NISAは「デメリットしかない制度なのでは?」と感じてしまう方も少なくありません。
その背景には、元本割れのリスクや制度上の制約といった目に見えやすいデメリットに加え、なんとなく良さそうという印象だけで、十分に内容を理解しないまま始めてしまうケースがあることも影響しています。
ただし、ここで誤解を整理しておくと、NISAは“デメリットしかない制度”ではありません。
むしろ、仕組みを正しく理解し、自分の目的に合わせて活用できるかどうかによって、評価が大きく変わる制度です。
この記事では、NISAが「デメリットしかない」と言われる理由を整理したうえで、資産形成におけるNISAの活用方法について、ファイナンシャルプランナーの視点からわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- NISAが「デメリットしかない」と言われる理由
- NISAの具体的なデメリットと注意すべきポイント
- NISAを活用した資産形成の考え方と上手な使い方

NISAのデメリットを踏まえながら、資産形成にどう活かせるのかを整理していきましょう。
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NISAがデメリットしかないと言われる理由とは?誤解されやすい2つのポイントを整理

NISAには、元本割れのリスクなど注意すべきデメリットがあります。
ただし、それらは制度の欠陥というよりも、仕組みを十分に理解しないまま始めてしまうことで強く感じられてしまうケースが多いです。
まずは、NISAが「デメリットしかない」と感じられてしまう理由を、2つに分けて見ていきましょう。

NISAの基本的な仕組みや始め方を知りたい方は、以下の記事👇もあわせて参考にしてみてください。
SBI証券の口座開設ステップについても解説していますよ!
NISAのデメリットとは?資産形成に影響する3つのポイント
NISAのデメリットは、「元本割れのリスク」「損失が出ても損益通算ができない」「短期投資には向いていない」の3つです。
ただし、これらは制度の欠陥ではなく、資産形成の進め方に影響するのが特徴です。

上記3つのポイントについて、順に見ていきましょう。
NISAのデメリット①元本割れのリスクがある
NISAでは、価格の変動によって元本割れが起こる可能性があります。
これは投資全般に共通するリスクですが、NISAは株式や投資信託といった価格変動のある金融商品を対象としているため、運用状況によっては購入時の価格を下回ることがあります。
特に株式比率の高い投資信託や個別株式は、市場環境や企業業績の影響を受けやすく、短期的には大きく値動きすることもあります。
そのため、NISAは元本保証のある制度ではなく、価格変動による損失が発生する可能性がある点は押さえておく必要があります。
NISAのデメリット②損失が出ても損益通算ができない
NISA口座で発生した損失は、課税口座の利益と相殺することができません。
通常の特定口座や一般口座では、株式や投資信託の損失と利益を通算することで税負担を調整することが可能ですが、NISAでは非課税制度である代わりに、この仕組みは適用されません。
また、課税口座で認められている損失の繰越控除(最長3年)についても、NISA口座で発生した損失は対象外となります。
そのため、損失が発生した場合でも税務上の調整ができない点は、制度上の制約の一つです。
NISAのデメリット③投資金額に上限がある
NISAでは、年間に投資できる金額に上限が設定されています。
例えば、新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠にそれぞれ年間の投資上限があり(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大360万円)、その範囲内でしか投資を行うことができません。
そのため、投資額を増やしたい場合でも、制度上の制約により柔軟に対応できないことがあります。
また、この年間投資枠は翌年に繰り越すことができず、使い切らなかった場合は失効します。
このように、投資額に制限がある点は、運用の自由度に影響する制度上の制約です。
NISAの2つの注意点とは?知らずに始めると後悔するポイント
NISAを利用するうえでの主な注意点は、「損益通算や繰越控除ができない」「投資対象が限定されている」の2点です。
これらは制度上の特徴によるものであり、知らずに始めてしまうと、思わぬ不便さや想定とのギャップにつながる可能性があります。

先ほどのデメリットで触れたとおり、損益通算や繰越控除ができないことが資産形成に与える影響を整理しておきましょう。
NISAの注意点①損益通算や繰越控除ができない
NISAでは、損失が出ても損益通算や繰越控除を利用することができません。
これは、NISAが運用益を非課税とする代わりに、課税口座で行われるような税務上の損益調整の仕組みを適用しない制度設計になっているためです。
通常の課税口座では、株式や投資信託で発生した損失を他の利益と相殺したり、損失を最長3年間繰り越すことで税負担を軽減することができます。
しかし、NISAではこれらの仕組みが使えません。
例えば、複数の投資商品を運用している場合、課税口座であればある商品の利益と別の商品で出た損失を通算し、最終的な課税額を抑えることができますが、NISAで発生した損失はその調整に含めることができません。
その結果、投資全体として損益が相殺されることなく、損失がそのまま家計上のマイナスとして残る形になります。
また、ポートフォリオ全体で見たときに税務上の調整余地がないため、資産全体の管理という観点では柔軟性が下がるという影響があります。
このように、利益に対しては非課税というメリットがある一方で、損失を税務上調整できないという点は、運用結果や資産管理に直接影響する注意点の一つです。
NISAの注意点②投資対象が限定されている
NISAでは、投資できる金融商品が制度によって限定されています。
これは、NISAが長期・積立・分散投資を促進することを目的として設計されており、対象商品を一定の基準に適合したものに絞っているためです。
例えば、NISAではeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(オルカン)のような、全世界の株式に分散投資する投資信託は対象に含まれています。
一方で、短期売買を前提とした商品や一部の高リスク商品などは対象外となる場合があります。
そのため、NISAは「何でも自由に選べる制度」ではなく、あらかじめ長期投資に適した商品に絞られている点が特徴です。
このことにより、投資対象の選択肢は一定の制約を受けることになります。

オルカンについてより詳しく知りたい方は、以下の記事👇で詳しく解説していますよ。
NISAが向いている人・向いていない人の違いとは?

NISAはすべての人にとって最適な投資制度ではなく、投資目的や資金状況によって向き不向きが分かれる制度です。
その違いは、「長期的な資産形成を前提としているかどうか」と「価格変動や制度上の制約を受け入れられるかどうか」にあります。

この章では、NISAが向いている人と向いていない人の特徴を整理していきます。
NISAが向いている人の特徴とは?長期投資で成果を出しやすい人の共通点
NISAは、長期的な資産形成に取り組める人にとって成果を出しやすい制度です。
そのため、投資を習慣として継続できる人や、資産を分散して考えられる人は、NISAでの資産形成に向いている傾向があります。

NISAが向いている人の特徴には、次の3つが挙げられます。
①投資を習慣として継続できる人
NISAは、投資を継続的に積み立てられる人ほど成果を出しやすい制度です。
これは、短期的な売買で利益を狙う仕組みではなく、時間をかけて資産を増やしていく長期投資を前提としているためです。
例えば、毎月一定額を決めて積み立てることで、価格が高いときも安いときも平均化され、長期的に安定した資産形成につながります。
その結果、相場の変動に左右されず、継続的に投資を続けられる人ほど制度の効果を活かしやすくなります。
②資産を分散して考えられる人
NISAは、資産を分散して考えられる人に向いている制度です。
これは、投資対象やタイミングを分けることでリスクを抑えながら運用することが前提となっているためです。
例えば、国内外の株式や投資信託に分けて投資することで、一つの市場に依存しないポートフォリオを構築できます。
また、購入時期を分散することで価格変動の影響も平準化されます。
このように、リスクとリターンを一つの結果で判断するのではなく、全体で調整していく考え方ができる人ほどNISAと相性が良いといえます。
③制度の枠組みを前提に設計できる人
NISAは、制度の枠組みを理解したうえで投資設計ができる人に向いています。
これは、年間投資枠や対象商品など、あらかじめルールが決まった制度の中で運用する必要があるためです。
例えば、年間の投資上限を前提に毎月の積立額を設定したり、非課税枠を長期保有向けの商品に優先的に使うことで、制度のメリットを最大限活用できます。
そのため、与えられた条件の中で最適な資産設計を考えられる人ほど、NISAの効果を引き出しやすくなります。
NISAが向いていない人の特徴とは?
NISAはすべての人に適した制度ではありません。
NISAは長期的な資産形成を目的とした制度であるため、投資目的や資金状況によっては向いていないケースもあります。
特に、「短期間で利益を得たい人」や「価格変動に強いストレスを感じる人」、「生活資金に余裕がない人」は注意が必要です。

NISAが向いていない人の特徴には、次の3つが挙げられます。
①短期間で利益を出したい人
NISAは、短期間で利益を得たい投資スタイルには向いていない制度です。
NISAは長期的な資産形成を目的としており、非課税のメリットを活かすためには時間をかけて運用することが前提となっています。
また、年間の投資枠が設定されているため、短期売買を繰り返す運用とは仕組み的に相性が良くありません。
例えば、値動きを見ながら数日〜数週間単位で売買を繰り返すような投資では、NISAの非課税枠を効率的に活用することが難しくなります。
売却しても枠が即座に回復するわけではないため、機動的な売買には制約が生じます。
その結果、短期的な値上がり益を狙う投資スタイルでは制度の特性を十分に活かせず、通常の課税口座のほうが適しているケースもあります。
②元本割れを許容できない人
NISAは元本割れのリスクを受け入れられない人には向いていない制度です。
NISAは元本保証の商品ではなく、株式や投資信託など価格が変動する金融商品を対象としています。
そのため、運用中は評価額が上下し、元本を下回る可能性もあります。
例えば、投資直後に相場が下落し、一時的に評価額が購入金額を下回るケースは珍しくありません。
長期的に回復する可能性があっても、その過程で含み損を見る場面は必ず発生します。
その結果、元本割れに強い不安を感じてしまう場合、保有を継続できずに途中で売却してしまい、長期的な資産形成の効果を十分に得られない可能性があります。
このように、価格変動への心理的な影響は、NISAの継続運用において重要な要素となります。
③資金に余裕がない人
NISAは、生活資金に余裕がない状態での運用には向いていない制度です。
NISAは短期的に増減を繰り返すものではなく、時間をかけて資産を育てていく長期投資を前提としています。
そのため、すぐに使う予定のあるお金で運用すると、資金計画に支障が出る可能性があります。
例えば、生活費や急な出費に備える資金まで投資に回してしまうと、必要なタイミングで資産を取り崩さざるを得なくなることがあります。
その際に相場が下落していれば、損失を抱えた状態で売却することにもなりかねません。
その結果、長期的に運用する前提が崩れ、NISA本来の資産形成効果を活かしにくくなります。
そのため、無理のない資金計画を前提に、投資と生活費を分けて考えることが重要です。
こうした資金の余力をつくる考え方については、可処分所得を増やすためのライフハックとして、以下の記事👇で詳しく解説しています。
NISAを活用する際に押さえておきたいポイントとは?

NISAを活用した資産形成では、「とりあえず始める」のではなく、自分に合った形で無理なく続けられるかどうかが重要です。
特に、短期的な値動きだけで判断してしまうと、不安から途中でやめてしまうケースも少なくありません。
そのため、制度の特徴を理解したうえで、自分の目的やライフプランに合わせて活用していくことが大切です。
ここでは、NISAで後悔しないために押さえておきたいポイントを3つに分けて整理します。

NISAを始めるには、証券口座の開設が必要です。
楽天証券や松井証券の口座開設の流れについては、以下の記事👇でまとめているので、参考にしてみてください。
▶︎楽天証券の口座開設に必要なものは?【本人確認書類や開設費用、NISAなどよくある疑問まとめ】
▶︎松井証券の始め方【投資初心者向け】口座開設から取引開始までの完全ガイド
①長期・積立・分散を前提に考える
NISAを活用する際は、「長期・積立・分散」を前提に考えることが重要です。
なぜなら、投資は短期間では価格変動の影響を受けやすい一方、長期で運用することで値動きが安定しやすくなる傾向があるからです。
実際に、株式市場は景気や金利、世界情勢などの影響によって、一時的に大きく下落することがあります。
そのため、短期的な値動きだけを見ると、不安になって投資をやめてしまう人も少なくありません。
しかし、過去の市場動向を見ると、経済成長や企業利益の拡大に伴い、長期的には価格が回復してきた歴史があります。
また、積立投資を継続することで、価格が高い時には少なく、価格が下がった時には多く購入しやすくなる「時間分散」の効果も期待できます。
これは、一度にまとまった金額を投資する場合と比べて、高値で購入してしまうリスクを抑えやすくなる考え方です。
さらに、国内外の株式や債券など、複数の資産に分散して投資することで、特定の資産が値下がりした際の影響も抑えやすくなります。

積立投資では、価格変動リスクを平準化しやすくなる「ドルコスト平均法」の考え方も重要になります。
②ライフプランに合わせて投資額を設定する
NISAを活用する際は、「どれだけ増やせるか」だけでなく、「無理なく続けられるか」を基準に投資額を設定することが重要です。
特に、住宅購入や教育費、老後資金など、将来必要になるお金は人によって異なります。
そのため、ライフプランを整理しないまま投資額を決めてしまうと、後から家計への負担が大きくなる可能性もあります。
また、生活費まで投資に回してしまうと、相場が下落した際に不安が大きくなり、途中で積立をやめてしまうケースも少なくありません。
まずは、急な病気や失業などに備える生活防衛資金を確保したうえで、余裕資金の範囲内で積立額を設定することが大切です。
さらに、収入や家計状況の変化に応じて、定期的に投資額を見直す視点も重要になります。

子どもの教育費を見据えて資産形成を考える場合は、実際にどれくらいの学費が必要になるのかを把握しておくことも大切です。
NISAや資産形成をFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するメリットとは?

NISAや資産形成に不安がある場合は、FPへ相談することで、自分に合った運用方法や無理のない投資額を整理しやすくなります。
NISAは、非課税で資産形成を進められる制度として注目されています。
しかし、投資額や商品選び、運用期間などを自分だけで判断しようとすると、不安を感じる方も少なくありません。
特に、資産形成は現在の収入や家計状況だけでなく、住宅購入・教育費・老後資金など、将来のライフプランとも深く関わります。

ここからは、NISAを活用するうえでFP相談が役立つ理由について、具体的に見ていきましょう。
投資を始める前に、
あなたの投資目標と資金状況をチェック!
\まずはFPに家計診断!👇/
NISAを活用するうえでFP相談が役立つ理由
NISAを活用する際に不安や迷いがある場合は、FPへ相談することで、自分に合った投資額や運用方法を整理しやすくなります。
なぜなら、資産形成では年齢・収入・家族構成・将来の目標などによって、適した運用方法が大きく変わるからです。
しかし、SNSやインターネットでは、「おすすめ銘柄」や「この商品だけでいい」といった情報も多く、自分に合っているかを十分に整理しないまま投資を始めてしまうケースも少なくありません。
例えば、教育費を優先したい方と、老後資金を中心に準備したい方では、必要な運用期間やリスクの考え方も異なります。
また、相場が大きく下落した際に、途中で積立をやめてしまうケースもあります。
FPへ相談することで、こうしたライフプラン全体を踏まえながら、家計状況に合った資産形成を考えやすくなります。
さらに、無理なく継続するための投資額や、長期的な視点で運用を続ける考え方を整理しやすくなる点も、FP相談が役立つ理由のひとつです。

なお、FP相談を検討している場合は、無料相談と有料相談の違いや、相談先ごとの特徴を比較しておくことも重要です。
まとめ|NISAは「デメリットしかない制度」ではない
今回の記事のまとめです。
NISAには、元本保証がないことや、価格変動によって資産が減少する可能性があるなど、注意すべきデメリットがあります。
しかし、その一方で、NISAは長期的な資産形成を支える制度として活用することもできます。
大切なのは、制度の特徴を正しく理解したうえで、自分の目的やライフプランに合わせて無理なく活用していくことです。
また、投資額や商品選びに不安がある場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)へ相談しながら、自分に合った方法を整理していくことも選択肢のひとつと言えるでしょう。






