開案件の情報を得ます。
4. 求人を比較・絞り込む
提示された複数の求人を、条件、勤務地、キャリア形成、ワークライフバランスなどの観点で比較・絞り込みます。
5. 面接・条件交渉を行う
面接日程の調整や給与・勤務条件の交渉をコンサルタントを通して行い、細かな条件も確認します。
6. 転職先を最終決定する
自身の希望条件に合った転職先を決定し、転職準備を進めます。
医師転職サイトには、どんなのがあるの?
先ほどの章では、医師転職サイトの活用ステップについてお伝えしました。
その中で、複数の転職サイトに登録することをおすすめしましたが、できることなら、一つの転職サイトだけで希望条件を満たせるのが理想ですよね。

医師転職サイトの中でも、利用者が多く実績のあるサービスとして「医師転職ドットコム」があります。

医師転職ドットコムの3つの特徴
1. 匿名で転職活動を行える
個人を特定できない履歴書を作成するため、匿名性が保たれたまま転職活動を進めることができます。
2. 医師のキャリアやスキル・経験を丁寧にヒアリング
希望条件やライフスタイルに合った求人が見つかるように、キャリアコンサルタントが丁寧にサポートしてくれます。
3. すべてのサービスが無料
条件交渉や面接同行、退職フォローなど、転職に関わるサービスをすべて無料で受けられます。

もしご興味がある方は、以下のサイトからチェックしてみてくださいね!
参照サイト
・医師の転職なら「医師転職ドットコム」
まとめ
今回の記事のまとめです。
転職のタイミングで社会保険の加入先や負担額が変わると、手取りや将来の年金に影響することがあるため、経済的負担を事前に確認しておくことが大切です。
また、医師が転職サイトを活用することで、社会保険や福利厚生の情報を整理しつつ、自身に最適な条件の求人を効率よく探せます。