レバレッジ型やインバース型の投資信託は、日経平均株価などのベンチマークに対して異なる値動きをする特徴があります。
レバレッジ型はベンチマークの2倍の値動きを、インバース型は逆方向の値動きをするため、市場の動きに応じて戦略的な売買を行うことが可能です。
ただし、これらの投資信託は通常の投資信託に比べて仕組みが複雑で、リターンが大きい一方でリスクも高くなります。
この記事では、レバレッジ型・インバース型投資信託の仕組みやメリット・デメリット、注意すべきポイントについてわかりやすく解説していきます。
この記事で分かること
- レバレッジ型・インバース型投資信託の仕組み
- それぞれの投資信託のメリットとデメリット
- 投資する際のリスク管理のポイント

2つの投資信託の特徴を押さえ、どのように活用できるのか学んでいきましょう。
レバレッジ型投資信託とは?

まず初めに、レバレッジ型投資信託の概要について見ていきましょう。
これは、市場の変動に対してリターンを倍増させることを狙った金融商品で、特に市場が上昇している局面で大きな利益を得られる可能性があります。

なお、レバレッジ型投資信託は「ブル型投資信託」とも呼ばれています。
あわせて読みたいコラム
・ブル型・ベア型投資信託の特徴と選び方:レバレッジ型投資信託を理解する
基本的な仕組み
レバレッジ型投資信託は、投資家が少ない資金で大きなリターンを目指せる金融商品です。

基本的な特徴として、以下の2点を押さえておきましょう。
1. レバレッジ効果
レバレッジ型投資信託は、証拠金や借入金を活用して資産を増やし、通常の投資信託よりも大きな投資を行います。
この仕組みにより、相場が上昇した場合には通常よりも大きなリターンを得られます。
たとえば、レバレッジが2倍の場合、基準となるインデックスが1%上昇すると、レバレッジ型投資信託は約2%の利益を得られます。
2. 複利効果の利用
レバレッジ型投資信託では、利益を再投資できるため、複利効果によって資産形成がしやすい特徴があります。
ただし、長期間の運用でより大きなリターンが期待できる一方で、相場が逆方向に動いた場合は損失が膨らむリスクもあります。
メリット
レバレッジ型投資信託のメリットは、相場の動きに応じて効率的に資産を増やせる点です。
短期間で大きな利益を狙いやすいため、積極的なトレードや短期的な市場変動を利用した投資戦略に向く傾向があります。
また、分散投資が可能な投資信託でありながらレバレッジ効果を活用できるため、手軽にレバレッジ投資を行える点もメリットの一つです。
デメリット
レバレッジ型投資信託のデメリットには、コスト面の負担が大きい点があります。
一般的な投資信託と比べて運用管理費用や取引コストが高くなる傾向があり、長期保有するとこれらのコストがパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、損失が大きくなりやすいため、高度な投資知識や慎重な判断が求められる点もデメリットです。
レバレッジ型投資信託の代表例
レバレッジ型投資信託の代表例として、以下2つのような商品があります。
①日経平均レバレッジ型ETF(上場投資信託)
日本の株式市場に連動する日経平均株価をベースに、2倍または3倍のレバレッジをかけたETF(Exchange-Traded Fund)です。
市場が上昇すれば、通常のETFよりも高いリターンを目指すことができますが、その分、下降時には損失も増大します。
②S&P 500レバレッジ型ETF
米国の代表的な株価指数であるS&P 500をベースにしたレバレッジ型ETFです。
例えば、S&P 500に対して2倍、3倍のリターンを目指す商品があり、市場が上昇すれば高い利益を得ることができますが、下落時の損失も大きくなるリスクがあります。

なお、iFree ETF S&P500レバレッジ(2237)は、S&P500指数のパフォーマンスに対して、2倍のレバレッジをかけて運用される上場投資信託(ETF)です。
資産運用について相談できるサイト
・【マネードットコム】
インバース型投資信託とは?

次に、インバース型投資信託について見ていきます。
インバース型は、一般的な投資信託と反対の動きをするため、下降相場を利用した投資方法となります。

一般的にインバース型投資信託は、ベア型投資信託とも呼ばれます。
あわせて読みたいコラム
・ブル型・ベア型投資信託の特徴と選び方:レバレッジ型投資信託を理解する
基本的な特徴
インバース型投資信託は、対象となる指数(例えば株価指数)が下落する際に利益を得ることを目的とした投資信託です。

基本的な特徴として、以下の3点を押さえておきましょう。
1.対象指数の逆方向に連動
インバース型投資信託は、対象となる株価指数や資産価格の値動きと逆の動きをするよう設計されています。
つまり、指数が下落すると投資信託の価格は上昇します。
2.ショートポジションや逆相関を活用した運用
インバース型投資信託は、指数の下落時に利益を得るために、ショートポジション(売り)を取ったり、対象指数と逆の動きをするネガティブ・コリレーション(逆相関)を活用して運用されます。
3.レバレッジ型も存在
通常のインバース型に加え、2倍や3倍などのレバレッジをかけて指数の下落幅を増幅させるタイプもあり、より大きな利益を狙うことができますが、その分リスクも高まります。
メリット
インバース型投資信託は、市場の下落局面で短期間に効率よく利益を得られる可能性があります。
さらに、下落相場でも活用できるため、リスクヘッジとして投資の機会を広げられることが大きなメリットのひとつです。
デメリット
インバース型投資信託は、短期的な値動きに連動するよう設計されているため、長期保有では期待した成果を得にくいことがあります。
また、相場が予想に反して上昇したり変動が激しかったりすると、損失が大きく膨らむ可能性があり、特に投資初心者にとってはリスクが高い商品となります。
インバース型投資信託の代表例
インバース型投資信託の代表例として、以下3つのような商品があります。
①日経平均インバース型ETF(例:NEXT FUNDS 日経平均インバース上場投信)
日経平均株価が下落する際に利益を得ることを目的とした投資商品です。
日経平均株価が1%下落すれば、ETFの価値はその分1%程度上昇します。
②S&P500インバース型ETF(例:ProShares Short S&P500)
米国の株価指数であるS&P500の下落に対して逆相関する投資商品です。
S&P500指数が下落すれば、ETFの価値が上昇します。
③ダウ・ジョーンズインバース型ETF(例:ProShares Short Dow30)
ダウ・ジョーンズ工業平均株価の下落に連動するインバース型ETFです。
ダウ30銘柄の株価が下落する場合に利益を得ることができます。

上記インバース型ETFは、アメリカ市場における短期的な下落を見込んで投資する際に用いられます。
参照コラム
・ETFの種類にはどんなものがある?長期投資で役立つETFの活用法
レバレッジ型とインバース型投資信託のリスク管理

最後に、レバレッジ型投資信託とインバース型投資信託のリスク管理について解説します。
これまでご説明してきた通り、これらの投資信託はどちらも高いリスクを伴うため、適切な投資戦略を構築することが重要となります。

最後に、投資信託を選ぶ際に押さえておきたい2つのポイントについて確認していきましょう。

投資信託を選ぶ際のポイント
レバレッジ型およびインバース型投資信託は、高リターンが期待できる一方で、高リスクも伴います。
そのため、これらの投資信託を選択する際には、リターンとリスクのバランスをしっかりと考慮することが重要です。

①リスクバランスと②分散投資について、それぞれのポイントを押さえておきましょう。
①リターンとリスクのバランスを評価する
高リターンを目指す場合は、リターンの可能性を追求するだけでなく、そのリスクを十分に理解することが求められます。
そのため、過去の運用実績やボラティリティ(価格変動幅)をチェックし、どの程度のリターンを狙うのか、またそのリスク許容度がどれくらいかを見積もっておくことが大切です。
➁高リスク商品には分散投資を心掛ける
高リスク・高リターンを目指す場合でも、適切な分散投資が重要です。
例えば、レバレッジ型投資信託や新興国株式、テクノロジー株などリスクの高い資産に投資する際は、複数の資産クラスに分散することでリスクを軽減でき、特定の資産クラスの変動に過度に影響されることを防げます。

投資には予期せぬリスクが伴うため、適切なリスク管理で損失を最小限に抑えることが大切ですよ。
あわせて読みたいコラム
・インデックス投資の種類と選び方:リスクを抑えた資産形成法
まとめ
今回の記事のまとめです。
レバレッジ型投資信託は、証拠金や借入金を利用して通常の投資信託よりも大きな投資を行い、相場が上昇すると通常よりも大きなリターンを得られます。
一方、インバース型投資信託は、対象となる指数が下落する際に利益を得ることを目的としています。
両者は高リターンが期待できる一方で、高リスクも伴うため、リターンとリスクのバランスが大切です。