『オプション取引ってどういったもの?』
オプション取引は、さまざまな資産を取引する際に活用できる便利な手段です。
しかし、仕組みや取引方法が複雑に感じられ、ハードルが高いと思われがちです。
特に「コールオプション」と「プットオプション」の違いなど、初めての方にはわかりにくいポイントもあります。
この記事では、オプション取引の基本から始め方、リスク管理のコツまでを投資初心者向けに解説していきます。
この記事で分かること
- オプション取引の基礎知識
- 主なオプション取引の種類
- オプション取引を始めるためのステップ

オプション取引の基本的な特徴から活用の仕方まで、一緒に学んでいきましょう!
オプション取引とは?

オプション取引は、特定の資産を将来の一定の価格で購入または売却する権利を取引する手法です。

まず最初に、オプション取引の基本的な特徴について見ていきましょう。
資産運用について相談できるサイト
・一人ひとりにあった資産配分・個別商品まで【オンアド】
オプション取引の基本的な仕組み
オプション取引は、株式や商品、指数などの資産を買う権利や売る権利を取引する金融商品です。
つまり、買うか売るかを選べる権利を取引する仕組みです。
1. オプション取引には2種類ある
オプション取引にはコールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の2種類があります。
これらは、特定の資産を将来の決まった時点までに、特定の価格で購入したり売却したりする権利を取引します。
ただし、義務ではないため、権利を行使するかどうかは投資家の選択に任されます。
Ⓐコールオプション(買う権利)
指定された価格(ストライク価格)で、一定期間内に資産を買う権利。
Ⓑプットオプション(売る権利)
指定された価格で、一定期間内に資産を売る権利。
オプション取引のポイント
コールオプションとプットオプションでは、買い手は権利行使をするかどうかを自由に選べますが、売り手は買い手が行使する場合、その義務を履行しなければなりません。
2. オプションの主要な要素
オプション取引の価格は、権利行使価格やオプションの購入にかかるプレミアム(費用)などによって決まります。
オプションの主な4つの要素
①権利行使価格(ストライク価格)
オプション契約に基づいて、資産を買う・売る際の価格です。
②満期日(期限日)
オプションが有効な期限で、満期日を過ぎるとオプションは無効になります。
③プレミアム(費用)
オプションを購入する際に支払う価格(費用)で、権利を得るための対価です。
④ボラティリティ(価格変動の大きさ)
原資産の価格変動の大きさを表し、変動が大きいほどオプション価格も高くなる傾向があります。
先物取引との違い
先物取引とオプション取引はどちらも金融商品を取引する方法ですが、大きな違いは『義務』と『権利』の関係にあります。

これらの特徴の違いを、以下の図1にまとめました。
特徴 | 先物取引 | オプション取引 |
---|---|---|
契約内容 | 買い手と売り手が将来の取引に対して義務を負う | 買い手には権利、売り手には義務がある |
取引の義務 | 必ず契約通りに取引を実行しなければならない | 買い手は権利行使を選択する義務なし、売り手は行使に従う義務がある |
リスク | 双方に無限のリスクがある | 買い手のリスクはプレミアムに限定、売り手は無限のリスクを負う可能性がある |
満期日 | 契約に定められた満期日に必ず決済が必要 | オプションの満期日までに行使するかどうかを買い手が選べる |
取引対象 | 商品や金融商品(株価指数、金利など) | 株式、商品、株価指数、その他の資産 |
オプション取引の種類

第一章で、オプション取引にはコールオプションとプットオプションがあることをご説明しました。
さらに、それぞれのオプションには売り手と買い手がおり、オプション取引には合計で4つのポジションがあります。

この章では、その4つのポジションについて詳しく見ていきましょう。
オプション取引の4つの役割
お伝えしたように、オプション取引にはコールオプションとプットオプションの双方に、買い手と売り手が存在します。
つまり、オプション取引では合計4つのポジションがあるということです。
オプション取引の4つのポジション
①コールオプションの買い手
②コールオプションの売り手
③プットオプションの買い手
④プットオプションの売り手

上記4つについて、それぞれ特徴を確認していきましょう
①コールオプションの買い手 (Call Option Buyer)
コールオプションの買い手は、特定の日時に、指定された価格(行使価格)で、基礎となる資産(株式、商品、通貨など)を購入する権利を持っています。
リスク:
オプション購入時に支払ったプレミアムが最大の損失となり、権利を行使しなければプレミアム分だけが失われます。
利益:
市場価格が行使価格を上回ると利益が発生し、利益は無限大です。
②コールオプションの売り手 (Call Option Seller)
コールオプションの売り手は、買い手が権利を行使した場合、指定された価格で基礎資産を売る義務を負います。
リスク:
売り手のリスクは無限大で、市場価格が大きく上昇した場合、大きな損失を被る可能性があります。
利益:
買い手が権利を行使しなければ、売り手は受け取ったプレミアム分の利益を得られます。
③プットオプションの買い手 (Put Option Buyer)
プットオプションの買い手は、特定の日時に、指定された価格(行使価格)で基礎資産を売る権利を持っています。
リスク:
買い手のリスクはオプションプレミアム(購入時に支払う費用)のみで、権利を行使しない場合はプレミアム分を失うことになります。
利益:
市場価格が行使価格を下回った場合、その差額からプレミアムを差し引いた金額が利益になります。
④プットオプションの売り手 (Put Option Seller)
プットオプションの売り手は、買い手が権利を行使した場合、指定された価格で基礎資産を買い取る義務を負います。
リスク:
基礎資産の価格が大きく下落すると、行使価格と市場価格の差額分の損失が発生し、多額の損失を被るリスクがあります。
利益:
売り手はオプションプレミアムを受け取り、買い手が権利を行使しなければ、そのプレミアム分を利益として得ることができます。
資産運用について相談できるサイト
・一人ひとりにあった資産配分・個別商品まで【オンアド】
オプション取引の基本的な流れ

これまでオプション取引の概要について見てきましたが、オプション取引のイメージはいかがでしょうか?
専門用語が多くて少し難しく感じたかもしれませんね。

最後に、オプション取引の流れと具体例を挙げて、実際の取引がどのように行われるのかを確認しましょう。
オプション取引の基本的な流れ
オプション取引の基本的な流れは、以下の3ステップです。
1.オプションの購入
投資家は、コールオプションまたはプットオプションを購入し、その際にオプションのプレミアムを支払います。
2.権利の行使
満期日が来ると、権利行使をするかどうかを決定します。
もし市場価格が自分に有利であれば、権利行使を選択します。
コールオプションの場合、市場価格がストライク価格を上回っていれば、その価格で購入することができます。
プットオプションの場合、市場価格がストライク価格を下回っていれば、その価格で売却することができます。
3.行使しない場合
オプションを行使しないことも可能です。
この場合、支払ったプレミアムは損失となります。
例:コールオプションの場合
ある株式の価格が1000円のとき、コールオプションを使って、1株あたり1100円で購入する権利を得るとします。
もし株価が1100円を超えた場合、このオプションを行使することで利益を得ることができます(例えば株価が1200円になれば、100円の利益が得られます)。
もし株価が1100円以下であれば、オプションを行使せず、プレミアムだけを損失として計上します。

投資にはリスクがつきものです。
まずは正しい知識を身につけ、投資目的を明確にすることから始めましょう。
参照コラム
・具体的な投資方針と目標設定|資産形成に欠かせない3つの視点
まとめ
今回の記事のまとめです。
オプション取引には、コールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の2種類があります。
これらは、特定の資産を将来の決まった時点までに、特定の価格で購入したり売却したりする権利を取引します。
ただし、義務ではなく、権利を行使するかどうかは投資家の選択に任されており、行使しないことも可能です。