オプション取引は、金融市場で広く利用されている取引手法ですが、初めて触れる方にとっては仕組みが難しく感じられることもあります。
特に「コール」や「プット」をはじめ、「ストライク価格」や「プレミアム」など、専門用語が多く理解しづらいと感じるかもしれません。
この記事では、オプション取引を始めるために押さえておきたい基礎知識と重要な用語をわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- オプション取引の基本的な仕組み
- オプション取引用語の解説①基本編
- オプション取引用語の解説②専門編

オプション取引では、専門用語が多数登場するため、この記事でしっかり理解していきましょう。
そもそも、オプション取引とは?

それではまず、オプション取引の特徴について見ていきましょう。
オプション取引の概要については別のコラムで詳しく解説しているため、ここでは特徴を簡潔にご紹介します。

オプション取引の特徴
オプション取引は、特定の価格で資産を買う(コール)または売る(プット)権利を売買する取引です。
つまり、この取引の特徴は、特定の価格で売買できる「権利」を取引する点にあります。
買い手はオプション料(プレミアム)を支払い、損失はこのプレミアムが最大となりますが、売り手は資産価格の変動により無制限の損失リスクを負います。
また、オプションには有効期限があり、その期間内に権利行使を行う必要があります。
そのため、オプション取引はリスクヘッジや投機の手段として利用でき、リスクとリターンを調整しやすい反面、十分な理解が求められます。
オプション取引は専門的用語が多い
オプション取引に専門用語が多い理由は、取引の仕組みが複雑で、多くの要素が絡み合っているためです。
オプションは単に資産を売買するのではなく、『権利』を売買するため、通常の株式取引とは異なる細かな条件やリスクが関わってきます。

専門用語が多い理由には、以下の2つが挙げられます。
1. 契約内容が複雑であること
購入者は資産を「買う権利」や「売る権利」を持つだけでなく、その権利の行使に関する「行使価格」や「期限」など、詳細な条件が設定されている。
2. 取引戦略の多様性
売買以外にもリスク管理を目的とした多様な戦略があり、たとえば「ストラドル」や「スプレッド」などの戦略を理解し説明するには、専門用語の理解が必要。
参照コラム
・オプション取引入門:コールオプションとプットオプションの違い
オプション取引用語の解説①基本的編

オプション取引が初心者にとって難しく感じられる理由の一つは、専門的な用語が多いことです。
オプション取引に限らず、投資全般には専門用語が多く使われますが、特にオプション取引では独自の用語が多く、理解が難しいと感じることがあります。

この章では、オプション取引に関する基本的な10の用語を確認していきます。
1.オプション(Option)
資産を特定の価格で売買する権利。
オプションには「コールオプション」と「プットオプション」があり、それぞれ買う権利、売る権利を提供します。
2.コールオプション(Call Option)
資産を特定の価格で買う権利。
市場価格が行使価格を上回ると、利益を得ることができます。
3.プットオプション(Put Option)
資産を特定の価格で売る権利。
市場価格が行使価格を下回ると、利益を得ることができます。
4.スプレッド
同じ満期で、低い行使価格のコールをロング、そして高い行使価格のコールをショートで組み合わせる戦略。
リスクを制限しつつ、利益を得るための戦略です。
5.行使価格(Strike Price)
オプションを行使する際の価格。
利益が得られるかどうかはこの価格との関係で決まります。
6.プレミアム(Premium)
オプションを購入する際に支払う価格。
この金額がオプションのコストであり、オプション購入者が負担します。
7.期限(Expiration Date)
オプションが有効である期限。
期限を過ぎるとオプションは無効となり、権利を行使できません。
8.イン・ザ・マネー(In the Money)
オプションが利益を生む状態。
コールオプションでは市場価格が行使価格を上回り、プットオプションでは市場価格が行使価格を下回る場合に利益が発生します。
9.アウト・オブ・ザ・マネー(Out of the Money)
オプションが利益を生まない状態。
コールオプションでは市場価格が行使価格を下回り、プットオプションでは市場価格が行使価格を上回る場合に利益を得ることはできません。
10.アット・ザ・マネー(At the Money)
オプションの行使価格と基礎資産の市場価格が一致している状態。
この状態では、オプションを行使しても利益は得られません。

行使価格やプレミアムは、金融取引においてよく使われる基本用語です。
この機会にぜひ覚えておきましょう。
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オプション取引用語の解説➁専門的編

先ほどの章では、オプション取引の基本的な用語について解説しました。
次に、より専門的な8つの用語について見ていきましょう。

デルタやガンマなど、それぞれの特徴的なポイントを押さえておきましょう。
1.ボラティリティ(Volatility)
資産の価格変動の大きさを示す指標。
ボラティリティが高いほど、価格の動きが大きく、リスクが増加し、オプションの価値に直接影響を与えます。
2.インプライド・ボラティリティ(Implied Volatility)
市場が予測する、オプション対象資産の将来の価格変動幅を示す指標。
市場の予測や期待によってボラティリティが反映され、オプションのプレミアムに影響します。
3.デルタ(Delta)
オプション価格が、基礎資産の価格変動にどれくらい影響を受けるかを示す指標。
デルタが1の場合、基礎資産の価格が1単位変動するとオプション価格も1単位変動します。
4.ガンマ(Gamma)
デルタの変化を測定する指標。
基礎資産の価格が動いたときにデルタがどれくらい変動するかを示します。
ガンマが大きい場合、オプションの価格変動が大きくなるため、リスク管理が重要になります。
5.セータ(Theta)
オプション価値が、時間の経過とともにどれくらい減少するかを示す指標。
時間の経過による価値の減少(時間的価値の減少)は、オプション購入者にとって不利な要因となります。
6.ベガ(Vega)
オプションのプレミアムが、市場のボラティリティの変動に対してどれくらい敏感かを示す指標。
ボラティリティが上昇すると、オプションの価格も増加し、逆にボラティリティが低下するとオプションの価格は減少します。
7.ストラドル
同じ満期で、同一行使価格のコールとプットを同数量購入または売却する戦略。
価格の大きな変動を期待し、上下どちらかに動けば利益を得られる。
8.ストラングル
異なる行使価格のコールとプットを同じ満期で購入または売却する戦略。
ストラドルに比べてコストが低く、より大きな価格変動を狙う。

リスクヘッジを学ぶことは、投資戦略の強化に役立ちますね。
ぜひ以下のコラムもご活用ください。
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まとめ
オプション取引が初心者にとって難しく感じられる理由の一つは、専門的な用語が多いことです。
投資全般において専門用語はよく使われますが、特にオプション取引では独自の用語が多く、理解が難しいと感じることがあります。
オプション取引のリスクを抑えるためには、まずこれらの専門用語や取引の基本的な仕組みを理解することが重要です。