出産は、家族にとってかけがえのない喜びの瞬間です。
しかし同時に、これから始まる子育てや家計管理について、不安を感じる方も少なくありません。
実は、出産後の早い段階で「お金の準備」を始めておくことが、家計の将来に安心をもたらしてくれます。
この記事では、FPの視点から、出産後に実践できる5つのマネー対策をご紹介します。
この記事で分かること
- 出産後に備えたい5つのマネー対策
- 子どもの将来に向けたお金の準備法
- 無理なく続ける家計管理のコツ(FP視点)

学費や生活費、ライフプランの見直しなど、必要なマネー対策を知っておくだけでも大きな違いが生まれますよ!
出産後に考えるべきお金の基本

そもそも、出産後にはどれくらいの費用がかかるか、ご存じでしょうか?
出産費用には入院費、分娩費用、検査費用、医師や助産師への報酬などが含まれ、総額で数十万円から百万円程度かかるのが一般的です。

まずは、出産後にかかる主な費用とその対策法について確認していきましょう。
出産後にかかる主な費用とは?
出産後は、赤ちゃんに必要な用品の購入や医療費、食費の増加などで家計が圧迫されることが多く、子育てを始めるうえで大きな負担になりがちです。
また、子どもの成長に伴い、教育費や生活費も次第に増えていきます。
出産後に必要となる主な費用
1. 育児用品の購入費用
ベビーベッド、ベビーカー、おむつ、衣類、哺乳瓶など、赤ちゃんの生活に必要な物品を揃える費用。
2. 医療費
定期的な乳児健診や予防接種、病気になったときの通院費用など。
3. 食費・生活費の増加
赤ちゃんの成長に伴い、食費や水道光熱費、日用品の消費量が増えることがあります。
4. 保育料や教育費の準備
将来的には保育園の費用や幼稚園、さらには小学校以降の教育費も考慮する必要があります。
5. その他の費用
育児休業中の収入減少や家事代行サービス、ベビーシッターなどの利用費用も発生する場合があります。
育児に備えて家計をどう見直せばいいの?
育児が始まると生活費や教育費が増え、家計の見直しが欠かせません。
そのため、まずは収入と支出のバランスをしっかり把握し、無理のない予算を立てることが大切です。
これにより、計画的な節約や貯蓄がしやすくなり、家計管理もスムーズに進められます。
具体的には、通信費や保険料などの固定費を見直し、不要な支出を減らすことがポイントです。
関連コラム
・ライフイベントに合わせた生命保険の見直し|その重要性とメリット
公的支援制度の活用方法
育児にかかる費用を抑えるには、公的支援制度の利用も重要です。
代表的なものに「児童手当」があり、0歳から中学校卒業までの子どもを対象に一定額が支給されます。
また、「医療費助成制度」や「保育料補助」なども利用できます。
ただし、自治体によっては独自の支援がある場合もあるため、お住まいの地域の窓口や公式サイトで確認し、必要に応じて相談することが大切です。

児童手当について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
参照コラム
・児童手当は第三子でいくら?2024年拡充後の所得制限と申請条件まとめ
子どもの将来に向けたお金の準備

出産後にかかる費用については前章で解説しましたが、育児にかかる費用も含めると、長期的な資金計画が欠かせません。
例えば、子どもの教育費や生活費はもちろん、家族全体のライフプランを見据えた資産形成も重要です。

この章では、子どもの将来に向けたお金の準備について一緒に考えていきましょう。
子どもの将来に向けたお金の準備|押さえておきたい4つのポイント
子どもの成長に伴って必要となる教育費や生活費は、想像以上に大きな金額になります。
大学進学や一人暮らし、留学、就職・結婚の支援など、人生の節目には多額の費用が必要になるため、計画的な資金準備が欠かせません。

計画的な資金準備のためにも、以下4つのポイントをチェックしてみましょう!
ポイント①教育費の目安を知ることが第一歩
たとえば、子ども1人にかかる教育費は、公立の学校に通った場合でも総額で約1,000万円、私立を選んだ場合には2,000万〜2,500万円程度にのぼると言われています。
なかでも大学進学にかかる費用は大きく、国公立であっても4年間で約250万円、私立の理系学部では600万〜800万円かかるケースも少なくありません。
これらの費用には、学費だけでなく、塾代や習い事、教材費、通学費、受験料なども含まれており、進学するほどに家計への負担は大きくなっていく傾向があります。
参照コラム
・学資保険の保険料相場と学費の実態|幼稚園から大学までの支出ガイド
ポイント②「いつ・いくら必要か」を逆算して備える
教育資金の準備は、“いつまでに・いくら必要か”を明確にすることが大切です。
高校〜大学にかけて費用のピークが訪れることが多いため、なるべく早いうちから積立を始めることで、負担を分散することができます。
たとえば、子どもが0歳のときから毎月15,000円を積み立てると、18歳までに約324万円になります。
これに加えて、児童手当(中学生まで最大200万円ほど)を貯蓄すれば、約500万円近い資金が確保できます。
参照コラム
・児童手当は第三子でいくら?2024年拡充後の所得制限と申請条件まとめ
ポイント③準備方法はいろいろ。家庭に合った手段を選ぼう!
資金の準備にはさまざまな方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
たとえば、定期預金や普通預金は、元本が保証されているため安心感がありますが、金利は低めで大きな増加は期待しにくい点がデメリットです。
学資保険は毎月保険料を支払い、満期にまとまった金額を受け取れるうえ、保障も付いているため万が一の備えとしても活用できます。
一方、つみたてNISAや投資信託は、長期的な資産形成に向いており、時間をかけて運用すればインフレ対策にもなります。
ただし、元本割れのリスクがあるため、運用にはある程度の知識や理解も必要です。
また、児童手当をそのまま貯蓄に回すという方法もあります。
支給されたお金を無理なく積み立てるだけで、18歳までにまとまった金額になるため、シンプルながら有効な手段のひとつです。
参照コラム
・学資保険のメリットと解約時の注意点|貯蓄型と保障型の違いを解説
ポイント④教育費以外にも備えておきたい費用
教育費だけでなく、一人暮らしの生活費や就職・結婚時の支援費用も視野に入れておくと安心です。
大学進学に伴って地方に住む場合、仕送りや家賃、引っ越し費用などが加わり、年間100万円以上の出費になることもあります。
また、近年では「留学」「資格取得」「ITスキル習得」など、子ども自身が新たな挑戦を希望するケースも増えています。
こうした将来の可能性に柔軟に対応するためにも、目的別の資金を分けて準備しておくことが理想的です。
あわせて読みたいコラム
・財形貯蓄の3種類を比較!給与天引きでムリなく貯まる仕組みとは?
長期的に続けやすい家計管理のコツとは?

1章・2章では、出産前後から子どもの独立までにかかる教育費や生活費について見てきましたが、いかがでしたか?
これらの費用を踏まえて家計管理を行うには、将来を見据えた計画的な準備が欠かせません。

そこで最後に、家計管理を長期的に続けるポイントを見ていきましょう。
続けるために大切な「仕組み」の構築
家計管理を長く続けるには、努力や気合いよりも「仕組みづくり」が欠かせません。
たとえば、以下のような仕組みをつくっておくと、毎月の管理がぐっと楽になります。
・固定費と変動費を分けて管理する。
・給与が入ったら「先取り貯金」を自動で設定する。
・支出の記録はアプリや表でルール化しておく。
特におすすめなのが、銀行口座の使い分けです。
生活費用、貯金用、特別支出用など、口座を使い分けることでお金の流れが自然と整理され、家計管理が負担になりにくくなります。
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節約よりも「見える化」でストレスを減らす
節約は大事ですが、過度に頑張りすぎるとストレスがたまり、継続が難しくなります。
そんなときに役立つのが「お金の見える化」。
今の家計状況を“見える形”にすることで、節約の優先順位が自然と見えてきます。
例えば、以下3つのような方法があります。
・家計簿アプリで収支を一元管理。
・1週間ごとの支出をグラフで可視化。
・支出ごとに「満足度」や「必要度」を記録する。
お金の流れを把握することで、「無理に削る節約」ではなく、「ムダを見直す節約」に変わり、ストレスも感じにくくなります。
やめない家計管理に必要な“ご褒美ルール”とは?
家計管理を長期的に続けるには、時には「ゆるみ」や「楽しみ」も必要です。
そこで効果的なのが、自分なりの“ご褒美ルール”を設定することです。
たとえば…
・毎月目標額を達成できたら、好きなカフェでランチに行く。
・無駄遣いを減らせたら、ちょっと贅沢なスイーツを購入する。
・年間貯金額をクリアしたら、家族でプチ旅行に行く。
こうした“ご褒美”は、ただの出費ではなく、達成感や満足感を高める大切な要素です。
無理なく楽しみながら続ける工夫を取り入れることで、家計管理をポジティブな習慣として根づかせることができます。

下記のコラムではお中元の費用についてまとめていますが、
お中元を自身へのプチご褒美として活用するのもおすすめですよ!
参照コラム
・見落としがちな季節イベント費を整理!お中元費用の効果的予算化とは?
まとめ
今回の記事のまとめです。
出産後は、赤ちゃんに必要な用品の購入や医療費、食費の増加などで家計が圧迫されやすく、子育てのスタート時に大きな負担となることが多いです。
また、子どもの成長に伴い教育費や生活費も徐々に増えていくため、長期的な資金計画が欠かせません。
そのため、支出の見える化や“ご褒美ルール”など、家計管理の仕組みをしっかりと構築することが大切です。