『デリバティブには何が含まれるの？』
デリバティブは、株式や債券とは異なる金融商品で、リスク管理や投資戦略の一環として多くの投資家に活用されています。
しかし、デリバティブの仕組みや取引方法を理解するには、投資における専門的な知識が必要です。
本記事では、デリバティブの基本的な仕組みを解説し、代表的な取引手法や種類についても詳しくご紹介します。
この記事で分かること
- デリバティブの定義と基本的な仕組み
- デリバティブ取引の主な種類
- デリバティブ取引のメリットとリスク
デリバティブ取引の基本を、この記事で一緒に学んでいきましょう。
デリバティブとは？市場の仕組みと基本概念
デリバティブとは、株式や債券とは異なり、原資産（元となる資産）の価値に基づいて取引される金融商品です。
これにより、投資家はリスクをヘッジしたり、利益を追求したりすることができます。
まず始めに、デリバティブの基本的な特徴から見ていきましょう。
デリバティブの基本的な仕組み
先ほどお伝えしたように、デリバティブとは株式や債券など、基礎となる資産（原資産）の価格変動をもとに価値が決まる金融商品を指します。
つまり、デリバティブの価値は原資産の価格に依存しており、株式、債券、商品（コモディティ）、金利、為替などさまざまな金融資産が原資産として使われ、その価格変動をもとに取引されます。
たとえば、株式を原資産とするデリバティブ取引では、株価が上がるか下がるかを予測して売買が行われます。
なぜデリバティブが注目されるのか？
デリバティブが注目される理由は、その特性と多様な活用法にあります。
以下に、その主な理由を3つ挙げてみます。
1. リスクヘッジの手段
株式、為替、金利、商品などの市場変動リスクを軽減するために活用されます。
例えば、企業は原材料価格や為替の変動リスクを回避するために先物やオプションを利用します。
これにより、予測不能な価格変動に備えることができます。
2. 投資効率の向上（レバレッジ効果）
少ない資金で大きなポジションを取れる「レバレッジ効果」によって、高い利益を狙うことが可能です。
これにより、資金効率が高まり、柔軟な投資戦略を立てることができます。
3. 多様な市場環境への対応
相場が上がる時だけでなく、下がる時でも利益を得る仕組みが整っています。
例えば、「プットオプション」を買うことで価格が下落した場合に利益を得ることができ、幅広い市場環境で活用されています。
デリバティブ取引の主な種類
デリバティブにはさまざまな種類がありますが、中でも特に広く取引されているのが、先物、オプション、スワップです。
それぞれの特徴を正しく理解することで、投資戦略に応じて効果的に活用することができます。
この章では、これら3つの代表的なデリバティブ取引について見ていきましょう。
①先物取引（Futures）とは？
先物取引とは、将来の特定の日に、あらかじめ決められた価格で原資産を売買する契約のことです。
主に商品や株価指数などを対象にしており、価格変動リスクのヘッジや投機の目的で活用されています。
取引の決済は、原資産の実物の受け渡しだけでなく、差金決済によって行われることも多く、現物を持たずに売買が行われるのも特徴の一つです。
参照コラム
・先物取引ってどんな仕組み？始める前の基本知識とリスク対策の要点
②オプション取引（Options）の特徴
オプション取引とは、特定の期間内に、あらかじめ決められた価格で原資産を買う権利や売る権利を売買する契約のことです。
この取引では、原資産を実際に売買する義務はなく、権利を行使するかどうかは投資家の自由である点が大きな特徴です。
また、オプション取引にはプレミアムと呼ばれる権利料が発生し、最大の損失はこのプレミアムに限定されるという特徴もあります。
参照コラム
・オプション取引入門：コールオプションとプットオプションの違い
③スワップ取引（Swaps）の概要
スワップ取引とは、二者間であらかじめ定めた期間にわたり、キャッシュフローを交換する契約のことです。
この契約では通常、異なる通貨や金利の支払いを交換することで、リスクヘッジや資金調達に活用されます。
また、スワップは取引相手と直接契約を結ぶため、柔軟性が高く、多様なニーズに対応できる点も特徴です。
参照コラム
・スワップ取引はどんな目的で使われる？基礎的な仕組みと活用方法の解説
デリバティブ投資のリスク管理
デリバティブ投資は、利益を得るチャンスがある一方で、それ相応のリスクも伴います。
適切にリスクを管理すれば高いリターンを期待できますが、反対に損失が拡大する可能性もあります。
この章では、デリバティブ投資のリスク管理について確認していきましょう。
デリバティブ取引におけるリスクとは？
デリバティブ取引におけるリスクは、主に市場リスクとレバレッジリスクの2つに大別されます。
市場リスクとは、原資産の価格変動による損失の可能性であり、予想外の価格変動によって大きな損失を被ることがあります。
例えば、株価や為替、商品価格が急激に変動すると、投資額を超える損失が生じる場合もあります。
一方、レバレッジリスクは、少ない資金で大きな取引が可能になる反面、価格のわずかな変動でも損失が膨らむリスクです。
レバレッジを活用することで利益拡大が期待できる一方、不利な価格変動が損失を急激に拡大させるため、適切なリスクコントロールが求められます。
デリバティブを活用した4つの投資戦略
デリバティブを活用した投資戦略には、以下4つの手法などがあります。
1. ヘッジ戦略
損失を抑えるために先物やオプションを活用する手法。
2. アービトラージ戦略
市場間で生じる価格差を利用して利益を得る手法。
3. スプレッド取引
関連する複数のデリバティブを同時に売買し、価格差の変動から利益を狙う手法。
4. ボラティリティ取引
市場の価格変動率（ボラティリティ）を活用して利益を追求する手法。
投資戦略については、以下のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
あわせて読みたいコラム
・国内ETFと海外ETFの特徴を比較｜リスク許容度で選ぶ投資戦略とは？
まとめ
今回の記事のまとめです。
デリバティブとは、株式や債券、商品、為替などの原資産の価格変動に基づいて価値が決まる金融商品であり、原資産自体を直接取引するのではなく、その価格の動きに関連した取引を行います。
そのため、価格変動リスクの回避（ヘッジ）や新たな投資機会の提供に活用されます。