投資におけるベンチマークは、投資家が自身のポートフォリオの成果を評価するための重要な指標です。
この指標を使うことで、市場全体や特定のインデックスと自身の投資成績を比較し、客観的に把握することができます。
この記事では、ベンチマークの基本的な役割や投資戦略に与える影響についてわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- ベンチマークの基本的な役割
- 投資以外におけるベンチマークの意味
- ベンチマークを使ったパフォーマンス評価方法

ベンチマークはさまざまな場面で活用されるため、その用途や活用方法を理解しておきましょう。
投資におけるベンチマークの役割

投資におけるベンチマークとは、ポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準となる指標です。
この指標を活用することで、投資戦略の効果を客観的に判断し、適切な見直しや改善が可能になります。

まず始めに、ベンチマークの基本的な特徴について見ていきましょう。

そもそも、ベンチマークとは?
ベンチマークとは、主に投資において、ポートフォリオのパフォーマンスを評価する基準となる指標のことです。
一般的に、ベンチマークは市場全体の動きを示すインデックスや指標が用いられ、投資家は自身のポートフォリオがこの基準と比べてどの程度の成果を上げているかを評価します。
ポートフォリオのパフォーマンスがベンチマークを下回っている場合は、戦略の見直しが必要になります。
一方で、ベンチマークを上回っていれば、現在の戦略が有効であると判断できます。
投資におけるベンチマークの役割
投資におけるベンチマークの役割は、投資家が自身の投資成果を市場平均と比較し、客観的に評価できるようにすることです。
具体的には、ベンチマークを活用することで、投資家は次のような目的を達成することができます。
①パフォーマンスを客観的に評価できる
市場全体や特定セクターを基準とするベンチマークを使うことで、自身のポートフォリオの成果を客観的に把握できます。
②投資戦略の有効性を検証できる
ポートフォリオの成績がベンチマークに届いていない場合、戦略の効果を見直し、改善の必要性を判断できます。
③投資判断の精度を高められる
市場動向を示すベンチマークを参考にすることで、より的確で根拠ある投資判断が可能になります。

例えば、日経平均株価やS&P500などのインデックスがその代表例です。
参照コラム
・インデックス投資の種類と選び方:リスクを抑えた資産形成法
投資以外でのベンチマークの意味

第1章でお伝えしたように、ベンチマークを効果的に活用することで、投資家はポートフォリオのパフォーマンスを向上させることができます。
ただし、「ベンチマーク」という用語は、投資以外の分野では異なる意味を持つことがあります。

この章では、3つのビジネス分野におけるベンチマークの意味について確認しておきましょう。
1. ビジネスにおけるベンチマーク
ビジネス分野では、ベンチマークは企業のパフォーマンスを他の企業や業界標準と比較するための基準として利用されます。
企業は、競合他社と自社の業績を比較することで、自社の強みや改善点を把握し、戦略的な意思決定に役立てます。
例えば、製品の品質、サービスのレベル、顧客満足度などを他社と比較することで、より効率的な運営やサービス改善が可能になります。
2. マーケティングにおけるベンチマーク
マーケティング分野では、ベンチマークはキャンペーンの効果や市場シェア、顧客の反応を競合と比較するための指標として使われます。
企業は広告効果や売上成長率、オンラインでのブランド認知度などを業界の標準や競合他社と比較することで、マーケティング戦略を最適化します。
3. IT業界におけるベンチマーク
IT業界では、ベンチマークはハードウェアやソフトウェア、システムのパフォーマンスを測定し、比較するための指標です。
例えば、コンピュータの処理能力、サーバーのレスポンスタイム、ネットワークの効率性などを他のシステムや技術と比較することで、性能向上を目指します。

特定の分野ではベンチマークの意味が異なることをお伝えしました。
次章からは再び、投資におけるベンチマークについて解説していきますね!
投資におけるベンチマークの種類

投資におけるベンチマークの役割については、なんとなくご理解いただけたかと思います。
では、具体的にはどのような種類のベンチマークがあるのでしょうか。

この章では、投資におけるベンチマークの種類について詳しく確認していきましょう。
投資におけるベンチマークの種類
投資におけるベンチマークには、主に以下3つの種類があります。
1. 株式インデックスベンチマーク
株式市場のパフォーマンスを評価するために使用される指標です。
これらは特定の株式市場を代表する銘柄で構成されており、経済全体や業界の動向を反映するため、投資家にとって重要な指標となっています。
具体例3選
①S&P 500
米国の大型株500銘柄で構成され、アメリカ経済の健全性を示す代表的な指標です。
②日経225
日本の株式市場を代表する225銘柄で構成され、日本経済の動向を反映します。
③ダウ・ジョーンズ工業株30種平均
米国の主要30社の株価を基に算出され、特に米国の産業動向を示す指標です。
2. 債券インデックスベンチマーク
債券市場のパフォーマンスを評価するための指標で、債券の価格や利回りの変動を反映します。
これらのインデックスは、投資家が債券市場の動向を把握し、ポートフォリオ内の債券の成果を測る際に重要な役割を果たします。
具体例2選
①バークレイズ・グローバル・アグリゲート・インデックス
世界中の投資適格債券をカバーし、債券市場全体の動向を示す広範なインデックスです。
②米国10年国債利回り
米国政府が発行する10年満期の国債の利回りを基にした指標で、金利動向や経済情勢の影響を反映します。
3. 複合インデックスベンチマーク
株式、債券、不動産など複数の資産クラスを組み合わせた指標です。
異なる資産クラスのパフォーマンスを比較し、分散投資の効果を測ることで、ポートフォリオ全体のリスクとリターンを総合的に評価できます。
具体例2選
①MSCIワールドインデックス
世界各国の株式市場を反映したインデックスで、グローバルな株式市場のパフォーマンスを示します。
②60/40ポートフォリオ
株式60%、債券40%で構成される典型的なリスク分散型ポートフォリオのモデルです。
ベンチマークを利用したパフォーマンス評価

繰り返しになりますが、ベンチマークを活用することで、投資家は自身の投資成果を市場全体と比較し、ポートフォリオ改善の必要性を判断できます。

最後に、ベンチマークを効果的に活用するための実践的な6つのステップについて見ていきましょう。
資産運用について相談できるサイト
・【マネードットコム】
ベンチマークを活用するための6つのステップ
ベンチマークを適切に活用するためには、以下6つのステップを踏むことが重要です。
①目標の設定
自身の投資目的を明確にします。(例:成長、収益、安定性など)
➁適切なベンチマークの選定
ポートフォリオの資産構成に近いインデックスを選定します。(例:株式投資ならS&P 500、債券投資なら債券インデックスなど)
③定期的なパフォーマンス評価
ポートフォリオのパフォーマンスを定期的にベンチマークと比較し、目標に対する進捗を確認します。
④リスク調整後の評価
シャープレシオなどを用いてリスクを考慮し、リスクに見合ったリターンが得られているか評価します。
⑤パフォーマンス差異の分析
ベンチマークとポートフォリオのパフォーマンス差異を分析し、その原因を特定します。
⑥ポートフォリオの調整
評価結果を踏まえ、必要に応じてポートフォリオの構成を見直します。

当サイトでは、投資に関するさまざまな情報もまとめているので、ぜひあわせてご活用ください。
あわせて読みたいコラム
・投資信託の信託報酬:費用がパフォーマンスに与える影響とは?
まとめ
今回の記事のまとめです。
投資におけるベンチマークは、ポートフォリオのパフォーマンスを市場と比較するための基準です。
これにより、投資家は自身の投資成果を客観的に評価し、改善点を把握することができます。