相続は私たちの生活に身近な出来事ですが、いざその場に直面すると、普段は耳にしない専門用語が数多く出てきます。
特に「遺留分」や「直系卑属」など、日常生活ではあまり使わない言葉も多く、戸惑う方も少なくありません。
そこで本記事では、相続に関連する専門用語をできるだけわかりやすく解説し、あわせて相続時に活用できる専門家についてもご紹介していきます。
この記事でわかること
- 相続における専門用語の基礎知識
- 相続に関する専門用語8つ
- 相続時に活用できる専門家とは

相続に関する専門用語について、一緒に学んでいきましょう。
相続における専門用語の基礎知識

相続は、遺産分割や相続税の申告など、予想以上に多くの手続きや調整が必要です。
特に、親族間で意見が分かれることもあるため、精神的・物理的に大きな負担となることが少なくありません。

まず始めに、相続に関する基本的な知識を一緒に確認していきましょう。

相続は専門用語が多い
相続は、法律や税務の側面が強いため、多くの専門用語が登場します。
たとえば「遺留分」「代襲相続」「直系卑属」といった用語は、普段の会話ではほとんど耳にしません。
そのため、意味を正しく理解していないと、専門家の説明が頭に入りにくく、手続きを進める中で混乱することもあります。

つまり、専門用語の多さによって、相続手続きが必要以上に複雑に感じてしまうということです。
相続における専門用語が難しい理由
相続における専門用語が難しい理由の一つは、用語が状況によって異なる意味を持つことです。
例えば、「相続人」という言葉も、遺言がある場合とない場合で意味が変わります。
さらに、相続税の計算には細かい用語が必要で、正しく理解して適用することが求められます。
また、相続は法律、税務、登記、金融機関など複数の分野に関わり、それぞれに専門用語があります。

専門家を活用する最大のメリットは、専門知識に基づいた適切なサポートを受けられることですよ。
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・遺産分割協議書の作成費用の相場は?4つの専門家ができることと費用比較
法律用語と税務用語の違い
相続に関わる専門用語は、大きく分けて「法律用語」と「税務用語」の2つに分類されます。
法律用語
相続人や遺言、遺産分割といった用語は、誰がどの財産をどのように相続するかを決める際に用いられる法律用語です。
これらの用語は、法的な権利や義務を明確にするために使用されます。
例えば、「法定相続人」や「遺産分割協議」などは、相続に関する決定を行う際に必要となります。
税務用語
相続税の計算や納付に関わる用語は、遺産の評価額や相続税の課税基準など、税務的な側面を理解するために必要です。
例えば、「基礎控除」や「課税遺産総額」といった用語は、相続税を計算する際に理解しておくべき基本的な概念の一つです。

次の章では、その専門用語について詳しく見ていきますよ!
相続について相談できるサイト
・相続税に特化したFP無料相談
相続に関する専門用語8つ

前章でご説明したように、相続には法律用語と税務用語があります。
今回は、その中でも特に耳にする機会が多い8つの用語をピックアップし、それぞれの意味や役割についてご紹介します。

この章では、相続でよく耳にする8つの専門用語について見ていきましょう。
相続に関する8つの法律用語
相続に関する法律用語とは、遺言者や直系卑属など、法律上で使われる呼び方のことです。
遺産分割協議書などの書類を作成する際には、こうした専門用語が多く使われるため、意味を正しく理解しておくことが大切です。
相続に関する8つの法律用語
1. 被相続人
相続の対象となる財産を持つ人物。例:亡くなった方や遺言者。
2. 遺言執行者
遺言書に基づき、遺産分割や相続手続きなどを実行する責任を負う人物。
3. 直系卑属
親から子、孫へと続く直接の血縁関係にある人々。例:子や孫。
4. 直系尊属
血縁関係がある人々のうち、本人より前の世代にあたる人々。例:親や祖父母。
5. 遺留分
相続人が最低限受け取る権利が保障された相続分で、遺言によって不公平に扱われないよう、一定の割合で遺産を請求できる。
6. 遺産分割協議
相続人全員で遺産をどのように分けるか話し合う手続き。
7. 特別受益
相続人が生前に贈与を受けた場合、その贈与額を相続分に反映させるための制度。
8. 遺贈
遺言により、法定相続人以外の人物に財産を贈ることで、遺贈を受ける人は「受遺者」と呼ばれる。
相続に関する8つの税務用語
相続に関する税務とは、延納や物納、相続時精算課税制度など、相続時に適用される税金や手続きのことを指します。
相続に関する8つの税務用語
1. 相続時精算課税制度
生前贈与を受けた財産を、相続時に合算して相続税を計算する制度。
2. 小規模宅地等の特例
自宅などの不動産について、特定の条件を満たす場合に相続税が軽減される特例。
3. 物納
相続税を現金ではなく、土地や建物などの「物」で納める方法。
4. 延納
相続税を一括で納めるのではなく、分割して納める方法。
5. 相続税の納税猶予
農地や事業用財産などに対して、相続税の納付を一定期間延期できる制度。
6. 遺産の分割方法(分割比率)
相続人間で財産をどのように分けるかを決定する割合。
7. 財産評価基準
相続税の計算に用いる、相続財産の評価方法や基準。
8. みなし贈与
相続税の計算時に、一定の贈与を相続財産としてみなす制度。
あわせて読みたいコラム
・相続時精算課税制度ってどんな制度?概要や仕組みについての解説
相続については誰に相談すればいいの?

繰り返しになりますが、相続は法律や税務、登記、金融機関など、複数の分野に関わるため、ひとりで対応しようとすると大きな負担がかかることがあります。

そこで最後に、相続手続きの際に相談できる専門家や窓口について詳しく見ていきましょう。
相続について相談できるサイト
・相続税に特化したFP無料相談
相続に関して相談できる6つの相談先
相続に関する相談をする際は、一般的に以下6つの専門家に相談することが推奨されます。

ただし、専門家それぞれに役割が異なるため、状況に応じて適切な専門家を選ぶことが大切です。
1. 弁護士
弁護士は、遺産分割や遺言書の有効性、相続人間のトラブルなど、相続に関する法律問題について法的なアドバイスを行います。
相続時に行えること
・遺産分割の手続き。
・遺言書の有効性の確認。
・相続人間のトラブル対応。
相談のタイミング
・相続人間でトラブルが発生した場合。
・遺言書の内容が不明確で争いになりそうな場合。
・法的な判断が必要な場合。
2. 税理士
税理士は、相続税の申告や計算、納税方法に関する税務的なサポートを行います。
相続時に行えること
・相続税の申告書作成。
・相続税の計算。
・納税方法(延納・物納など)の相談。
相談のタイミング
・相続税の申告が必要な場合。
・財産の評価や納税方法について判断が必要な場合。
3. 司法書士
司法書士は、相続に関わる不動産の登記手続きや遺言書の作成など、書類作成のサポートを行います。
相続時に行えること
・不動産の名義変更(相続登記)。
・遺言書の作成支援。
・相続に関する書類作成。
相談のタイミング
・不動産の相続登記が必要な場合。
・遺言書を作成・確認したい場合。
4. 行政書士
行政書士は、遺産分割協議書などの書類作成や、相続に関する各種手続きのサポートを行います。
相続時に行えること
・遺産分割協議書の作成。
・各種書類の作成・提出サポート。
相談のタイミング
・書類作成に不安がある場合。
・相続手続きをスムーズに進めたい場合。
5. 信託銀行や金融機関
信託銀行や金融機関は、預貯金や株式、投資信託などの相続手続きや管理のサポートを行います。
相続時に行えること
・預貯金や有価証券の名義変更。
・相続財産の管理。
・相続手続きに関する相談。
相談のタイミング
・預貯金や証券の相続手続きが必要な場合。
・財産管理や手続きに不安がある場合。
6. ファイナンシャルプランナー(FP)
FPは、相続財産の管理や資産運用、税金対策などの総合的なアドバイスを行います。
相続時に行えること
・相続税や贈与税のシミュレーション。
・財産管理や資産運用の提案。
・相続後の生活設計の相談。
相談のタイミング
・相続税の負担や資産管理を考えたい場合。
・相続後の生活設計や資産運用について相談したい場合。

相続に関する相談先や相談機関については、以下のコラムでも解説していますので、あわせてご参照ください。
参照コラム
・遺産分割協議書の作成費用の相場は?4つの専門家ができることと費用比較
まとめ
今回の記事のまとめです。
相続における専門用語が難しい理由の一つは、用語が状況によって異なる意味を持つことです。
相続に関わる用語は大きく「法律用語」と「税務用語」の2つに分類され、これらを適切に理解することで相続時の精神的・物理的な負担を軽減できます。